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タイ警察中央捜査局(CIB)は、都内で違法に販売されていた“笑気ガス”を摘発し、密売の現場に潜む東アジア系グループの存在を明らかにした。微笑みの都市に漂う白い煙──それは娯楽だったのか、犯罪だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。
現場はバンコクのナイトスポットにほど近い一角。防犯カメラの映像に浮かび上がったのは、若者たちが手にした銀色のカプセルと、光る目を持つ中国系の人物たち。CIBは独自の情報網を駆使し、事前に複数の拠点をマーク。ついにその一つが、密かに笑気を吸う者たちの“宴の場”であると特定されたのだった。
現場には使い捨てのボンベと吸引用バルーン、現金、そしてオンライン販売を示す複数のチャット画面が残されていた。CIBの捜査官は「これは単なるパーティーではない。ネットワークだ」と語ったかもしれない──そして「必ず全容を暴く」と続けたかもしれない。
彼らの手口は巧妙だった。SNSを介して販売、仮想通貨での決済、そして実行犯と販売者を分離する分業体制。そこに浮かび上がるのは、都市の闇に巣食う、新たな“化学系娯楽”の供給ラインだった。摘発された外国人たちの中には、中国籍とされる人物に加え、ベトナム人名義の滞在者もいたとされ、東南アジアをまたぐ構造の片鱗が垣間見える。
違法と知りつつも、興味本位で手を出す若者たち。法の網をくぐり抜け、夜の街を彷徨う白い幻想。そしてそれを、冷静に見つめる黒き目の捜査官たち。CIBの目は、節目の季節にこそ冴える。
都市伝説めいた一幕だったのか、それとも犯罪史の序章だったのか──いや、そんな問いなど意味はなさない。重要なのは、すでに闇の奥深くにまで、捜査の網が届いているという事実にほかならない。
タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。
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