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INDIGO 独占インタビュー~億単位の再生数を誇るタイの人気バンドは個性豊かな色が混ざり合う「藍色」そのもの

2025年5月26日 配信

2025年5月10日、11日に行われたタイフェスティバル東京2025。代々木公園が2日間タイに姿を変える国内屈指の国際イベントの一つだ。毎年タイのトップスターによる野外音楽ライブがメインイベントとなり、会場全体を盛り上げてくれる。
本年のタイフェスティバル東京アーティストライブのラストを飾ったバンドが、タイの大人気バンドINDIGO。



タイは好きでもタイのエンターテイメントをチェックしている人以外は、タイのアーティストは知らない、という方は多いと思う。ましてや「タイで人気がある」と言っても、そのレベル感がわからないという人が多いだろう。

大丈夫だ!INDIGOの本国タイでの圧倒的な人気は、YouTubeの再生数を見れば一目で理解できる。
2億5000万再生数超え、1億6000万再生数超えなど「冗談でしょう?」と叫んでしまう驚異的なデータ。タイ人の心を鷲掴みにしてしまう名曲をリリースし続けるバンドなのだ。
INDIGOは、2017年11月16日シングル「Kept」でデビュー。男女3人による3ピースエレクトロニックロックバンドで、大なり小なり誰もが抱えている心の痛みや闇を、壮大でドラマティックな曲と伸びやかな声に乗せ、届けてくれる。
タイランドハイパーリンクスはタイフェスティバル東京のステージを終えたばかりのメンバー3人にインタビューをお願いした。

INDIGO
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INDIGOはそれぞれの色を混ぜ合わせた「藍色」

ーー初めまして!タイ旅行をする中で、バンド名も曲もよく知っていたので、お会いできて光栄です。
自己紹介として担当のパート、チューレン(ニックネームの意味。タイ人は名前が長いので通常はチューレンを付け、それをメインに名前を呼ぶ)の由来を教えて下さい。

Blue:サワッディークラップ!INDIGOのBlueです。ギターとボーカルを担当しています。チューレンの由来は、音楽ジャンルのbluesから。父親がbluesが好きだったんですよ。

Blue

Kwan:ベースとシンセベース担当のKwanです。本名はKwanchanok(クワンチャノック)で「父の心」という意味なんですよ。本当のチューレンはギンパイ(กิ่งไผ่)。竹の枝という意味なんです。竹は折れても死なない(枯れない)という意味で、祖父が名付けてくれました。
でも、本名のクワンチャノックの「クワン」が呼びやすかったらしくて、クワンと呼ばれるようになりました。

Kwan

Donut:ドラム担当のDonutです。Donutは父母が付けてくれたチューレンですが、タイ語のしり取り遊びのような感じ。姉のチューレンに合わせて名付けられたようです。スイカ、ドーナツ、カマボコ(タイ語だと、しり取りのように音でつながる)。

Donut

ーーてっきりドーナツが大好きなのだと思っていました。

Kwan:ドーナツ食べるの大好き(笑)!

3人:(笑)…。

Donut:もちろんドーナツも好きですよ!

ーーINDIGOという名前はボーカルのBlueさん由来で付けたバンド名ですか?

Blue:そうです。ブルーは僕です。メンバーは当然他の色を持っているから、それを混ぜると、インディゴ(藍色)になるという意味合いで名付けました。

ーー素敵なバンド名ですね。

タイ人も日本人も一緒に盛り上がってくれる!音楽は国際言語

ーータイフェスティバルのステージを終えた感想を聞かせてください。

Blue:本当に楽しかったし、ハッピーな気分。本当は日本語のシナリオを考えてステージに上がったんだけど、緊張して忘れてしまいました(笑)。
タイ人もたくさんいて、まるでタイでライブをやってるみたいな盛り上がりでしたね。集まっていた日本人はフレンドリーな人が多くて、タイ人と一緒に楽しんでくれていたのが嬉しかったなあ。

Donut:日本でのライブは、初めての体験でとても良い雰囲気でした。日本の人たちは、タイ語の歌詞はわからなかったと思うんですが、それでも一緒に楽しんでくれて、とても幸せな気持ち。音楽は国際言語なんだって再認識できました。

Blue:そうだ!おじいちゃん、おばあちゃんが拍手しながら踊って盛り上がってくれていたんですよ。凄くかわいかった。とても感動しましたよ。

Kwan:そうだよねえー、かわいかった。
ひと言で言うと本当に感謝。ありがとうございます。みんなが一緒に合唱してくれて嬉しかったです。
ステージ上で「やっとここまで来れたんだ」っていう気持ちになったんですが、ここまで連れてきてくれたファンの皆さんやスタッフの皆さんに、心から感謝を伝えたいです。

壮大な独自のINDIGOサウンドを作り出す、3人の音楽ルーツとは?

