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ヤダー・ナリルヤ独占インタビュー~タイ恐怖映画『女神の継承』主演女優

2022年8月5日 配信

ヤダー・ナリルヤ独占インタビュー~タイ恐怖映画『女神の継承』主演女優

日本とタイは時々「えっ?それ同じ!」と驚かされるようなことが多いように感じられる。
その中の一つが仏教国であることと、様々なものに精霊が宿ると考える風習だ。
その影響なのか、言葉の使い方や、表現が似ている部分があり、時々「えっ?タイと日本ってそこは同じなんだ?」と驚かされることがあるのは、筆者だけではなく、多くのタイ好きが感じていること。
日本は神社だけではなく、家、台所、お米、土地、トイレ、お金、すべてに神様が宿っているという「よろずの神の国」。タイも同様に家や木(日本のご神木とも非常に似ている)、土地、水など、日本とほぼ同じ「よろずの精霊」がいる。
筆者のタイ人の友人はスマートフォンが壊れると、スマホの神に祈ると言うし、筆者も先日、パソコンが起動しなくなった時には、よくわからないけど、電気の神様(いるのか?)のようなものに祈ったような気がする。



今回インタビューに応えてくれたのは2022年7月29日(金)より日本で公開となったタイ・韓国合作『女神の継承』の主演のひとり、ミンを演じたナリルヤ・グルモンコルペチ(愛称ヤダー)。『女神の継承』は、韓国のナ・ホンジンが原案・プロデュースであり、タイのホラー映画作品『心霊写真』『愛しのゴースト』で知られるバンジョン・ピサンタナクーンが監督。タイランドハイパーリンクスではこの映画の詳細について、継続して伝えてきた。

タイ好きの筆者として伝えたいのは、タイの女優として、主演のひとり、ミンを演じることは、想像以上に勇気が必要だと言うこと。敬虔な仏教徒の多いタイにおいては、日本や他国では当たり前の飲酒シーンや喫煙シーン、ベッドシーンなど、モザイク処理されたり、表現されないことが多い。
ミンに憑依した精霊たちが、田舎の明るく楽しい女性をすべて壊していくその様を演じきった彼女の根性と女優魂は、映画を見た人にしかわからない。ぜひとも映画館に足を運んでいただきたい。
冒頭のタイの精霊信仰についての説明や、美しいタイ東北部の山や森は、ホラー映画だということを忘れさせてしまうほどリアル。ストーリーに関係なくタイ好きさんたちの心をつかむはずだが、そこからの怒涛の後半のスピード感とスリル、そして意外性しかない展開に、呆然としてしまうはず。

ネタバレで詳しく言えない部分も多いので、そこは映画館で要チェック!

ヤダー・ナリルヤ独占インタビュー~タイ恐怖映画『女神の継承』主演女優

 

イサーンの今どきの女の子をリアルに演じられた理由(わけ)

--『女神の継承』見ましたー・・・実は今日、ミンにインタビューするということで、恐い・・・と思いながら来たんですよね。

えー(笑)・・・。ミンは日本にはいませんよ~。タイにいますから!

--ミンはタイにいると言ってしまうあたりが、もうさすがなんですけど(笑)。
今回の『女神の継承』のミン役は、さすがにタイの女優さんが演じるのは厳しいのではないかな?と思うくらい、体当たりの演技が多かったと思います。ミンのイメージがついてしまう恐れもあったと思いますが・・・。

確かにミン役は多くの人に強い影響を与えると思います。
ただ、これから新しい役を演じることで、演技力で、過去のイメージは忘れてもらえると思ってチャレンジしました。
ラッキーなことに『女神の継承』を見ていただいたことで、たくさんの役のオファーをいただいているんですよ。

