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タイで祭り企画の「イッテQ!」に放送倫理違反、ただし程度は重いとは言えない

2019年7月7日 配信

放送倫理・番組向上機構[BPO] の放送倫理検証委員会は、日本テレビ「謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!」で2017年2月に放送された「タイ・カリフラワー祭り」と2018年5月に放送された「ラオス・橋祭り」が、その程度は重いとは言えないものの放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断しました。



週刊文春が「世界の果てまでイッテQ!」の宮川大輔さんによる人気企画「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」のやらせ疑惑を報じたのが2018年11月のこと。その後日本テレビは「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」の企画の放送を見合わせています。

タイとラオスで祭り企画の「イッテQ!」に放送倫理違反

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放送倫理・番組向上機構[BPO] の放送倫理検証委員会(神田安積委員長)は、審議していた日本テレビ『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』2つの「祭り企画」に関する意見(委員会決定 第29号)をまとめ、2019年7月5日、記者会見して公表した。海外ロケをした「祭り企画」にでっち上げの疑いがあると週刊誌が報じ、審議を続けてきた『世界の果てまでイッテQ!』について、委員会は、2つの「祭り企画」には、その程度は重いとは言えないものの放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断した。

■ 概 要
日本テレビの『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』で、2017年2月に放送された「タイ・カリフラワー祭り」と2018年5月に放送された「ラオス・橋祭り」にでっち上げの疑いがあると週刊誌が報じた。
日本テレビは、当初は現地コーディネーターの提案によるものだとして番組サイドの制作責任を明確に認めず、その姿勢が批判され、「タイ・カリフラワー祭り」に関して続報が出るや、一部の祭りにおいて開催実績や開催経緯などの説明に誤りがあったことを認め謝罪、「祭り」企画を当面休止することを明らかにした。
委員会では、過去に開催実績のない祭りに「年に一度の祭り」といったナレーションを付けて表現することは、視聴者との間で了解があったとは言えないのではないか、番組の本来のコンセプトは地域にある祭りに挑戦することと思われるのに、問題となった2つ以外にも開催時期やルールなどを変更した「祭り企画」が少なからずあり、その意識が希薄だったのではないか、過去の開催実績の有無の問題が生じている「祭り企画」がタイを中心とした東南アジアに集中していることは、制作過程に何らかの問題があったからではないか、といった疑問があることから、問題となった2つの「祭り企画」の制作過程を検証し意見を述べるため、審議入りを決定した。
委員会は、日本テレビから提出された2つの「祭り企画」の映像や報告書などを検討するとともに、日本テレビのプロデューサーや総合演出、現地コーディネーターら計12人に対し、約16時間にわたり聴き取りをした。その結果に基づき、2つの「祭り企画」の制作・放送に至る経緯を検証した。

■ 委員会の検証と判断
委員会は、(1)「祭り」は番組のために用意されたものであったが、制作スタッフはその過程を把握していなかった(2)視聴者の「了解」の範囲を見誤り、ナレーションによって地元に根差した「祭り」への体当たり挑戦と思わせた(3)挑戦の舞台である「祭り」そのものへの関心が希薄化し、安易なナレーションを生んだ、と分析した。
問題は、現地コーディネーターによる、2つの「祭り」のリサーチからロケの実施までの過程を、制作スタッフがほとんど把握していなかったこと、このコーナーが始まったかなり初期の段階から、それぞれの「祭り」について十分な確認をしないままに「年に一度の」「前年王者」「今年も優勝の呼び声高い強豪」などと、実際とは異なるナレーションやスーパーをかぶせていたことである。
そして、制作過程の重要な部分を制作者側が把握していなかった点で、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであり、ナレーションとスーパーで出演者がもともとある祭りに参加しているように視聴者を誘導した点で、多くの視聴者が番組に求める約束に反したものだったと言われても仕方がない。
よって、委員会は、2つの「祭り企画」には、その程度は重いとは言えないものの放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断した。

■ おわりに
世間には、さまざまなタブーや差別、偏見、制約、ルールがある。それらを軽快にくぐり抜け、あるいは逆手に取ったりして、世の中の権威や無意味な制約を笑いとばし、差別や偏見のばかばかしさを暴き、新たな驚きや笑いを視聴者に届ける、そのようなしなやかさや気概をバラエティー制作者には持ち続けてほしい。制作者自らが、視聴者、その背後の世間との間合いを測りながら、他方で声の大きい世間に安易に迎合することなく、深く考え、自ら問い、そして新たな挑戦をする。そこに、ネットやSNSの世界とは異なるバラエティーの新たな面白さを貪欲に追求するテレビ番組制作者の醍醐味があるのではなかろうか。
「祭り企画」について日本テレビは、視聴者に自信を持って提供できる態勢を整えたのち再開したい意志があると聞く。再開の折には、視聴者はより敏感な目を持って画面の前に座るだろう。その視線を取り込み、さらにはその視線にツッコミを入れるくらいに完成度の高い「祭り」に出会えることを期待する。

■委員会決定の全文はこちら
https://www.bpo.gr.jp/?p=9949&meta_key=2019

<参考資料>
「放送倫理検証委員会」運営規則
http://www.bpo.gr.jp/?page_id=903

 

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