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タイ国立公園・野生動物・植物局は2025年12月26日、国際的な野生ネコ保護団体のPanthera(パンテラ)と共同で、極めて希少な野生ネコ「フラットヘッドキャット(Flat-headed Cat)」が、タイ南部ナラティワート県のトーデーン泥炭湿地林で確認されたと発表しました。タイ国内で公式に確認されるのは、実に約30年ぶりとなります。
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今回の調査では、自動撮影カメラにより2024年に13回、2025年には16回の出現が記録され、さらに親子とみられる個体も撮影されました。これは、この地域でフラットヘッドキャットが自然環境下で繁殖していることを示す、極めて重要な証拠とされています。
フラットヘッドキャットは、世界でも特に個体数が少ない野生ネコの一種で、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「絶滅危惧種」に分類されています。世界全体の推定個体数は約2,500頭とされ、タイについては、これまで「すでに絶滅した可能性がある」と評価されていました。
国立公園・野生動物・植物局のアッタポン局長は、「長年にわたる湿地林の保護と地道な調査の成果が実を結んだ。地域から姿を消したと考えられていた野生動物の復活は、タイ国内のみならず東南アジア全体にとっても重要な成果だ」とコメントしています。
また、パンテラ・タイのクリッサナー代表は、「科学的調査と厳格な保護対策を組み合わせることで、不可能と思われていたことが現実になった。今回の発見をもとに、今後は行動圏や個体数の把握など、より踏み込んだ保全計画を進めていく」と述べました。
フラットヘッドキャットは、平たい頭部と水かきのある足を特徴とし、魚や水生生物を捕らえることに適応した夜行性の小型野生ネコです。主な脅威は湿地の開発や水質汚染、密猟などで、特に泥炭湿地林の減少が深刻とされています。
当局とパンテラは今後、トーデーン湿地林での巡回体制強化や監視カメラの増設、地域住民との連携強化を進め、この貴重な生態系と希少種の保全に取り組む方針です。
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