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上福ゆき(東京女子プロレス)独占インタビュー「タイの人に見つけてもらいたい、自分も何かを見つけたい」

2023年2月1日 配信

173センチという高身長を生かして、2017年から女子プロレスラーとして活躍する上福ゆき選手(東京女子プロレス)。そんな上福選手が、2023年1月28日(土)、タイのプロレス団体SETUPタイランドプロレスリングが主催する大会「SETUP THAILAND PRO WRESTLING EP.11」(会場バンコク・サーカススタジオ)に出場しました。



上福選手は、SETUPタイランドプロレスリング所属のマッチャ選手と対戦し、タイでの初勝利を飾りました。(参照 上福ゆき(東京女子プロレス)、タイSETUPでマッチャに勝利

今回、タイランドハイパーリンクスはタイでの試合を終えた上福選手にインタビューを行い、試合の感想や女子プロレスにかける思いなどをお聞きしました。

 

タイ遠征では観光よりも「どこまで自分が海外で引っかかりになれるか」を探したい

--今回のタイ遠征以前にタイに来られたことはありますか?

上福ゆき:そうですね、2018年くらいに友人と旅行で来たことがあって、タイに来るのはそれ以来になります。

--その時のタイの印象はいかがでしたか?

上福ゆき:日本で5年前に流行った美人がいる、みたいな感じでした。

--流行の違いということでしょうか?

上福ゆき:そうですね、勿論綺麗なんだけど、日本でちょっと前に流行った感じ。

--今回のタイ遠征はシンガポールから直接来られたとお聞きしました。帰国までにタイで食べたいものや行きたいところはありますか?(タイでの試合の前日、2023年1月27日はシンガポールで行われた試合に出場)

上福ゆき:食べたいものや行きたいところも勿論あるんですけど、自分は今アジアで活動していくことにすごく興味があるので、タイを含めたアジアの国で自分がどこまで引っ掛かりになれるかな、っていうのを探りに来たところが大きいです。日本では可愛い子がモテるとかあると思うんですけど、自分は”日本でのモテ”に需要を感じないなと思いまして。勿論日本から応援してくれる方もいるんですけど、自分はせっかく英語も喋るので、今は東京女子という看板を背負ったうえで自分がどこまで海外で引っ掛かりになれるかなって考えています。自分がタイの文化を学びたいとかタイ料理を食べたいっていうよりも、どうやったらタイやシンガポールの人たちに引っ掛かってもらえるのかを探しているので、街中を見ていてもやっぱり気になるのはポスターに使われている女性の雰囲気とかですね。普通に歩いている人よりも、自分が目指している先を見たいなと思って。

--タイの人の目に留まる存在になりたいですか?

上福ゆき:そうですね。それこそ5年前に来た時の感想で「日本よりちょっと前だな」っていうのがあったので、じゃあプロレス業界で自分がそのギャップを埋める、時短する役割が出来たら良いなって思って。自分がどうやったら東京女子プロレスっていう今伝えたいものを伝えられるのかって考えたときに、今海外で流行っているものに自分が溶け込むことが出来たら良いんじゃないかなって思ったんです。それで私のことを見つけて「こんな面白い子いるんだ」って思ってもらえたら嬉しいですし、きっかけは自分でも、その後東京女子プロレスの他の子を見て「この子可愛いじゃん」とか「この子面白いじゃん」って思ってくれたら嬉しいです。とにかく見つけてもらいたいので、そのための活動をしたいですね。

 

タイは性別にとらわれない美しさを追求している国

--以前上福さんのFacebookやInstagramの投稿がタイの人の間で話題になりましたよね。

上福ゆき:そうです!さっきタイは日本で5年前に流行った美人がいるっていう言い方をしてしまったんですけど、性とか整形とかに対しては日本よりすごく進んでいて、性別にとらわれない美しさを追求している国だなって思います。日本って結構可愛らしくてイノセントな感じが受けると思うんですけど、私は割と”女の子”っていうよりも人として綺麗でいたいっていう考えを持っているので、そこがタイの人にマッチして話題にしてもらえたのかなって。

 

アジアで結束出来れば

--タイで話題になって、タイから応援してくれる人がいると知った時どう思いましたか?

