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#016 「動けない病」を脱する失敗の解剖学|タイの変人ポーにインタビュー

2026年9月14日 配信

インタビュアーのひと言

タイに身を置き、異国の地で新たなキャリアやビジネスに挑もうとするとき、私たちの足を最も重く引っ張るものは何でしょうか。語学力やビザの壁、現地の商習慣の違い……数え上げればキリがありませんが、その根本を突き詰めると、実は「失敗への底知れぬ恐怖」に行き着くことが少なくありません。



「もし事業がうまくいかなかったら」「もしキャリアの選択を間違えたら」——そうした不安から石橋を叩き続け、結局渡るのをやめてしまう。あるいは、一度の挫折で「自分には海外は無理だった」と引き返してしまう。バンコクの活気ある街並みの中で、そうした葛藤を抱え「人生このままでいいのか?」と自問自答している日本人は意外なほど多いのです。

今回、変人ポー氏にお話を伺ったのは、まさにこの「失敗への恐れ」の正体を白日のもとに晒すためです。失敗を単なるゲームオーバーと捉えるか、それとも人生を飛躍させる血肉と捉えるか。氏が語る「失敗との向き合い方における4つの残念な類型」は、タイで挑戦を模索するすべてのビジネスパーソンにとって、胸に突き刺さる強烈な処方箋となるはずです。

インタビューと回答

梅田: ポーさん、本日はよろしくお願いいたします。タイに住んでいる日本人や、これから東南アジアで新しい挑戦をしようとしている方々と話していると、「失敗するのが怖くて最初の一歩が踏み出せない」という声を本当によく耳にします。何かを変えたいけれど、足がすくんで動けなくなってしまう。この心理について、ポーさんはどうご覧になっていますか?

変人ポー: よろしくお願いします。まず、多くの人が「失敗」というものを、人生のゲームオーバーか何かのように、ものすごくネガティブに捉えすぎているんですよね。「失敗=悪」だとか、「失敗=自分の価値が下がること」みたいに、無意識に思い込んでしまっている。まあ、それには日本の学校システムや慣習・社会環境が大きく影響しているんですが、それは一旦置いておきましょう。

胸の奥にある「人生このままでいいのか?」という漠然とした、でも無視できない不安。その正体の一つが、まさにこの「失敗への恐れ」なんですよ。「何かを変えたい。でも、変えようとして失敗するのが怖い。だから、結局何もできずに今のまま……」。この無限ループにハマって動けなくなっている人、本当に多いんじゃないでしょうか。

梅田: まさにそのループに囚われている人は多いと思います。では、そもそも私たちは「失敗」というものをどう捉えるべきなのでしょうか。

変人ポー: こういう目に見えない概念を考えるときは、言葉の定義から入るのが鉄則です。辞書で「失敗」と引くと、「やってみたが、うまくいかないこと。しそこなうこと。しくじり」と書いてあります。
ここで、めちゃくちゃ大事なポイントがあります。それは、一番最初にある「やってみたが」という前置きです。失敗というのは、大前提として「行動した結果」にしか生まれないものなんです。
時々いるんですよね。「あれこれ考えて、結局やらないことにしました。失敗しなくてよかった」なんて胸をなで下ろしている人が。いやいや、それは失敗を避けたんじゃない。そもそも、挑戦という土俵にすら上がっていないんです。行動に移さない“失敗”ほど、ナンセンスなものはありません。そこからは学びも、気づきも、次への一歩も、なーんにも生まれない。ただ時間が過ぎていくだけです。宝くじを買いもしないで「当たらなかった」って言っているのと同じくらい、滑稽な話だと思いませんか?

梅田: 確かに、買ってもいないのに当たりようがありませんね(笑)。

変人ポー: そうでしょう。だから、私がこれから話す「失敗」というのは、すべて「行動した人だけに与えられる、特別な経験値」だということを、まず頭に叩き込んでおいてほしいんです。行動しない人には、この先の話はあまり関係ないかもしれません。
失敗なんて人生に付きものです。生きていれば誰だってしますよ。私も、梅田さんも、歴史上の偉人だって数え切れないほどの失敗を繰り返してきた。大事なのは失敗したかどうかじゃないんです。その失敗とどう向き合い、どう考え、どう次につなげていくか。この「失敗への対処法」、つまりは「思考力」の違いが、人生にとんでもなく大きな差を生み出していくわけです。

梅田: その向き合い方、思考力の差ですね。具体的には、人間は失敗に対してどのような反応を示してしまうものなのでしょうか?

