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第5回 「タイ式エンタテイメントの楽しみ方」 Kapi Raja(斉藤玄二)さん

2015年9月23日 配信

第5回 「タイ式エンタテイメントの楽しみ方」 Kapi Raja(斉藤玄二)さん

タイ式エンタテイメントの楽しみ方 http://blog.livedoor.jp/kapiraja1968/

  エンタテイメントという言葉は実に幅広い。例えば音楽や映画、ドラマなど、「これが好き」というジャンルは千差万別。ロック好きが演歌を好きになる事はごくまれだと思うし、アクション映画好きが、月9のラブロマンスにはまることは、ほぼないだろう。趣味が分かれるのが普通だ。それはタイでも同じこと。サイアムスクエアでBody SlamのCDを購入する大学生が、ルークトゥンに手を伸ばすことはないだろう。 Kapi Rajaさんの凄いところはタイのエンタテイメントのすべてに精通しているということ。当のタイ人ですらこれを全部理解し、熱く語れる人はなかなかいないのではないだろうか?
  彼は一体、どんなことからタイエンタテイメントの世界に足を踏み入れたのか?更新もマメなブログだけに、これほどの情報を集めることが、嫌になったりしないのだろうか? 聞きたいことを山のように抱え、取材させていただいた。

Q Kapi Rajaさんがタイに興味を持ったきっかけはなんだったのですか?

  一番最初は20年ほど前で、世界的にワールド・ミュージックのブームがあった頃でした。いろいろな国のポップスを聴いている中でタイの音楽ってどんなのだろうと思って、確かその頃読んでいた雑誌「ミュージック・マガジン」でタイ音楽の特集があって、当時のタイで一番人気のある歌手はプムプアン・ドゥアンヂャン(พุ่มพวง ดวงจันทร์)と知って、彼女のテープを買ったのが最初です。
  ただ、それですぐにタイの音楽にのめりこんだ訳ではなくて、その後はしばらくタイの音楽に触れない時期が10年ほどありました。今につながるきっかけは5年前くらいにCDの整理をしていたら、昔買ったマーシャー・ワッタナパーニット(มาช่า วัฒนพานิช)のCDが出てきて、聴き返したらこれがすごく新鮮に聴こえて。今の彼女の歌も聴きたいなと思ってマーシャーのアルバムを集め始めたら、他の歌手にも興味が広がってどんどん深みにはまってしまいました(笑)。

Q 初めてタイに行ったのはいつ頃、どういった経緯からですか?

  僕は今44歳なんですが、40歳近くになるまで海外に出たことがなかったんです。それを内心負い目に感じていて、ちょっと焦りもあったりしたんですが、4年前に仕事を変わって、休みを取りやすい環境になったので、この機会を利用して思い切って海外に行ってみよう、と。でも、じゃあ、どこに行くのかと考えた時に、やっぱり音楽とかに興味があるタイがいいかな、と思いまして。幸い、ガイドブックにも「タイは一人旅のデビューに最適」なんて書かれていたので。それでタイを訪れたのが最初です。

Q 現在はタイの音楽、映画ほか、あらゆるエンタテイメントを紹介していますが、タイのエンタテイメントにはまる前に興味のあったことはなんですか?

  芸術全般に興味がありました。中心は音楽だったんですが、映画もそこそこ観ていましたし、絵画やデザインを見るもの好きでした。人が物を作るという行為に興味があって、そこから見えてくる人間の内面とか文化的な背景を探るのが好きでした。

Q タイのエンタテイメントに触れた最初の瞬間を覚えていますか?

  はっきり覚えています。それは最初に挙げたプムプアンの歌を聴いた時なんですが、乗り物酔いのような気持ち悪い感じになってしまいました(笑)。というのも、当時のルークトゥンはまだ、タイの伝統音楽などでも使われている7等分平均律という音階が使われていて、それが聴き慣れていなかったので、チューニングが狂った音楽を聴かされているような感じがしまして。でも、それで「タイの音楽は苦手だ」とならなかったのが自分でも不思議なところで。その後、何度も何度も繰り返し聴いて、次第にその音階にも慣れていきました。

Q タイのエンタテイメントにここまではまったのはなぜだと思いますか?

