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オンライン旅行予約サイト「アゴダ(Agoda)」は2025年7月15日、日本の消費者向けに、24時間365日のサポート体制を日本向けにさらなるローカライズする方針を明らかにしました。今後数ヶ月以内に体制の強化を進め、チェックイン時などにまれに発生する問題にも迅速に対応する構えです。
アゴダのCEOであるオムリ・モーゲンシュテルン氏は、「アゴダは日本市場に深く根ざしており、社員一人ひとりが日本の特性を理解しています。そのため、日本人旅行者を第一に考えた新たな取り組みをすでに始めています。」「日本は私たちにとって最も重要な市場の一つです。お客様に最良の体験を提供することに注力しつつ、観光庁との連携を強化し、日本のホスピタリティ業界の発展にも貢献できることを誇りに思います。」と述べています。
この発表は、アゴダを通じた宿泊予約をめぐる一連のトラブルを受けての対応です。予約済みにもかかわらず現地ホテルで「情報が届いていない」とされチェックインできなかったケースや、予約内容と実際の宿泊条件が異なっていた事例、さらには宿泊直前の一方的なキャンセルなどが報告されていました。問い合わせをしても日本語対応が不十分、もしくは返答が遅いといった指摘もありました。
こうした状況を踏まえ、日本の観光庁は2025年3月、アゴダ日本法人に対し業務改善を要請しています。
アゴダはすでに、2025年6月26日付で一部の第三者業者との取引を停止し、予約情報の正確性を高めるためにAIを活用した監視システムの導入を開始しています。今回の発表では、24時間365日のサポート体制のローカライズに加え、補償オプションの拡充やホテルパートナーへの支援体制の強化なども打ち出されています。
アゴダは、創業者マイケル・ケニー氏が1990年代初頭にタイ・プーケット島で立ち上げた旅行関連のウェブサイトを出発点としています。その後、1998年に「PlanetHoliday.com」を正式に設立し、本格的にホテル予約サービスの提供を開始しました。2002年には事業拠点をプーケットからバンコクへと移し、2003年には別の予約サイト「PrecisionReservations.com」との連携を経て、2005年に両社が統合される形でAgoda Company Pte. Ltd.が誕生しました。
本社は現在シンガポールに置かれていますが、タイ国内にも依然として深いつながりを持っており、バンコクは旅行業務だけでなく、テクノロジー開発やマーケティング戦略の中枢を担う重要な拠点となっています。アゴダの公式資料では、バンコクは「世界で最も観光客が訪れる地域のひとつ」であり、「一年中太陽に恵まれたタイを拠点とすることで、世界中から優秀な人材を惹きつけることができる」と説明されています。創業の地であるプーケットを含め、アゴダにとってタイは単なる市場ではなく、企業アイデンティティの中核をなす場所となっています。
アゴダは2007年、アメリカの大手旅行企業Booking Holdings(旧Priceline Group)に買収され、現在は同社傘下の一員として、Booking.comやKayak、Rentalcars.comなどと並ぶグローバルネットワークの中で事業を展開しています。宿泊予約だけでなく、航空券や空港送迎、現地アクティビティの手配にも対応する総合旅行プラットフォームとして、35以上の市場に拠点を持ち、90か国以上の従業員が在籍しています。
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