上福ゆき:めちゃめちゃ嬉しかったですね!タイと日本って同じアジア人だけどまだ分かり合えていない部分があると思うんですよ。例えば日本人にとって中国語だったらちょっと漢字が読めたり、英語だったら沢山の人が読めたりするけど、タイのタイ文字ってうにゃうにゃで何も分からないじゃないですか。何一つ読めなくて(笑)。音で「カオマンガイ」とか「パクチー」とか聞けば何となく分かるけど、文字が読めないとなると「こんなに近くの国なのに」とか「同じアジアなのに」ってもどかしい気持ちになっちゃって。今はSNSとかで世界中の人と色んなものを共有できるけど、なぜか分かんないけどちょっとした壁がある感じがするんですよ。アメリカのものとかは何でも取り入れるのに、なんで近い同じアジアの国同士でそうならないのかなって。ギブアンドテイクの精神があれば、絶対アジアはもっとクールになるよなって思います。プロレスに関してもアメリカを目指す方が多いんですけど、私はアジア人めっちゃ最強って思っているのでアジアで結束すれば何かすごいものが出来るんじゃないかなって考えています。

--今回タイにプロレスラーとして行くことが決まった時はどんな気持ちでしたか。

上福ゆき:シンプルに嬉しかったですし、プロレスだけやりに来るんじゃダメだって思いました。

--流行のチェックなどですか?

上福ゆき:そうですね。タイの人に見つけてもらいたいし、自分も何か見つけたいしっていう気持ちです。今日試合に出場されていたプロレスラーの中にゲイの方がいらっしゃったんですけど、男だ女だゲイだって性別を語る以前にすごく美しくて、そういう人がいるっていうことを知っただけでも何かヒントになる気がします。例えば日本でいったら、女の子はランドセルピンクじゃないといけないとか黒は男の子のものだとか、そういう価値観を超越したものをタイには感じました。

 

タイでの初試合を終えて

--タイでの試合を終えての感想を教えてください。

上福ゆき:すごく歓声が上がって受け入れてくれている感じがして、あったかい場所だなって思いました。日本人の私を「外来種が来た!」ってよりも「仲間が増えた!」って感じで思ってもらえていたら嬉しいです。今回試合をさせていただいたマッチャちゃんは、この試合の主催であるSETUPというタイのプロレス団体でただ一人の女性プロレスラーなんです。

SETUPE所属のマッチャ選手

SETUPE所属のマッチャ選手

上福ゆき:女の子が一人っていうことは、タイでの女子プロレス文化とか人気度がまだまだってことだと思うんですけど、今日の試合で私に沢山歓声が上がったことに対して彼女が「悔しい!私の場所なのに。」って思ってレベルアップして、もっとタイで女子プロレスが広まるきっかけになるとか、何でも良いんですけど良い影響を与えられたらなって思います。お客さんも、自分のことを見て「日本人でこんなことをやっている子がいるんだ、じゃあ自分も何かやってみようかな。」って、プロレスじゃなくても日本で料理を勉強するとか何か影響を与えられたらなって感じです。私はド真面目なキャラではないので、誰かが新しい行動を起こすきっかけになれると良いかなって思います。

マッチャ選手に卍固めをきめる上福ゆき選手

マッチャ選手に卍固めをきめる上福ゆき選手

 

プロレスを通して伝えたいメッセージ

--タイには女子プロレスの文化があまり浸透していませんが、上福さんが思う女子プロレスの魅力やタイの人に伝えたいことは何ですか?

