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タイ警察中央捜査局(CIB)は、チョンブリー県パタヤで改ざんされたナンバープレートを装着した乗用車を摘発した。事件は静寂の午後、鉄道沿いの通りで幕を開けた。高速道路警察の部隊が照りつける陽光を背に、灰色のマツダを取り囲む。走ることをやめたその車には、運命をねじ曲げた数字が貼り付けられていた。
黒いステッカーで塗り替えられたナンバー。誰が、何のために、ここまでして車を偽ったのか。それは偶然の発見だったのか、あるいは必然の導きだったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。
女は語る。「フェイスブックで買っただけです」。価格は4万2000バーツ。だが、そこにあるのは“安さ”ではなく、“闇”だった。車両の書類は偽造、登録の痕跡はなく、名義は虚空に消えていた。
数日前、チョンブリーの警察署に「車を質入れに出したまま戻らない」との訴えが届いた。捜査線上に浮かび上がったのは、車をだまし取って輸出する十二人の影──詐欺、虚偽情報の送信、密輸、そして組織犯罪。まるで歯車のように噛み合う闇の構造を、CIBは冷徹な手で一つずつ分解していった。
「車は嘘をつかない」そう心の中で叫んだかどうかは不明だが、数字が塗りつぶされたナンバープレートこそ、真実を叫んでいた。ライトに照らされたその黒い線が、まるで夜を裂く稲妻のように、偽りの世界を切り裂いていった。
法は遠くにあるようで、すぐそこにある。CIBの車列が去ったあと、残されたのは静けさだけ。だがその静けさこそ、秩序の証だったに違いない。
タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。
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