ーー3人でバンドを組むことになったきっかけを教えて下さい。

Blue:元々友達関係だったり、先輩後輩関係だったんですよ。レストランで一緒に演奏することもありました。実は当時、僕が2つのバンドを掛け持ちしていて、一つはKwanと、一つはDonutと組んでいたんです。

Kwan:Blueがタイのオーディション番組「THE VOICE」のシーズン5にチャレンジしたんですけど、入賞できなかったんです。でも、その時、今の事務所の方たちが声をかけてくれて、デビューすることになったんです。バンドを組むとき、Blueが、私とDonuに声をかけてくれたんですよ。

Blue:そうそう。

--そうだったんですか!それは素敵なチャンスでしたね。

Kwan:アリガトウゴザイマス(笑)!

--影響を受けたミュージシャンはいますか?

Blue:僕、SEK LOSO!

一同:(笑)

Blue:元々スリーピースバンドが好きなんですよ。タイのボーカルで憧れているのはSEK LOSO。バンドとして憧れているのはタイ以外ですが、Muse。

-ー私もSEK LOSOも、LOSOもタイに行きたくなると家でよく聴いています。

Blue:ほんと!?

3人:わーい(拍手)

Blue:音楽ジャンルは違うけど、どちらも3ピースバンドなんですよ。だから自分がバンドを組むなら、3ピースバンドがイイなって決めていました。

Donut:僕が憧れているのは、ZEALのKENです。

ーーあれ?同じ事務所じゃなかったでしたっけ?

3人:そうです。

Donut:まさか同じ事務所に所属できるとは思っていなかった、とにかく嬉しかったです。バンドとしてはThe1975が好きです。

Kwan:私は好きなバンドはRed Hot Chili Peppers。憧れているミュージシャンはETCのmintさん。
INDIGOは、Blueがコンセプトを決めてくれているんだけど、バンドとしてはMuseみたいな雰囲気のバンドを目指しています。もちろん、Museにはならないですよ(笑)。みんな違う好きな音楽の土壌があるし、憧れのアーティストもいる。それぞれの音楽のセンスも違うし、そこからオリジナリティが生まれて、それがINDIGOというバンドを作っているんですよ。

ベーシストKwanの衣装はタイ人の間では有名。なぜそのスタイルに?

ーーKwanさんはベーシストですよね。女性ベーシストって、女性ばかりのバンド以外は、そんなに見かけないのですが、存在的にもビジュアル的にも凄くかっこいいなあと思いました。なぜ最初にベースを選んだんですか?

Kwan:元々学校で古典音楽の楽団に所属していたんですけど「ベースの担当がいないのでベースをやって!」とお願いされたんです。だから古典楽器に触れないまま終わってしまった(笑)!

ーーそうなんですね(笑)!そういえば、通訳さんに聞いたんですけど、Kwanさんはいつもちょっとセクシーな衣装で演奏するスタイルで有名なのだとか。

Kwan:今日はねえ、Blueもセクシーなんですよ〜。見てください。

ーーうわぁ!デニムにもの凄いでっかい穴が開いてるぅ(Blueさんの衣装のデニムパンツが太ももまでぱっくりと穴が開いているデザイン)!

一同:…(爆笑)

Blue:オー、マイ、ガッ!

一同:…(爆笑)

Kwan:せっかく唯一の女性だからね(笑)!ステージから遠く離れた位置から見たら、女性がいるってわからないでしょう?色々考えてこのスタイルにたどり着いたんですよねー(笑)。

Blue:僕もセクシーですよ。ほら(まだデニムの穴を指さしている)。

一同:…(爆笑)

Kwan:はいはい(爆笑)。

再生数億単位の人気バンドに大物の自覚はあるのか?

--INDIGOは、コロナ禍前からタイに行くたびに、テレビやラジオのライブ告知で名前を何度も聞いていました。MVがオンエアされる番組でも何度も見たことがあります。だから私にとってはタイのバンドの中でもかなり有名な印象があります。皆さんは「自分たちはトップアーティスト」という自覚はありますか?

Blue:いや、トップアーティストだとは思っていないなあ(笑)。YouTubeの再生数に関しては、とてもたくさんの方々に視聴していただいているなぁ、とは思っていますね。

Kwan:INDIGOは、みんなで一緒に合唱するバンドではなくて、曲を聴いて、自分たちの恋愛や辛いことを思い出したりして、泣いてしまうっていうスタイルの曲が多いバンドだから、思い出しては視聴する人が多いんじゃないかな?

3人:うえーん(全員泣くふり)

ーーなるほど!だから泣きたい日にタイ人が何度も聴きたくなってしまうのかもしれないですね!

タイジョークが過ぎる。3人が解散しない理由に一同笑って悶絶

--先ほどから3人がとても仲が良い雰囲気が伝わって来るんですけど、INDIGOはバンド結成から何年目ですか?

Donut:知り合ったころからは12年目。INDIGO結成からは8年ですね、

ーーこれだけ仲良く友達みたいな感覚でいられる秘訣は何でしょうか?

Kwan:何だと思う(爆笑)?

Blue:みんなが秘密を持っているから、一人が脱退したらその秘密が外に漏れちゃう!解散だけはしないように死守しなきゃ(タイジョークです)!

Donut:会社の秘密とか(爆笑)!

Kwan:個人のそれぞれの秘密とか!

ーー秘密を握り合っているんですか(爆笑)?