変人ポー: 以前、仲間と「失敗」というテーマを徹底的に掘り下げたことがあるんですが、突き詰めていくと、人の反応はだいたい「5つのタイプ」に分けられるという結論に至りました。今回はそのうち、多くの人が陥りがちな「残念な4つのタイプ」を紹介します。自分がどのタイプに近いか、ぜひ耳を澄ませて聞いてみてください。

まず1つ目が、「失敗を恐れて、何も行動しない人」です。

梅田: 先ほどから話題にあがっている、土俵にすら上がらないタイプですね。

変人ポー: ええ。失敗が怖くて怖くて仕方がない人たちです。このタイプは、世間体という名の亡霊に怯えています。「人からどう見られるか」が行動基準のすべて。「出る杭は打たれる」という言葉を、まるで人生の憲法かのように崇めているんです。「みんながそうしてるから」「普通はこうだから」が口癖で、自分自身の意見を持っていません。多数派という安全地帯に隠れて、石橋を叩いて、叩いて、叩きすぎて壊して、結局渡らずに人生を終えてしまう。過去のちょっとした失敗がトラウマになって心を支配されている場合も多いですね。
皮肉なことに、「確実に失敗しないたった一つの方法」はこの世に存在します。それは「何もしないこと」です。何もしなければ、しくじることもやりそこなうこともありませんから。究極の安全策です。でも、果たしてそれって、本当に「生きてる」って言えるんでしょうか? 私はそうは思いません。

梅田: 安全地帯に留まることが、実は人生最大の損失になっていると。では、2つ目のタイプはいかがでしょうか?

変人ポー: 2つ目は、「一度失敗して、そこで止めてしまう人」です。この人たちは、一歩踏み出しただけ、1つ目のタイプよりはまだマシかもしれません。でも、一番もったいないタイプとも言えます。
物事の入り口でつまずいた、ほんの小さな失敗を、その物事のすべてを物語るかのような「大失敗」だと勘違いしてしまう。「ああ、やってみたけどダメだった。自分には才能がないんだ」と、あっさり諦めてしまうんです。彼らがよく言うセリフが「あれね? やってみたけど、上手くいかなかったよ」です。
これ、私に言わせれば、生まれたての赤ちゃんがこう言っているのと同じなんですよ。「うん、さっき立って歩こうとしてみたんだけどね、見事に転んだよ。だから、もう歩くのやめる。あれは無理だ」。

梅田: 赤ちゃんがそんなことを言ったら、思わず笑ってしまいますね。

変人ポー: 滑稽でしょう? でも、大人になってもこのタイプの人たちは、仕事で、人間関係で、新しい挑戦で、まったく同じことをやらかしているんです。たった一度や二度のつまずきで「自分には向いてない」と早々にレッテルを貼り、自ら可能性の扉を閉ざしてしまう。非常にもったいない話です。

梅田: 身につまされる人も多そうです。続いて、3つ目のタイプはどんな人でしょうか?

変人ポー: 3つ目は、「失敗しても、それを認めない人」です。これはなかなか厄介ですよ。ひと言で言えば「負けず嫌いをこじらせた人」です。自分に非があることを絶対に認めたくない。失敗の原因を自分の中に見出そうとせず、すべて他人や、状況や、環境のせいにしてしまうんです。
「自分は悪くない。あの人の教え方が悪いんだ」「タイミングが悪かっただけだ」「この業界がもうオワコンなんだ」とね。プライドが邪魔をして、謙虚さや素直さという、成長に不可欠な栄養素をまったく摂取できない。この他責思考は、失敗の原因である自分を変えることはない為に当然、同じ失敗を何度も何度も繰り返します。周りから見れば「また同じことやってるよ……」と呆れられているのに、本人は全く気づいていない。
このタイプには面白い特徴があって、「人の話を聞く倍、話す」んです。こちらがアドバイスしようとしても、「でも」「だって」「いや、そうじゃなくて」という逆説のオンパレード。もう聞く耳を持たない。「あなたのその耳は、一体何のために付いてるんですか?」と叫びたくなるタイプ。

梅田: ビジネスの現場でも、他責にして頑なに非を認めない人は見かけますね……。では、4つ目のタイプはどのような人たちですか?

変人ポー: 4つ目は、「失敗しても、それを活かせない人」です。ここには大きく分けて2つのパターンがあります。
1つ目のパターンは、「失敗を重く受け止めすぎる人」。失敗したことは素直に認めるんです。でも、そこから過剰に自分を責め立ててしまう。「なんて自分はダメなんだ」「もう終わりだ」と、ひたすら自己否定の沼に沈んでいく。これは自己肯定感の低さが原因なんですが、ネガティブな感情に飲み込まれて、次の一歩を踏み出すエネルギーが枯渇してしまうんです。最悪の場合、このパターンは1つ目の「何もしない人」に逆戻りしてしまいます。
そしてもう1つのパターンは、その正反対である「単なる楽観主義者」です。

梅田: 楽観的というのは、一見すると前向きで良さそうにも思えますが、違うのでしょうか?