上福ゆき:日本にも共通することだとは思うんですけど、「もっと自由に生きて良い」っていうのをプロレスを通して伝えられたら良いなて思います。世の中、決められたことや世間で認められることだけをやるのがカッコいいって思われることが多いと思うんですけど、自分で決めた道を突き進んで自分らしく生きることも、それはそれでカッコいいよって女の子に伝えたいです。何かを始めるときに年齢を気にするとか、私なんて人前に立てないよなって思うのは大間違い。もっと自由に生きて良いって伝えたいですね。

--試合を見ていてそのメッセージがすごく伝わってきました。とてもカッコ良かったです。

上福ゆき:本当ですか!?めちゃくちゃ緊張してて、吐いちゃうかと思いました(笑)。

--試合の時、会場のお客さんからは上福さんの愛称である「かみーゆ」コールも沢山ありましたね。

上福ゆき:良かったです本当に。最後、私が勝ったのにテーマ曲が流れないっていうハプニングが起きたんです。誰かがプラグを抜いちゃったみたいで、多分私が勝つのが気に入らなかった人が抜いたんでしょう(笑)。曲が流れないからめっちゃびっくりして、もっとやっつけなきゃいけないのかなって思ってやっつけようとしたらレフェリーさんに止められたので、勝っていたなら良かったって思いました。

 

タイの会場の雰囲気

--日本で試合するときと雰囲気の違いなどはありましたか?

上福ゆき:日本人って自分がめちゃくちゃ盛り上がったあとに、ちょっと我に返って恥ずかしくなっちゃうことが多いと思うんですよ。東京女子プロレスのお客さんも、広い会場だと「わー!」って声が出せるんですけど、小さい会場だと大声で「いけ―!」って言った時に「自分だけ?」ってなるのが恥ずかしい、みたいなところがあるんです。タイはそういう部分での差を感じましたね。自分らしい、というかあまり周りを気にしないっていうのがすごく良いと思いました。タイは街中でも、どピンクのスポーツブランドのTシャツを着て、高級車の横を堂々とチャリで通り過ぎる人とかいるじゃないですか、何も気にしていない感じで。でも自由に楽しく生きているだろうなって思います。そんな感じでタイの会場はあったかい雰囲気もあるし、自分が楽しむために来ているって感じがありました。日本のファンの方の中には、「この子を応援しているから、この子のために来る」っていう人もいるんですけど、タイは自分が楽しむために「楽しませてよ!」っていうスタンス。”自分が”楽しいとか楽しくないっていうことを大事にしている感じがします。

--タイのお客さんは素直に反応している感じですか?

上福ゆき:そうですね。だからすべったなって思う時もあります。「あれ、今の伝わってない?」みたいな(笑)。

 

プロレスだけじゃない部分も見てもらいたい

--上福さんはタイを含めたアジアで女子プロレスを広めたいということですが、今回の試合を終えて手ごたえなどはありましたか?

上福ゆき:これを機に日本の女子プロレスに興味を持ってくれたら良いと思うし、私のコスチュームを見て「日本の人が着ているこれ良かったな。」ってプロレスだけじゃない違う部分も見てもらえれば良いなって思います。私を見て、誰かが新しい気持ちを抱いてくれれば「よっしゃ!」って思いますね。海外の人の多くは日本人のアイドルとかを見ていると思うから、日本の女の子ってフリフリした服を着た可愛い感じだと思っている人がいるかもしれないですけど、「違うわ」っていうのも知ってもらえたら良いなって。

 

興行もWin-Winになるやり方で

--今後アジアで女子プロレスを広めていくうえでチャレンジしてみたいことはありますか?

上福ゆき:偉そうなことは言えないんですけど、前回マレーシアに行ったとき興行の段取りが死ぬほど悪いと思ったんですよ。人の入れ方、物販の仕方、待機の仕方、選手の立ち居振る舞いとか。裏側の部分にはなりますけど、「こういう風に告知すればこういう人が見に来てくれるのに」って感じました。自分は地元の神奈川県藤沢市でも興行をするんですけど、チャリティーに興味があるので、例えばこの地域の清掃活動をしたら興行を見に行けるとかそういう告知の仕方もアリだと思うんです。勿論興行なので売り上げに繋がるっていうのが大事ですけど、どこかの部分で余裕を作ってWin-Winになれるやり方があるんじゃないかなって考えています。お金を稼ぐっていうだけが目的じゃなくて、地域の活性化にも繋がるようなこと。例えば企業とか学校とかとコラボして、「プロレスを楽しみに来ている人とプロレスラー」だけじゃない空間を作って、新しいことが出来るんじゃないかなって思います。プロレスだけだったら、会場に来る人はプロレスを見ることだけが目的じゃないですか。でもそれプラス何か違うものを取り入れたら、それ目当てで見に来てくれる人の種類も増えて、その人たちがプロレスを見て興味を持ってくれるかもしれない。逆もまた然りだと思うから、広め方、宣伝の仕方も色んな風に出来るんじゃないかなって思っています。