Blue:今までインタビューしてきたタイのバンドやグループで、こんな回答した人たちいます?

ーーいません(笑)!

Kwan:えーっ(笑)いないんだ?

INDIGOの8年間の中で、一番思い出に残っているできごととは?

ーーINDIGOとして活動してきて一番思い出に残っている出来事は何でしょうか?

Blue:この前、2000人キャパの会場でソロコンサートが開催できたことかな。それが一番印象に残っています。
メンバー全員泣いちゃったんですよね。その時、一番最初に泣いたのがDonutだったんですよ!
ライブを始める前に絶対に泣かないって言ったのに!

ーー(笑)…。

Kwan:それで、みんなつられて泣いちゃったんですよ。Blueなんか、滅多に泣かないのに。

Donut:…(笑)。

Blue:僕の夢は大きい会場でソロコンサートを開くことだったんですよ。だからとても幸せで…うれし泣きなんです。とても幸せな時間でした。

INDIGOの次の目標とは?

ーー大会場でのソロライブという夢を叶えた後、次の目標を教えて下さい。

3人:おおおおおおおおおおお!

Donut:日本でイベントやライブができたから、次はまた違う国でライブをやってみたいかな?

Kwan:国際的な音楽フェスティバルにも出てみたいよね?

Blue:どんなフェスがあるっけ?

Donut:ウッドストックとか!まだまだ自分たちの夢ですけど、ウッドストックみたいな、世界的な音楽フェスティバルにも出演してみたいですね。

Blue:タイでもっと大きなソロコンサートもやってみたい。国立競技場で何万人も入るラジャマンガラ・スタジアム(Rajamangala National Stadium)とか!

タイの人気バンドから見た、今のタイの音楽シーンとは?

ーー結成8年というと中堅バンドで、YouTube再生数を考えるとやはり人気バンドだと思うんです。そんな3人から見た、今のタイの音楽シーンはどのように感じますか?

Donut:タイの音楽は成長し続けていると思います。
昔は大ヒットしているバンドは数えられる程度しかなかったけど、今はプロダクションも、メーカーも、メディアも増えました。
ロックバンドだけ流行った時期もありましたけど、今は「T-POP」と言われるジャンルの中に、ロックやヒップホップ、ポップスも全部含まれています。

Blue:インドネシアやマレーシア、アジアの曲もタイにたくさん入って来てるよね。

Donut:そうそう。タイの音楽はもうファッションみたいに、好きなジャンルを自分の個性で選べる感じになったと思うんです。
「T-POP」はアジアだけではなくて、そろそろ世界中の人に聴いてもらえる段階に来ているような気がします。

日本のファンの皆さんへ

ーータイフェスティバルのステージもとても盛り上がっていました。きっと日本人ファンの方も増えたのではないでしょうか?そんなファンの皆さんに、メッセージをお願いします。

Blue:日本のファンの皆さん!今回は一緒に僕らの曲を楽しんでくれてありがとう。また次の機会に皆さんの前で演奏したいです。

Donut:日本のファンのみなさん、応援してくれてありがとう。日本ツアーもやってみたいし、日本語の歌詞の曲もいつかお披露目したいです。

Kwan:今日見に来てくれた方は、INDIGOの曲を初めて聴いた方が多いと思うんです。でも次に会ったら、もう曲は知っていると思うので、ぜひ一緒に歌ってくださいね。

ーーKwanさん、先ほどから少し早めに答えがわかっていた部分があるようなんですけど、日本語話せますか?

Kwan:日本語は少しだけわかります。小さい頃独学で勉強していたので。

Blue:今、Kwanねえさんは彼氏募集中!日本の皆さん、よろしくお願いします。

Kwan:(爆笑)

ーーありがとうございました!

3人:アリガトウゴザイマシター!

取材を終えて

タイ人って、本当に面白い。
タイのアーティストや俳優を取材すると、日本のアーティストや俳優を取材した時と全く別の感覚を持つことが多い。
それはタイジョークと笑わせてくれようとするサービス精神だ。

タイを訪れる際にも遭遇することがあるのだが、タイ人は時々「えっ?」と思うような、捨て身のブラックジョークを聞かせてくれることがある。
INDIGOの3人は、本人たちは謙遜しているが再生数「億」の大物ミュージシャンの一組であることは間違いない。
しかし至る所に「これって書いちゃっていいのかな?」と思うようなブラックジョークを挟み、3人で常に笑い合っていた。とにかく答えをいただくたびに、何か笑わせようとサービスしてくれるとても優しい人たちでもある。
この3人があの物悲しく美しい曲を作り上げ、感情豊かに歌っていると思うと、オンオフの切り替えが本当にうまいんだなあ、と感心するのだった。
何でも言い合えて笑い合える。そんな一つのチームだからこそ、多くの人の心を揺さぶる素晴らしい楽曲を届けられるのかもしれない。
3人の色が混ざり合って存在するINDIGO。また一つ、タイに行ったらライブを見に行きたいバンドが増えてしまった。

[取材・文:吉田彩緒莉(Saori Yoshida/Interview・text)]
[通訳:Boy In Tokyo]

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