パタヤの高級ヴィラで韓国人詐欺グループ摘発、カンボジアから拠点移転か

タイ東部チョンブリ県パタヤで、韓国人および中国人による国際詐欺グループの拠点が摘発されました。観光警察、入国管理局、バンラムン警察の合同捜査チームが2025年6月21日、高級プール付きヴィラに踏み込み、韓国人21人と中国人1人を拘束。現場からはパソコンや携帯電話、IP電話など詐欺に使用されたとみられる電子機器が多数押収されました。

この摘発は、在タイ韓国大使館から「自国民が誘拐され、コールセンター詐欺に関与させられている」との通報を受けて始まったものです。携帯電話の位置情報からヴィラの所在が特定され、急行した警察部隊に対し、現場の韓国人らは逃走を図りました。一部は2階から飛び降りて重傷を負い、他の者は近隣道路へ逃走しましたが、最終的に全員を確保しました。

警察によると、ヴィラ内にはパソコン約30台、携帯電話40台、IP電話機器、インターネットルーターなどが設置されており、まるでコールセンターのような構造だったとのことです。これらの機器はすべて押収され、鑑識による指紋やDNAの分析が進められています。

関係者の中には「韓国国内での融資業務の連絡拠点」と主張する者もいましたが、多くは黙秘しており、警察は不法就労や犯罪組織への関与の可能性も視野に入れて捜査を続けています。また、韓国人4人は不法入国が確認されており、観光ビザで入国していた他の者についても、オーバーステイの有無など詳しく調べられています。

今回の事件は、数年ぶりとなる韓国人関係者による大規模な詐欺グループ摘発です。事件の発端は、韓国にいる父親が「息子がタイでコールセンター詐欺に関与させられている」と通報したことによるもので、息子は実際にヴィラ内で詐欺業務に従事していたことが確認されました。

警察は、今回のグループがカンボジア国境付近からパタヤに拠点を移した可能性があるとみており、今後、国外の首謀者を含めた組織の全容解明を進める方針です。