変人ポー: 「マイペンライ!」「まあ、いっか! 次いこ、次!」と、本人はポジティブシンキングのつもりなんでしょう。ここで問題なのは、失敗から何も学ぼうとしないその姿勢です。原因の分析も改善策の検討もすべてすっ飛ばして、ただその場の気分だけで乗り切ろうとする。これでは3つ目のタイプと同じで、結局は同じ失敗を繰り返す運命にあります。
さらに言えば、このタイプには「無気力・無関心な人」も含まれます。失敗を何とも思わない。その分野で自分が成長することにも、将来の計画性にも興味がないんです。ただ毎日が何となく楽しければそれでいい。その無関心さが、当然のように同じ失敗を引き寄せます。
一見するとバラバラに見えるこの「活かせない人」たちですが、共通しているのは「失敗という貴重な経験値をドブに捨てている」という点なんです。本当にもったいないですよ。

梅田: 「失敗を恐れて動かない人」「一度で諦める人」「人のせいにする人」「活かせない人」……どれも耳が痛い指摘ばかりです。海外生活やキャリアの転換点で、思わずこれらの罠にハマってしまっている人は少なくない気がします。

変人ポー: はい。胸にグサッときた人もいるかもしれません。でも、それでいいんです。まずは自分の「現在地」を知ること。自分がこれまで失敗というものとどう付き合ってきたのかを客観的に見つめ直すこと。そこからしか変化は始まりませんから。
「じゃあ一体どうすればいいんだよ!」と思いますよね。そう、まだ一番肝心な「5つ目のタイプ」をお話ししていません。この5つ目こそが、人生を豊かにする究極の向き合い方なんです。これを知り、実践することこそが、「人生このままでいいのか?」という問いに対する非常に大きな答えになります。
失敗は終わりではありません。落第点の答案用紙でもない。では、失敗の本当の姿とは何なのか。その本質については…

梅田: 次回のインタビューでじっくりとお願いいたします!今回もどうもありがとうございました。

変人ポー
本名:苅部俊雄
YouTubewww.youtube.com/@curly-uni
1978年、神奈川県生まれ。専門学校神田外語学院(KIFL)卒業。2002年に初めて来タイ、以降は主にタイ在住。。2000~2015年までの下積み時代には27回転職、26回引越、5ヶ国に住み、5社の起業を経て現在に至る。2010年、NPO法人日本PR(東京都)理事長。2017年、一般社団法人全国龍馬社中第189番加盟タイ龍馬会会長。2022年、『変人ポーの人間力』『変人ポーの平和論』(共に幻冬舎)を二冊同時出版。2023年、プーケット移住に伴い隠居。

<内容紹介>
変人ポーの人間力
もっと早く読んでいれば……!母国日本の未来を圧倒的スケールと独自哲学で綴る啓蒙書。テクノロジーの現代に必見の英知を凝縮した一冊。葉装家 稲荷重藏氏推薦!

変人ポーの平和論
世界80億人が必見!”それ”を維れ新めるにはこの本にあるような教育が必要だ。教育は、全てである。 郷士坂本家十代目 坂本匡弘氏推薦!

全国の書店、Amazon、Kindleにて好評発売中!

『変人ポーの人間力』『変人ポーの平和論』二冊同時出版をしたその理由とは!?
別書『人間力』はこれからの時代における自己啓発がテーマとなる。具体的にはテクノロジーとグローバル社会においての“超実践的”自己啓発本で、本書『平和論』 はその“超具体的”方法論の一つをまとめた内容となっており、両書は“対”になっていることが特徴だ。そしてこれは“知識”と“知恵”の対のことであるとも言えよう。つまり、知識の『人間力』、知恵の『平和論』ということにもなり、どちらか一方が欠けてもその魅力は半減してしまう。

ここで知識と知恵の違いについては、変人ポーの言葉をそのまま引用する。

「知識はあくまで知識だ。知識は行動を伴うことにより知恵となる。そして、この知恵は答そのものだ」

よって書籍『人間力』だけでは単なる自己啓発本に過ぎず、これでは従来の自己啓発本とともに単なる知識で終わってしまうこととなる。書籍『人間力』は、知恵の『平和論』という背景があってより現実的な哲学として完成する。

また書籍『平和論』だけでは机上の空論、あるいは“事実と意見の違い”もわからぬままに誤解され兼ねない。書籍『平和論』は、知識の『人間力』という裏付けがあってはじめて現実的な方法論となる。

本書を読み終える時にはこの意義が本当の意味で理解していただけることを祈念しつつ、ここに紡いでいく。

<『変人ポーの平和論』はじめにより抜粋>