--今、目の前にいるヤダーさんと、ミンちゃんが、全く別人で驚いています。というかほっとしています。

もちろんメイクの力もありますが、しっかりイサーン(タイ東北地方)の女の子になれました。

--メイクというよりも、演技と言うよりも・・・ヤダーさんとは全く異なる普通のかわいいタイのイサーンの女の子がそこにいたのですが、イサーンに知り合いがいたのでしょうか?リアルで驚いています。

イサーンの女の子たちについてはたくさん調べました。
監督と話をして「イサーンの女の子にもいろいろな性格の女の子がいるけど、どんなタイプの女の子を演じさせたいですか?」という確認しました。
イサーンの女の子の話し方とか、性格で生じる歩き方の演技の特訓もしましたね。

 

ホラーはホラーでも憑依する相手がヤバすぎる

--いやー、それにしてもミンは暴れ放題でしたね。得体のしれないものに取り憑かれることで、イサーンのちょっとおしゃれなかわいい女の子が、大瓶のビールをラッパ飲みしたり、他にもここに書けないような暴れっぷりを披露するわけですが・・・。

あ!ビールの瓶の中身は甘い飲み物でしたから(笑)。

--なるほど(爆笑)

ただ、べろべろに泥酔した人が、どんな行動をするのかは、かなり研究しましたね。しかもただの酔っぱらいではなく、同時に、得体のしれないものに取り憑かれた人が、意識がない状態で独り言を言っているわけですよ。

--役として難しすぎますね。

でも、そこはとても意識しましたね。そんな状態でミンは何を考え、何を感じていたのか想像していました。

--例えば、これまでよくあるホラーのストーリーでは「幽霊が恐い!」っていうやつじゃないですか!幽霊は死んでしまう前は人間なわけで、演じ手は人間の喜怒哀楽は想像できるし、なんでそんなに怒ってるの?とか理解できるじゃないですか。今回はネタバレになるのであまり言えませんが、得体のしれない精霊ですよね。想像なんてできますか?

ミンに取り憑いたものは、人間だったり、動物だったり、色々な霊が混ざっているわけです。この考え方は、映画の冒頭で、祈祷師のニムが言う通り、精霊はありとあらゆるものに宿るんですよね。例えば木だったり、家だったり、その土地だったり。これはタイ人の考えに普通にあるものなんです。
精霊の影響力がどれだけ大きいのか見せるために「今は犬が取り憑いている」とか「今は別の動物が取り憑いている」とか「今は復讐心に燃える人間が取り憑いている」みたいに考えながら演じていました。

--様々な霊になり切った結果があの映像なんですね。

はい。霊になってしまった動物や人間の行動を想像しながら演じました。特に、防犯映像に映っている生肉を食べるシーンがあるんですけど・・・

--ありましたね!凄かった!

あれは人間の霊が食べている想定で演じず、お腹を空かせた動物をイメージして演じました。肉を手に取って食らいつくようなシーンですね。ワンシーン、ワンシーン全ての動きを、そうやって意識しながら演じました。

 

家族は泣く、友達はすてきな思い出が一瞬で吹っ飛ぶ

--あまりにも凄まじい役なので、ご家族やお友達はさぞかし驚いたんじゃないでしょうか?

はい。家族の中では兄と母が『女神の継承』を見ました。映画を見て泣いたそうです。まずこのミンという役がかわいそうだったことと、いつもの私とはかけ離れたきつい性格と体当たりの演技をしていたからだそうです。

--そりゃそうでしょうね。

友達はみんなミンのことが恐いと言っていました。今まで私と一緒に食事をしたり、遊びに行った楽しい思い出が、一瞬で吹っ飛んだそうです(笑)。そう言ってました。
あまりにも普段の私と違うミンという女性を見たショックがあったようです。

 

私がこの役を演じない理由がなかった

--その演技への思いやパワーはどこからくるのですか?

私の力の源は今回3つありました。

--教えてください!

