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誰がためにオランウータンは笑う~CIB、野生の値札を剥がしにかかる

2025年6月29日 配信

タイ警察中央捜査局(CIB)は、国境を越えて密かに動き始めた“取引”の兆しに対し、静かに、しかし確実にその手を伸ばした。標的となったのは、インドネシアから密輸されたとされる3頭のオランウータン。決して動物園に向かうためではない。それは“商品”として、次なる買い手を待っていたのだ。背景には、密林の静寂を切り裂く違法取引ネットワークが潜んでいた。



事の発端は、米国魚類野生生物局からもたらされた情報提供だった。密輸グループがサトゥーン県を経由し、バンコクへ向かって動いている。CIB傘下、自然環境犯罪捜査課が動いた。

チュムポーン県のアジアハイウェイ沿い。ガソリンスタンドで捜査官が停車させた白い車。その車内には、3頭のオランウータン、3頭のシロテテナガザル、そして1頭の鹿が、プラスチックの箱の中で息をひそめていた。

運転していた男はこう言ったかもしれない──「運んだだけだ、ハジャイから受け取り、ノンタブリーまで。報酬は2万5000バーツだった」と。

だが、それだけでは終わらなかった。供述を手がかりに、捜査は一気に拡大する。関連する3名の男たちが特定され、それぞれの自宅で逮捕された。3人は何度もオランウータンを取り扱っていたという。仕入れ価格は1頭あたり7万バーツ、販売価格は12万バーツ。そして、国外に“輸出”されると25万バーツにもなる。

それは動物保護の問題だったのか、あるいは国際的な闇経済だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。

さらに調べが進む中で、オランウータンのDNA情報は、過去の押収事例との照合に使われるという。ラグー港、ハジャイの貸部屋、そしてSNSの取引ルート。全てが捜査線上に浮かび上がっている。CIBはUSFWS、インドネシア警察、インターポールとの連携を視野に、違法動物取引の根を断つ構えだ。

これは単なる摘発ではない。ひとつの生命を守るという“行動の理由”が、国家の正義を静かに動かした瞬間だったに違いない。

タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。

 

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