|
|

©タイ警察
【2025年7月21日】タイ警察は、オンライン詐欺対策センターの会議において、全国で進行中のオンライン詐欺事件に関する対応状況を報告しました。中でも、チェンマイ県で摘発された2件の大規模事件が注目を集めています。
7月上旬、チェンマイ県ハーンドン郡の高級プールヴィラにおいて、中国人グループがオンライン賭博サイトを運営していたとして、警察が家宅捜索を行いました。詐欺の手口は、60代から80代の高齢の中国人をターゲットとし、投資話を持ちかけて金銭を騙し取るというものでした。
現場では、中国人14人とミャンマー人3人を確認し、パソコン10台とスマートフォン26台を押収しました。グループは、かつてチェンマイ県サンサーイ郡を拠点に活動していましたが、警察の摘発を受けてハーンドン郡に拠点を移していたとみられています。
関係者の多くは観光ビザや学生ビザを取得してタイに滞在しており、学生ビザについては、一部の私立大学や仏教系教育機関を通じて発給されたものであることが判明しました。チェンマイ県内で登録された中国人留学生の数は13,000人以上にのぼっており、その一部が詐欺に関与している可能性があります。
警察によりますと、被害者は中国国内に10万人以上いるとみられ、被害総額は1億元(約20億円相当)に達するとのことです。
さらに7月中旬には、チェンマイのショッピングモールで、ATM前でもめごとが発生し、警察が出動しました。現場には約260万バーツの現金が散乱しており、状況を確認した結果、中国人2人とタイ人1人が関与する「出し子」グループによる犯行であることがわかりました。
このグループは、投資を装った詐欺で集めた資金を現金化し、組織の上層部に送金する役割を担っていたとされています。タイ人は、借金返済のために初めてこの仕事を引き受けたと供述しており、経済的な理由で巻き込まれるケースもあるとみられています。
警察は、名義借り口座や違法な資金移動に関与する個人や企業を厳しく取り締まる方針を示しています。また、国外で詐欺に加担したタイ人に対しては、適切な手続きを通じて帰国させ、人道的観点をふまえた対応を行うとしています。
今後も関係機関と連携し、犯罪組織の全体像を明らかにするとともに、オンライン犯罪の根本的な構造の断絶に取り組むとしています。
関連記事
新着記事