--試合だけではなくて、どう見てもらうか、どんな人に見てもらうかも大事なんですね。

上福ゆき:そうですね。人がいっぱい集まっているんで、何か新しいことをやったり盛り上げたり、皆がポジティブな方向に行くものだったら全力でやってみたいなって思います。

--女子プロレスに馴染みが無い方からすると、上福さんはそれを知るきっかけになるような存在だと思うので、是非色々な人を巻き込んで活動していって欲しいです。

上福ゆき:そう!衣装も被服の学生とかが作ってみて、それで戦ってみるのも面白いと思うし、色んな事が出来そうだな、可能性がいっぱいあるなって思います。

 

華やかなコスチュームへのこだわり

--今のコスチュームにはどんなこだわりがありますか?

上福ゆき:私は極力プロレスラーに見えないような恰好にしたくて、とにかく綺麗でおしゃれに見えるようにしています。プロレス好きじゃない人に「素敵」って言ってもらえて、好きになるきっかけになりたいっていうのが自分の思っていることなので。鍛えてマッチョになってかっこよくなって、プロレスラーっぽいガウンを着て、というよりも「え、なんかあの子おしゃれ!」って興味を持ってもらえたらなって思っています。

上福ゆき、タイSETUPで抹茶に勝利

上福ゆき:自分は24歳の時にデビューだったんですけど、もともとガタイが良いほうではないのでそっちで勝負しても間に合わないと思ったんですよ。だから自分はセクシーな感じとかちょっと小生意気な感じで。女子プロ=歴代の有名選手たちのイメージがあるじゃないですか。私はそうじゃなくて「おしゃれで綺麗」な感じで、これまでの逆を行きたいなと思ってこういうコスチュームにしました。やっぱり新しいことやるの好きだし。

上福ゆき(東京女子プロレス)、タイSETUPでマッチャに勝利

--華やかで素敵です!

上福ゆき:「着てみたい」って思われたいんですよ。コスチューム見て「わ、プロレスの恰好じゃん」って絶対ならないようにしたいです。ヴィクシー(Victoria’s Secret)のモデルさんみたいに憧れて欲しい、普通の子にも、って思います。

--イメージ通りです!

上福ゆき:本当にそういうのを意識していて、普通の子がプロレスを見る入口になりたいって思います。勿論女の子だけじゃなくて、とにかく入口になりたいっていう気持ちが強いです。

--これからも応援しています!本当にお疲れ様でした!

上福ゆき:有難うございました!

 

■上福ゆき
1993年2月20日生まれ
神奈川県藤沢市出身
173cm A型
https://twitter.com/zacyuki
https://www.instagram.com/yuki_kamifuku
https://ameblo.jp/yukikamifuku

東洋大学ミスコンの準グランプリ受賞経験があり、週刊誌でグラビアを披露する機会も多い。長身から繰り出すドロップキックと逆水平チョップを武器にインターナショナル・プリンセス王座を獲得するなど実績を上げている。3・19両国国技館大会では親友・朱崇花とのVENYU対決で激闘を繰り広げた。

■東京女子プロレス
https://www.ddtpro.com/tjpw
https://twitter.com/tjpw2013
https://www.youtube.com/channel/UCQPAIKyGyLCBnbvdwG0j6BQ

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<インタビュアー・記事作成:児玉瑞歩(タマサート大学ジャーナリズム&マスコミュニケーション学部)>

 

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