白波の影、CIBが無許可艦隊を制圧

タイ警察中央捜査局（CIB）は、プーケット県アオ・ポー海岸にて、水上バイク18艇を一斉摘発した。名もなき船体、登録のない操縦士。波に揺れていたのは、ただの遊具だったのか、それとも“無許可という名の艦隊”だったのか。それは海の風景だったのか、あるいは静かに組織された“漂う違法”だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。

CIB傘下の水上警察は、現場で5人の男を確認。いずれも無許可での営業準備中だった。船名も番号もなく、ただ並べられた艇が静かに待機していた。観光客の姿はまだなかったが、波打ち際に刻まれたタイヤ痕は、すでに過去の運用を物語っていた。

「観光客を乗せるだけです」そう心の中で叫んだかどうかは不明だが、その“だけ”に潜む法の重みは、想像よりも深かった。整然と並ぶ艇。それは祝祭のためか、あるいは沈黙の組織か。隊員たちは淡々と容疑を告げ、押収を開始した。誰も叫ばず、誰も逃げなかった。ただ、海だけがいつも通りだった。

白波がきらめくその下に、名前のない航路が眠っていたに違いない。CIBは、その航路を、ひとつずつ静かに塗りつぶしていく。

タイ中央捜査局（CIB）
プロフェッショナルで中立、国民と共に。