闇を運んだ緑の車、CIBが暴いた“静寂の誘惑”

タイ警察中央捜査局（CIB）は、チャンタブリー県スクンビット通りで、薬物を積んだ緑色の乗用車を摘発した。陽炎のように揺れる舗道、334キロ地点。通り過ぎる風の中で、CIBの眼は確かにその車を捉えていた。

それは一見、ただのホンダ・ジャズ。だが、エンジンの鼓動に紛れて、何かが軋んでいた。隊員が手信号で停止を命じた瞬間、車内の空気は凍りつく。運転していた男の瞳がわずかに揺れた。CIBはその一瞬の“影”を見逃さなかった。

捜索の結果、助手席の足元から現れたのは透明な袋。そこにはアイスが126.27グラム、ヤーバーが137錠。まるで闇そのものが結晶化したかのような光を放っていた。男はただ俯き、言葉を失った。検査の結果、尿からも覚醒剤反応。彼の血流さえも、すでに毒に染まっていた。

それは偶然の検問だったのか、あるいは運命の待ち伏せだったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。だが確かなのは、この瞬間、闇は逃げ場を失ったということだ。

「光を恐れる者ほど、夜を愛する」──そう心の中で叫んだかどうかは不明だが、ヘッドライトに照らされた粉の粒子が、その愚かさを物語っていた。道路脇で立ち尽くすCIBのシルエットは、沈黙の中で秩序を語り、闇を見つめ、そして断罪の光を放った。

夜が再び静けさを取り戻したとき、風だけが真実を知っていた。CIBの車列は、淡々と、しかし確かに、法の重さを背に走り去っていった。

タイ中央捜査局（CIB）
プロフェッショナルで中立、国民と共に。