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タイ警察中央捜査局(CIB)は、ネット販売を装い、被害者に“任務”という幻想を与えて金をむしり取る詐欺の実態に警鐘を鳴らした。
始まりは、ありふれた取引だった。ある者が商品を売り、ある者がそれを買う。やり取りは丁寧で、代金も実際に振り込まれた。その一件は信頼の種となり、やがて被害者をLINEグループへと導いた。そこは“売り手”たちが集う、協力と成功の匂いに満ちた場所だった──ように見えた。
投稿される商品、次々に現れる購入希望者。スムーズなやり取り。そこに疑う理由など、どこにもなかった。
だが、その後ろに“管理者”を名乗る者が現れる。「店舗登録のため」「任務のため」「システムのため」──理由は巧妙に姿を変え、支払いを求める。誘われるまま金を振り込めば、数字が踊る。虚構のダッシュボードに、増え続ける“収益”。もう少し、あと一歩、任務を完遂すれば、大きな報酬が待っている――
それは仕事だったのか、あるいは幻想を操作する“舞台装置”だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。
「止めたかった。でも、止まれなかった」そう心の中で叫んだかどうかは不明だが、被害者の多くは、目が覚めたときにはすべてを失っていた。LINEの通知音、グループの励まし、稼げるという空気。それらはすべて、“一人を信じ込ませるための群像劇”だったに違いない。
CIBは今、その劇場に幕を下ろそうとしている。その舞台裏には、汗も涙もない。ただ、搾取の設計図があるのみだ。
タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。
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