ひとつは、演技をすることが大好きなこと、2つ目は見てくれる観客は私の演技を見て何かを感じて、映画館から家に帰ること、そしてもう一つは、本当にたくさんの人に応援してもらったので、その応援に答えたいし、失望させたくないということです。

--韓国とタイの合作ということで、オーディションには大勢の女優さんが挑んだと聞きました。自分がミンに選ばれた理由は何だと思いますか?

オーディションが終わった後に、自信がありました。

--なぜ?

私がこの役を演じない理由がないと思ったからです。
なぜかと言うと、私はミンを完全に理解したと思います。それをオーディションで表現できたと思ったからです。
そして、監督の想像するミンと同じ演技をオーディションで見せられたと思います。私たちはミンに同じイメージを持っていたと思いますよ。

--そういえば1か月で10キロダイエットをして、得体のしれない霊に取り憑かれた女性を演じきったそうですね。元々瘦せているのに、そこからどんな方法で体重を落としたのですか?

栄養士さんに食事を用意してもらいました。カロリーが少ない食事だったので、力が出なかったです。食事の量を減らして水ばかり飲んでいる時期もありました。

--・・・それは大変でしたね。

はい。とても大変でした。

 

ミンは私に人生のサイクルを教えてくれた

--『女神の継承』の撮影は、タイ東北部のイサーン地方、ルーイ県で行われたそうですね。バンコクから通って撮影したのでしょうか?

1,2週間泊まって撮影しました。役者・スタッフみんな、同じ場所に泊まったんですよ。

--チームワークの結束が強まりそうな撮影方法ですね。ルーイ県の滞在で思い出に残ったできごとはありますか?

思い出はたくさんありますねー。『女神の継承』のスタッフは、ただの仕事仲間というよりも、家族みたいな関係を築いてくれました。とてもよく面倒を見てくれましたよ。お互い思いやりを持って仕事ができました。

--ミンという役はヤダーさんにとってどんな存在になりましたか?

とても意義のある役でした。
私は仏教を信仰しているのですが、仏教の教えには「自分らしさは控えめにして、すべてのことから自由になる」という教えがあるんです。若くてきれいな時期もあるけれど、やがて年を取り病気になり死ぬ、というのが人生のサイクルですけど、ミンの役では死以外のすべての人生のサイクルを経験しました。学ぶことしかなかったですね。

 

やっぱり恐すぎる『女神の継承』。世にも奇妙な事件が起こる

--『女神の継承』のミン役として、初めてヤダーさんを知る日本人が多いと思うので、ここから質問を切り替えて、普段のヤダーさんについて教えてほしいです。

私は9匹の猫と犬3匹と、家族ととてもシンプルな生活を送るのが楽しいなって思っています。

--ええっ!じゃあ、あまりネタバレできませんけど、さぞや、ラッキー(ミン一家の愛犬)のシーンは辛かったのでは(話が映画に戻ってるじゃないか!)?

とてもつらかったです・・・実はあのシーン(ネタバレになるので内容はナイショ)の撮影の直前に、家から連絡がありまして・・・。9匹の猫が家から消えてしまって。

--えええっ?それほんとうですか?恐い!

そうなんですよ。だから、心を落ち着かせるために凄く時間がかかりました。映画の中でも衝撃的な、ラッキーのあのシーンは(内容は映画館で!)、落ち着いてから撮影に挑みましたね。

--猫は戻ってきたんですよね。

いえ・・・戻ってこないんです。あのまま帰ってこないんです。

--えーーーーーーーーーーーーーーーーー!

3日間泣きました。

--それはとても意味がありそうで恐いです。この映画には何かがあるのかもしれませんね。いや、本当に今、鳥肌が経ったんですけど。

何かがあったとしたら、本当に恐いですね。

 

東京観光も満喫の訪日

--気を取り直して、明るい話をしましょう!今回は映画のキャンペーンで日本に来たヤダーさんですが、日本に来るのは何度目ですか?

今回で3回目なんですけど、東京は初めてです。

--今回は東京観光できそうですか?