  なぜなんでしょうね(笑)。
  ひとつは日本や欧米のエンタテイメントに閉塞感を感じて興味を無くしていた所で、ふとタイに目を向けたら自分が必要としていたものがあった、ということでしょうか。それは最先端とかオリジナリティーとかではなくて、自分の感性に近いもの、他の人たちと同じ感覚を共有できること、そういった事が大きかったと思います。それともうひとつは伝統の継承がしっかり行われているという事ですね。新しく作られるものでも、掘り下げていくとそこにはしっかりとタイで受け継がれてきた伝統や誇りがある。その点は文化的歴史の断絶がある日本人から見たらとてもうらやましい所で。そんなところに惹かれているからだと思います。

Q 個人的な見解で良いのですが、他の国と何が決定的に違うと感じますか?

  僕はタイ以外の他の国に行ったことが無いので的外れな答えになってしまうかも知れませんが、音楽で言うと、アジア諸国の中では群を抜いて音楽的センスやクオリティーが高いと思います。それはタイの人たちが無類の音楽好きな国民であることがひとつの要因だと思いますね。まぁ、技術的な事を言ったら、他の国でも高いクオリティーの音楽を作っている所はあるかもしれませんが、日本人の感性に一番近い音楽は、アジアの中ではやっぱりタイしか無いんじゃないかなぁ。映画に関しては、アピチャートポン・ウィーラセタクン(อภิชาติพงศ์ วีระเศรษฐกุล)監督がカンヌで賞を獲ったように、世界レベルの質の高い映画を作れる人が出てきていると思いますが、全般的に見るとまだ玉石混交ですかね。良いものは本当に良いのですが。

Q Kapi Rajaさんがここ最近個人的に推しているタイのアーティストは誰ですか?

LULA独占インタビュー

  一推しはタイランドハイパーリンクスさんでもインタビューしていただいたLula(ルラー)です。彼女のことはジャンルを問わず、タイ音楽すべての中で今、一番好きな歌手です。Lulaは音楽的にも幅広いし、なんといっても彼女の歌声がすごく好きです。すごく引き込まれる声をしていますよね。それに彼女をプロデュースしているTonn Sofaもすごく才能がある人だと思うので、今後もすごく楽しみな歌手です。
  あと、ルークトゥンで言えばパオワリー・ポンピモン(เปาวลี พรพิมล)ですね。名実ともにポスト・プムプアンになりつつあるパオですけど、将来的には今以上にパオのオリジナリティーを出せるようになっていってほしい。
  モーラムではカーオティップ・ティダーディン(ข้าวทิพย์ ธิดาดิน)が良いですね。モーラムというジャンルを超越した彼女のハイブリットな音楽は日本でも幅広い層に高い評価を受けています。今後も国境やジャンルを超越した音楽を作り出してくれるに違いない、と期待しています。

Q 音楽はタイを含めて、個人的にはどのジャンルがお好きですか?

  年代的に1980年代のポップスをリアルタイムに体験してきた世代なので、歌心のある音楽が好きです。その辺は今のタイの音楽とも共通するところだと思います。もともとジャンルに固執するのは苦手なので、以前はポップス・ロックはもちろん、現代音楽から民俗音楽、クラブ・ミュージックなどありとあらゆるものに手を出していました。節操が無くて(笑)。今はタイの音楽しか聴けない体になってしまいましたが。

Q タイ人でもモーラムが好きな人、ルークトゥンが好きな人、ロックやポップスが好きな人はわかれていると思いますが、Kapi Rajaさんは全てに精通しているように思います。好きだからでなければできないことだと思いますが、その共通点は何でしょうか。

