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漫画出版社 Let’s Comic社|ジジイ梅がタイのマンガ界をノゾいてみた!

2015年9月23日 配信

タイのマンガ界をノゾいてみた!(6) Let's Comic社

タイの漫画出版社①~アート系から実験的漫画まで、若い才能を紹介する『Let’s Comic』社

 インディーズ系の隔月刊漫画雑誌『Let’s Comic』。ページを開くと、様々なスタイルの漫画やイラスト作品が溢れていて、「タイのここらへんのパワー、キテルなあ!」と感じます。
外務省主催の国際漫画賞を獲得し、この欄で紹介した2人の漫画家(ホルマリン=エクカラット・ミリンタパースさん、タニス・ヴィラサックウオンさん)の単行本も、この雑誌に掲載された作品を収録したものです。

  出版人兼編集者のタニャラック・テチャスリスティーさんに話を聞きました。

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Q:漫画雑誌を編集するようになったきっかけは?

「高校の時、漫画仲間と同人誌を作ることになりました。それの準備をしていると、父が“俺が印刷してやるよ”と声をかけてくれました。私の家は小さな印刷会社をやっていて、同時に父は映画雑誌『Star Pics』を編集していたんです。父が高校生の時に創刊した雑誌で45年以上続いています。え~、これが、その同人誌です。名前はボン・ブック。ボンとはタイ語で“つまらない小さなもの”みたいな意味です(笑)。500部くらい刷って一冊25バーツで売りました。全部で3冊発行しました」

タイのマンガ界をノゾいてみた!(6) Let's Comic社
高校の頃に作った同人誌

「その頃は私も漫画家になりたくて、こんな風に作品を描いていました。でもスピードが遅くて。そうこうしている内、編集が中心になってしまいました。
グラフィックアートの大学に入ってからも発行を続けました。『Let Gang』という名前でやはり3号出しました。文芸雑誌『a day』の編集部の伝記漫画を依頼されたりもしました。当時は同人誌ブームで、そのフェスティバルが催されていたんですよ。でも、たった数年でその勢いはなくなりました」

Q:今もコスプレとかのフェスティバルは人気ですが、同人誌の方は何で廃れていったんですか?

「手間がかかるからでしょう。一冊の本を作るのはハードワークですからね。また、最近はフェイスブックなどネットで簡単に自分の作品を発表できますし」

Q:『Let’s Comic』の第一号が発行されたのは?

「2007年ですね。大学在学中から準備して、卒業して半年後くらいに発行出来ました。5000部刷ってタイ全国で販売しました。当時は漫画だけでなく、いろんな記事も載ったアート系の総合雑誌でした。今は少し方向が変わり、漫画が主体になっています。これまで37号まで出し、他にスペシャルとして単行本を28冊発行しました」

Q:読者はどんな人たちですか?

「17~21歳がメインで、アート系の学生が多いです。そういった読者が原稿を持ち込み採用することもあります。ちなみにデビュー作品の場合、16ページで3,500バーツです。以降、ページ単価は350・400・450・500バーツと変わっていきます。単価は作者や作品の人気に比例した形ですね」

*この原稿料はタイの漫画界では普通です。他の出版社や漫画家に聞いても、大体このくらいでした。

Q:今後の夢は何ですか?

「大きな夢は、日本の漫画のように、タイの漫画が世界的に知られることを手助けすることです。小さな夢は、雑誌を通じて読者の人たちに楽しい時間を過ごして貰い、自分たちでも描いてみたいというインスピレーションを持って貰うことですね」

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 『Let’s Comic』社があるのは、バンコク市内の庶民的エリアにあるポスター屋さん兼印刷屋さんの2階。編集作業はタニャラックさんが70%くらい行っているそうです。
小さなオフィスですが、才能溢れる若者たちが集まる夢が一杯の出版社です。まるで往年の名漫画雑誌『ガロ』みたい。では、タニャラックさんは長井勝一さんのような存在?

タイのマンガ界をノゾいてみた!(6) Let's Comic社
(左から)ソンさん、前回紹介したタニスさん、ノートさん

タイのマンガ界をノゾいてみた!(6) Let's Comic社
LET’S COMIC最新号

タイのマンガ界をノゾいてみた!(6) Let's Comic社
ノート・ピラックさんの単行本

タイのマンガ界をノゾいてみた!(6) Let's Comic社
個性溢れる才能を世に紹介している

タイのマンガ界をノゾいてみた!(6) Let's Comic社
雑誌の他、人気イラストレーターの画集も発行

(2012年9月15日掲載)

ジジイ梅がタイのマンガ界をノゾいてみた!

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