銃声なき戦場にCIBが挑む、商業施設の静寂を撃ち破る訓練の叫び

タイ警察中央捜査局（CIB）は、バンコクの大型商業施設「ザ・モール・タープラ」にて、銃乱射事件を想定した緊急事態対処訓練を実施した。買い物客が行き交う平穏な空間が、一転して緊迫の仮想戦場と化した。そこに配置されたのは、中央捜査局傘下の精鋭──特別任務警察の訓練チーム。あらゆる混乱と恐怖が想定される中で、冷静さと判断力が試される。訓練は単なる「演習」ではない。これは“生と死”の境界線を超えるための覚悟の儀式である。

現場では、銃撃犯の想定に基づき、従業員や関係者が「逃げる」「隠れる」「知らせる」「止血する」といった対応を繰り返し、重苦しい沈黙と緊張が支配した。指導は理論に留まらず、銃声が響かぬまま精神を打ち抜くような「想像力」の訓練が展開されていた。通報、連携、負傷者支援、包囲・制圧。その一つひとつに、もしもの時に誰が命を守れるか──という問いが突きつけられていた。

それは偶然だったのか、あるいは必然だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。だが、あの日あの場にいた者たちは、もはや平穏をただの「日常」とは呼ばなくなったに違いない。非日常の訓練を経て、彼らの眼差しには一瞬の緩みすら許さない現実が宿っていた。誰もが口には出さずとも、脳裏に「いざという時」が焼きついたのだ。

「俺が最後まで守る」そう心の中で叫んだかどうかは不明だが、CIBの隊員たちの背中は、明確にそう語っていた。無言の説得力。それこそが、演技ではない“誓い”の証だった。訓練は終わった。だが、備えは続く。CIBが現場に立つ限り、次なる危機にも一歩も引かぬ盾となることは疑いない。

タイ中央捜査局（CIB） プロフェッショナルで中立、国民と共に。