両替レート
|
|

タイ警察中央捜査局(CIB)は、経済犯罪の水面下で広がる「欺瞞の倉庫」に静かに一石を投じた。舞台となったのは、バンコク北東部。ナワミン通り89番地にある一軒家。そこはもはや“住まい”ではなく、“幻想を生産する装置”だった。見かけはごく普通の住宅。しかし扉の内側には、偽ブランド商品が整然と積み上げられ、数万の偽物が「真実の皮」をかぶり、発送を待ち続けていた。
摘発に動いたのは、CIB傘下の経済犯罪捜査課。犯行を裏で支えていたのは、ベトナム国籍の女、Ms.Phan Thi Suong。マーシャルのスピーカーやApple Watch、カシオの腕時計──すべてが模造品。そして未発送の偽物は、5万点を優に超えていたという。CIBは慎重に証拠を押さえつつ、一気に現場を制圧した。
それは偶然だったのか、あるいは必然だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。CIBが追跡していたのは単なる模倣品の流通ではない。「信頼という名の資本」を食い物にする“電子商取引の落とし穴”である。犯人たちはSNS上で“驚きのディール”を装い、巧妙な広告でユーザーを罠に導いていた。
物流倉庫に化けた住宅の静けさの裏に、何人の消費者の「期待」が踏みにじられてきたのか。どれだけの“箱”が、失望と共に返送されてきたのか。そして誰が、その偽りの連鎖に終止符を打てるのか。CIBは、その問いに一つの答えを示したに過ぎない。
タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。
関連記事
新着記事