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タイ警察中央捜査局(CIB)は、サムットサコン県にある冷凍倉庫に突入し、輸入許可を持たない冷凍鶏足346.39トンを押収した。数ではない、質でもない。その場にあったのは、「山」だった。透明の袋に包まれた無数の足が、言葉を持たないまま積まれていた。
それらは動かない。だが、静止はしていなかった。ブラジル、チリ、ドイツ、トルコ──遠い国の名が貼られたパッケージが並ぶ。だがそこに「証明」はなかった。検疫の記録、衛生の裏付け、いずれも存在しない。名前はある、数字もある、しかし“意味”がなかった。それらは単なる足であり、かつて生きていた何かの「一部」だった。
「冷凍されているのだから問題はない」そう心の中で叫んだかどうかは不明だが、それは誰の判断でもなかった。ただの“都合”だったに違いない。
346トン──これは取引ではない。これは流通ではない。これは、何かの儀式か、あるいは供養の失敗だったのか。
それは食材だったのか、あるいは感染源だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。
CIBはすでにサンプルの検査を開始している。特に高病原性鳥インフルエンザなどのリスクが疑われるため、今後は刑事と保健の両面で徹底的に調査が進められる。これはただの鶏足ではない。346トンの“なかったことにされた過去”が、いま冷気を破って姿を現そうとしている。
タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。
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