すでにたっぷりと・・・(笑)。たくさん観光したんですけど、あまりにも多くの観光地に行きすぎて、よく覚えてないくらい(笑)。ごめんなさい。あとで写真を見直したいと思います。

 

日本の皆さんにはタイ東北部の自然をぜひ見に行ってほしい!

--タイランドハイパーリンクスはタイ好きの日本人が最も読んでいるサイトです。タイに行ったらここに行ってほしいと思う場所はありますか?

タイでおすすめの場所ですね。ちょっと考えます・・・。
タイは自然が豊かで美しい国です。ビーチもたくさんありますし、緑豊かな山も数多く存在します。特に『女神の継承』の舞台になったルーイ県は、とても自然が豊か。歴史もある都市で、特に精霊信仰が根付いている県なんですよ。

--確か有名なピーターコーン・フェスティバル(精霊に仮装した人間がパレードをする祭り)はルーイ県でしたね!一度パレードを見たかったんです。

あっ!知ってますか?嬉しい。
あまり日本人にはメジャーではありませんが、雄大な自然と、歴史的な精霊信仰のある東北タイのルーイ県は、ぜひ遊びに行ってほしいです。

--ありがとうございました!

バンジョン・ピサンタナクーンが監督と。

―――――――――――――

筆者は今、タイでこのインタビュー原稿を書いている。
実は、タイに到着して、宿泊しているホテルで、ちょっと恐いことが起こった。
気を取り直して、20年以上、いつも挨拶をしてしまう祠に、コロナ禍以降のタイ旅行の報告をしに挨拶に行ったら・・・なんと、その祠がきれいさっぱり消えていたのだ。

本当は今、このインタビュー記事をタイでまとめているスケジュールではなかったものだ。
なぜ奇しくも、今タイで『女神の継承』の記事を書いているのだろう。インタビューの中のヤダーさんの消えた9匹の猫の話同様、鳥肌が立ってしまった。
この映画の冒頭でも語られる通り、タイの精霊には良い精霊と悪い精霊がいるのだそう。これは日本も同じだ。
思わず祈ってしまう何かは、果たして本当に良い方向に導く神様なのだろうか?
信仰心は美しいものであると同時に、一歩間違えると、違う方向に進んでしまうこともある。偶然だろうか。日本では今、毎日のように政治と宗教問題がニュースを賑わせている。
よろずの神とは?信仰とは?壮大な自然の中にある、タイの田舎の町で起こった衝撃の出来事は、架空ではあるものの、リアルに何かを教えてくれるような気がした。

[記事・取材 吉田彩緒莉]

 

【STORY】
タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族 美しき後継者を襲う不可解な現象の数々…
 小さな村で暮らす若く美しい女性ミンが、原因不明の体調不良に見舞われ、まるで人格が変わったように凶暴な言動を繰り返す。途方に暮れた母親は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。もしやミンは一族の新たな後継者として選ばれて憑依され、その影響でもがき苦しんでいるのではないかー。やがてニムはミンを救うために祈祷を行うが、彼女に取り憑いている何者かの正体は、ニムの想像をはるかに超えるほど強大な存在だった……。

 

女神の継承

ร่างทรง   랑종   THE MEDIUM 

[原案・プロデュース]
ナ・ホンジン『チェイサー』 『哭声/コクソン』
[監督]
バンジョン・ピサンタナクーン
[キャスト]
サワニー・ウトーンマ、ナリルヤ・グルモンコルペチ、シラニ・ヤンキッティカン
[字幕翻訳]
横井和子
[配給]
シンカ
[提供]:
ンカ、エスピーオー
[後援]
タイ国政府観光庁
[協力]
OSOREZONE
[レーティング]
R18+
[ウェブ]
https://synca.jp/megami
https://twitter.com/megami_rangzong

2021 年/タイ・韓国/タイ語/131 分/カラー/1.78:1/5.1CH/

© 2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.

全国公開中

 

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