  共通点は「等身大のタイ」「素のタイ」という事です。ジャンルとかスタイルとか上辺のものを取り払った時に残っているは飾らないタイの本当の姿という、どの音楽にも共通している事だと思うんです。自分はそこに一番興味があるので、ブログでもどのジャンルという風に限定せずに、良いと思ったものは取り上げるようにしています。日本人にとってタイは今、大人気の観光国になっていますが、観光面以外で知られている事ってまだまだ少ない気がするんです。音楽って、その国に住む人たちの好みや考えがダイレクトに反映されるものなので、その辺を自分は探っていきたい、と思っています。

Q これまで行ってみたタイのイベントで印象的だった出来事を教えてください。

  以前、バンコクに在住されてた方にルークトゥンのコンサートに沢山案内してもらった事があるのですが、それは全部強烈に印象に残っていますね。
  特に初めて体験したのがターイ・オラタイ(ต่าย อรทัย)とシリポーン・アムパイポン(ศิริพร อำไพพงษ์)というビッグネームの二人のコンサートで、コンサート終了後、舞台裏に押しかけていって写真を撮らせてもらったら、シリポーンは腕まで掴んでくれて一緒に写真を撮ってくれました。「どんだけ優しいんだよ」って思いましたね(笑)。
  他の歌手もみんな写真やサインをお願いすると、嫌な顔ひとつせず応じてくれるんですね。今まで自分が持っていた常識がバラバラと崩れていった瞬間でした。それと、2年前にマハーチャイの船着場で行われたゴット・チャクラパン(ก๊อท จักรพันธ์)のコンサートには万単位の人が集まっていたのにもビックリしました。
  当然、外国人は僕と案内してくれた人二人くらいで、他はみんな地元の人たちだったと思いますが、こんな世界があったのかと。ちょっとしたカルチャー・ショックでしたね。こういうのはちょっとやそっとじゃ体験できない事なので、案内してくれた方には本当に感謝しています。

Q ブログをはじめようと思ったのはそんなことからですか?

  最初は「どうせタイの音楽や映画なんてマイナーなテーマのブログなんて無いだろう」という気持ちからでした。大間違いだったんですけど(笑)。
  実は今のブログの前にも、いくつかブログをやってみたことがあるんですが、どれも中身が無さ過ぎて続きませんでした。今のブログも高々3年ちょっとですけど、飽き性の自分がこれだけ継続できているのは、タイにそれだけ魅力があるからではないか、と。それに、ブログをやっていると、普段だったら知り合えなかっただろうという人にも出会えましたし、自分にとってもすごくプラスになっていると思います。

Q これだけの情報を集めて掲載するのは大変だと思いますが、ブログを続けるのが面倒になったことはありませんか?

  毎回、面倒です(笑)。常に綱渡り状態で。でも中身のない記事をたくさんアップしてもあまり意味がないと思うので、少しでも有益な情報を入れたいと思って書いていると、無駄に長い記事になっちゃったりして(笑)。誰も読まないと分かってはいるものの、ついつい。性格なんでしょうかね。

Q ブログのプロフィールに将来はタイに住みたいと書いてありました。それに向けて準備はしていますか?

  少しずつですが、着実に準備はしています。すぐに住むということにはならないかも知れませんが、今年中には半年くらいの期間で滞在できるようにしたいと思っています。その先はまだどうなるか分かりませんが。

Q ブログを続けていけるパワーはどこから出てくるのですか?

  たぶん、自分が良いと思ったものを人に教えたい、というおせっかいな性格からだと思います(笑)。人それぞれ好みが違うから、自分が好きだからって他人が気に入ってくれる訳ではないんですけどね。それに、タイの音楽や映画を継続して取り上げているブログってまだまだ少ないのが現状だと思うんです。できれば日本人にももっと知ってほしいし、自分のブログがそのきっかけになってくれれば嬉しいなぁ、と思いながら日々続けているのですが・・・。現実的にはまだまだ、といったところでしょうか。

  確かにタイの音楽はジャンルに関わらず、流れてくるだけでタイの風景や出来事を鮮明に思い出させてくれる。タイの素顔の魅力がそのまま表れている「タイ式エンタテイメント」にはまったKapi Rajaさん。これからも私たちタイ好きに多くのエンタテイメント情報を発信していただきたい!

(2013年4月7日掲載)