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和歌山県串本町の田並劇場で『アピチャッポン・ウィーラセタクン映画特集』

2022年5月13日 配信

和歌山県串本町の田並劇場で『アピチャッポン・ウィーラセタクン映画特集』

本州最南端の劇場である和歌山県串本町の田並劇場では、タイで最も有名な映画監督であり、現代アーティストとしても活動するアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の代表作2本を、2022年6月5日(日)と6月12日(日)の2週にわたって1本ずつ上映します。


田並劇場は、廃墟同然だった建物を、オーナー自らの手で4年をかけ再生させた文化交流拠点です。

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の関心は、いわゆる「周縁」「異界」「精霊」等といったものに注がれていますが、それらは田並劇場の位置する熊野/紀南の地の深層ともどこか通ずるものであり、多くのものを示唆してくれているとのこと。

田並劇場は、地方ではなかなか触れる機会の少ないアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の作品を通して、この紀南の地から、その価値や魅力を世界へと発信するきっかけを考える場を、この上映会・座談会を通して創出するとしています。
http://tanami.jp/

開催概要
『アピチャッポン特集 at 田並劇場 ~熊野でアピチャッポンということ~』

■日時
2022/6/5(日)、6/12(日)
上映会:各日13:00~
座談会:各日16:00~

■会場
田並劇場
〒649-3515 和歌山県東牟婁郡串本町田並1547

■主催
田並劇場
http://tanami.jp/

■共催
紀南アートウィーク
https://kinan-art.jp/

【上映作品について】

『ブンミおじさんの森』(2010|イギリス、タイ、ドイツ、フランス、スペイン|カラー|DCP|114分)
https://www.moviola.jp/boonmee/about/intro/

『光りの墓』(2015|タイ、イギリス、フランス、ドイツ、マレーシア|カラー|122分|DCP)
https://www.moviola.jp/api/haka/index.html

(配給:ムヴィオラ)

【スケジュール】

2022/6/5(日)
上映会『ブンミおじさんの森』13:00〜(開場 12:30)
関連講演会・座談会『アピチャッポン その魅力』16:00〜(開場 15:30)

2022/6/12(日)
上映会『光りの墓』13:00〜(開場 12:30)
関連座談会『アピチャッポンと熊野 – アミニズムの世界へ – 』16:00〜(開場 15:30)

【料金】

上映会+講演会 2,500円/回
上映会のみ、講演会のみ 各1,500円/回
※上映会、講演会共に高校生以下無料
講演会オンライン視聴&アーカイブ視聴 1,000円/回

※オンライン予約は以下のサイトから
https://kumano-de-apichatpong.peatix.com

関連講演会・座談会
※現地参加+オンラインでのハイブリッド開催を予定

2022/6/5(日) 16:00~
講演会/座談会『アピチャッポン その魅力』

講演会 講師:中村 紀彦(アピチャッポン研究家)

座談会 登壇者:中村 紀彦氏、武井 みゆき氏(配給会社ムヴィオラ代表)、林 憲昭(田並劇場)、藪本 雄登(紀南アートウィーク)

内容:アピチャッポン特集の導入ともなる講演会・座談会。アピチャッポン・ウィーラセタクンに馴染みの無い方々に、その過去作品の紹介、新作等の魅力をお伝えいたします。日本唯一のアピチャッポン研究家の中村紀彦氏、配給会社ムヴィオラ代表の武井みゆき氏をゲストとして招待し、アピチャッポンの魅力について語り合います。
また、座談会に先立ち、中村氏による講義「アピチャッポン・ウィーラセタクン クロニクル」を行います。

2022/6/12(日) 16:00~
座談会『アピチャッポンと熊野 – アミニズムの世界へ – 』

登壇者:石倉 敏明氏(秋田公立美術大学准教授)、藪本 雄登(紀南アートウィーク)

内容:紀南/熊野地域の歴史、文化とアピチャッポン作品には、何か親和性を感じられずにはいられません。2022年3月に発売された文芸誌ユリイカ「特集:アピチャッポン・ウィーラセタクン」に「異化されたゾミアの物語 -アピチャッポン・ウィーラセタクン『真夏の不思議な物体』をめぐって」を寄稿された、秋田公立大学美術大学の石倉 敏明氏(神話学者、芸術人類学者)をお招きし、熊野とアピチャッポンの思想の相違、類似やその魅力について語り合います。

 

【アピチャッポン・ウィーラセタクン】

タイ北東部のコンケンで育つ。1994年から映画やビデオの短編作品を作り始め、2000年に初の長編作品を完成させる。また、1998年以降、多くの国で展覧会やインスタレーションを行っており、ウィーラセタクンの作品は、しばしば非線形で、強い価値転倒を生じさせ、記憶を扱い、個人的な政治や社会問題を扱っている。

ウィーラセタクンのアートプロジェクトと長編映画は、世界でも広く認知され、カンヌ映画祭の最高賞を含む多くの映画祭で賞を獲得している。『ブリスフリー・ユアーズ(2002年)』(2002)でカンヌ映画祭の「ある視点」部門賞、『トロピカル・マラディ(2004年)』で審査員賞を受賞。さらに2010年に制作された『ブンミおじさんの森』は、タイ人初となるカンヌ映画祭最高賞を受賞しており、最新作の『メモリア(2021年)』では、審査員賞を受賞し、カンヌ4冠となった。
https://www.moviola.jp/api/

【会場:田並劇場】

田並劇場は、JR紀勢本線「田並駅」の傍らに建っている木造建造物です。劇場として昭和25年頃に田並の有志によって建てられ、娯楽の少なかった当時に、映画や演劇、町内会や学校の出し物などが催されていました。田並劇場が建築された背景を探っていくと、田並の近代史と密接に関わっていることが分かります。

明治、大正から昭和40年頃にかけて、大きな産業を持たないこの辺りの村々では、多くの人々が海外へ渡航し、オーストラリアの木曜島で真珠貝を採る潜水夫として活躍したり、ハワイやアメリカ大陸にまで渡り、さまざまな仕事をしていました。彼らのもたらす富と文化で、田並の町は栄えたといいます。田並は堅実な人が多いのか、海外から送られて来る資産を管理する独自の銀行を設け、将来を見越して子供の教育にも力を入れていた様です。

まだ日本に外国からの文化があまり入って来ていない頃に、田並の町には珈琲やパンの香りが漂い、教会が建てられ、周囲からはアメリカ村とも呼ばれていたそうです。田並の町中を散策すると、何となく洋風な雰囲気を残す建物も僅かに残り、かつての様子をイメージすることが出来ます。田並劇場もそんな田並が華やかであった時代に建てられた建物で、郵便局跡や教会と並ぶ、田並近代史を象徴する貴重な建造物とも言えます。

田並劇場は昭和40年頃まで劇場として機能していましたが、テレビの普及や人口流出の影響か、一旦劇場としては使われなくなります。廃墟となっていた劇場を、2014年から開始した「田並劇場再生プロジェクト」により、4年の歳月をかけ、再生しました。
現在では、月に1〜2回の映画上映会を始め、週に3日の田並劇場カフェ、造形教室、フラ教室など多目的設として使用し、再び人々が集う文化的な交流の場所として活用しています。
http://tanami.jp/

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