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アピチャッポン監督の初期4作品を4Kレストレーション、2027年から日本全国で上映へ

2026年9月29日 配信

タイの映画監督・美術家アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の初期長編4作品が4Kレストレーションされ、2027年から日本全国で巡回上映される予定です。日本でアピチャッポン作品を手がけるトモ・スズキ・ジャパン有限会社が2026年9月、発表しました。



今回4Kレストレーションされたのは、『ブリスフリー・ユアーズ』(2002年)、『トロピカル・マラディ』(2004年)、『世紀の光』(2006年)、『ブンミおじさんの森』(2010年)の4作品です。

いずれもアピチャッポン監督の初期から国際的評価を確立する時期を代表する作品で、『ブリスフリー・ユアーズ』はカンヌ国際映画祭「ある視点」賞、『トロピカル・マラディ』は同映画祭審査員賞を受賞。『世紀の光』はベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、『ブンミおじさんの森』は2010年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞しました。

現存するフィルム素材を4Kスキャン

4作品はこれまで35mmフィルムを完成フォーマットとしていましたが、今回、アピチャッポン監督自身の監修のもと、現存するフィルム素材を4Kスキャンしてデジタル化しました。

上映素材のノイズ除去に加え、ショットごとの色補正や全体の色調整を実施。音源も再構築し、ドルビー7.1にリミックスされています。

レストレーションには、日本のトモ・スズキ・ジャパンのほか、米国のストランド・リリーシングUSA、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、英国のセカンド・ラン、スイスのシネマテーク・スイスが共同で支援しました。

カンヌ最高賞『ブンミおじさんの森』も4K化

『ブリスフリー・ユアーズ』は、ミャンマー国境に近いタイの町を舞台に、タイ人女性とミャンマーから来た青年の関係を描いた作品です。

『トロピカル・マラディ』は、タイの田舎町での兵士と青年の恋愛を描く前半と、暗い森を舞台にした幻想的な後半からなる二部構成の作品。

『世紀の光』も二部構成で、タイの地方にある病院と都市の病院を舞台に、似ているようで異なる人々の日常が描かれます。Criterion Collectionも同作について、2006年にベネチア国際映画祭コンペティションへ出品された最初のタイ映画と紹介しています。

そして『ブンミおじさんの森』は、タイ東北部を舞台に、死を目前にしたブンミと亡き妻の幽霊、サルの姿となった息子らが交錯する物語。2010年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、アピチャッポン監督を代表する作品の一つとなりました。

2027年から日本全国で巡回上映へ

トモ・スズキ・ジャパンによると、日本では今回4Kレストレーションされた4作品についてプロジェクトチームを編成し、2027年から全国ツアーを行う予定です。

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督は1970年にバンコクで生まれ、タイ東北部コーンケンで育ち、現在はチェンマイを拠点に活動。2000年の長編デビュー作『真昼の不思議な物体』以降、映画と現代美術の双方で国際的な活動を続けています。

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【作品情報】4Kレストレーションした初期の4作品
『ブリスフリー・ユアーズ』(2002年) 「カンヌ国際映画祭」ある視点賞
舞台はミャンマー国境に近いタイの町。タイの若い女性は、ミャンマーから不法入国した青年と恋に落ちるが、彼の体に広がる奇妙な皮膚病が心配だ。ある日、ふたりは日常を抜け出して、深い森のジャングルへと出かける。そこへ、不倫中の別のタイ人女性も現れると…。

『トロピカル・マラディ』(2004年)「カンヌ国際映画祭」審査員賞
前半と後半の二部構成。前半は、タイの田舎町に駐屯する兵士と地元の青年が織りなす穏やかな恋の物語。ふたりはデートを重ね、関係を深めていく。後半になると、世界は一変。暗奥たる森のジャングルに兵士が足を踏み入れてゆく。自身を翻弄する幽霊のようなトラを追ってゆくが…。

『世紀の光』(2006年)「ベネチア国際映画祭」コンペティション部門正式招待
前半と後半の二部構成。前半は、のどかなタイの田舎町に建つ病院で、女医や患者、病院スタッフたちの日常が静かに流れてゆく。後半になると、無機質な都市の病院へと変わり、前半と似て非なる光景がつづく。そして、地下空間にある巨大な換気管が映し出されると…。

『ブンミおじさんの森』(2010年)「カンヌ映画祭」パルムドール(最高賞)
自分の前世や来世へとトリップできるブンミ。余命わずかな彼は、タイ東北地方の田舎で静かに暮らしている。ある日、夕食の席に亡き妻の幽霊が現れる。そこへ行方不明だった息子もサルの姿で戻り、平和な時間を過ごすのだった。翌日、死期を悟ったブンミは森のジャングルに入ってゆくと…。


アピチャッポン監督初期4作品の4Kレストレーションは、ストランド・リリーシングUSA(米国)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、セカンド・ラン(英国)、シネマテーク・スイス(スイス)が、トモ・スズキ・ジャパン(日本)と共同で支援しました。

4作品すべての配給権は、北米、英国、アイルランド、スイス、タイ、日本を除く市場について、ドイツのマッチ・ファクトリーが取り扱います。

なお、トモ・スズキ・ジャパンの代表は2000年からアピチャッポン監督との協働を続けており、2006年の会社創業以降も日本におけるエージェントとして、アピチャッポン作品の発表に携わってまいりました。

日本でのアピチャッポン初期4作品の上映については、トモ・スズキ・ジャパンがプロジェクト・チームを組み、2027年から全国ツアーを行う予定です。


【プロフィール】
アピチャッポン・ウィーラセタクン(映画監督・美術家)
1970年タイ・バンコク生まれ、コーンケン育ち、チェンマイ在住。シカゴ美術館附属シカゴ美術学校の大学院在学中から短編映画や映像作品を発表し、2000年に初の長編『真昼の不思議な物体』を完成させる。その後、ドキュメンタリーとフィクションを往来しながら、個人の記憶と地域の歴史が交錯する作風で、アートと映画の両領域で活動を続けている。
監督作『ブリスフリー・ユアーズ』(2002年)がカンヌ国際映画祭ある視点賞、『トロピカル・マラディ』(2004年)が同映画祭審査員賞を受賞。『世紀の光』(2006年)はベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式招待され、『ブンミおじさんの森』(2010年)でカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞した。これら4作品は2026年に4Kレストレーションされた。
日本では、2021年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『MEMORIA メモリア』が2022年に商業公開された。同年、坂本龍一と協働したVR作品『太陽との対話(VR)』を国際芸術祭「あいち2022」でプレミア公開。2023年から2024年にかけて「タイランド・ビエンナーレ チェンライ」で展示した2チャンネル映像インスタレーション《ソラリウム》の日本版を、2024年にスカイ・ザ・バスハウスでの個展で発表した。