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タイ、9月15日からビザなし滞在60日→30日に なぜ2年で方針転換したのか

2026年9月14日 配信

タイでは2026年9月15日からビザ免除制度が見直され、日本人のビザなし滞在期間も60日から30日に短縮されます。観光振興と経済活性化のため2024年に拡大された制度ですが、約2年で方針転換することになりました。



観光振興のため30日から60日へ

60日間のビザ免除制度が始まったのは2024年7月15日。タイ政府が観光振興と経済活性化を目的に導入したもので、日本人もビザなしで最長60日間滞在できるようになりました。

それまで日本人のビザなし滞在は30日間でした。入国日を1日目として数えるため、宿泊ベースでは通常29泊30日です。これを60日に延長することで、外国人旅行者により長くタイに滞在してもらい、宿泊や飲食、交通、買い物などの消費を増やす狙いがありました。

長期旅行者にとっても使い勝手のよい制度でした。一般的なバックパッカーであれば、安価な宿泊施設を利用し、屋台などで食事を取り、バスや鉄道で各地を移動しながら、比較的少ない費用で長期間タイを旅行できます。こうした旅では1週間はあっという間に過ぎ、気に入った町に滞在しているうちに、いつの間にか1カ月近く経っていることもあります。30日では少し忙しくても、60日あれば各地をゆっくり巡ることができました。

一方、タイでは以前から、ビザなし滞在を繰り返して長期滞在する、いわゆる「ビザラン」も広く行われていました。滞在期限が近づくと一度タイを出国し、すぐに再入国して新たな滞在期間を得る方法です。

バンコクからカンボジア国境などへ向かう日帰りのビザランツアーもありました。早朝にバンコクで集合し、大勢の外国人がバスでポイペトなどの国境へ向かいます。タイ側の出国手続きは参加者自身が行い、カンボジア側の手続きは業者がまとめて進めます。その間は国境地帯のカジノホテルで食事をしたり、カジノで時間を過ごしたりしながら待ち、手続きが終わると再びタイへ入国し、その日のうちにバンコクへ戻るという流れです。

現在、陸上国境からビザ免除でタイへ入国できるのは原則として1暦年に2回までです。この制限自体は以前から存在しますが、今回の新制度について在タイ日本国大使館が発表した案内でも、「1年(1月から12月)につき2回を超えてタイに入国することはできない」と改めて明確に示されています。

空路には「年2回」という一律の回数制限はありませんが、タイ当局はビザ免除による反復入国への審査を厳格化しており、実質的な長期滞在を目的としていると判断されれば、入国が認められない場合があります。

今回、陸路での回数制限が改めて明示された背景には、国境管理をより厳格にする狙いもあると考えられます。タイでは近年、カンボジア、ラオス、ミャンマーなど周辺国の国境地帯にあるオンライン詐欺拠点や人身取引などの越境犯罪が大きな問題となっており、国境を越える外国人の移動管理も安全保障上の重要課題となっています。ただし、タイ政府が陸路入国の回数制限と詐欺拠点対策を直接結びつけて説明しているわけではありません。

「60日は長すぎる」と見直しへ

2026年に入ると、60日という滞在期間そのものを見直す動きが強まりました。

シハサック・プアンゲートゲーオ副首相兼外相は5月、60日間は長すぎる可能性があり、観光客ではない外国人による目的外利用につながる恐れがあるとして、30日への短縮を検討する考えを示しました。

タイ語や英語の報道でも、ビザ免除制度の目的外利用、越境犯罪、不法就労、無許可での事業活動などへの懸念が相次いで取り上げられました。

7月14日の閣議決定では、タイ政府が60日という長い滞在期間について、違法行為や観光目的とは異なる活動に利用される可能性があると説明。外国人旅行者への利便性を維持する一方、安全保障上の抜け穴を塞ぎ、制度の目的外利用を防ぐ方針を示しました。

9月15日から日本人も30日に

新制度は2026年9月15日から施行され、日本人の短期滞在査証免除による滞在期間も30日間となります。

9月15日より前にタイへ入国し、すでに60日間の滞在許可を受けている外国人については、途中から30日に短縮されることはなく、入国時に認められた滞在期限まで滞在できます。

2024年には観光振興を優先して30日から60日に拡大し、約2年後には再び30日へ。今回の変更は、外国人旅行者の利便性を確保しながら、ビザ免除を本来の目的に沿ってより厳格に運用する方向へ、タイ政府が舵を切ったものといえそうです。

※出典 在タイ日本国大使館「タイ入国に関する変更等について」 タイ政府「ครม.ทบทวนมาตรการฟรีวีซ่า ยกเลิกสิทธิพำนัก 60 วัน ปรับเป็น 30 และ 15 วัน แยกสิทธิรายประเทศ ลดช่องโหว่อาชญากรรม–รักษาสมดุลท่องเที่ยวและความมั่นคง」 タイ外務省「สรุปการแถลงข่าวประจำสัปดาห์โดยอธิบดีกรมสารนิเทศและโฆษกกระทรวงการต่างประเทศ วันที่ 3 กันยายน 2569」 タイ外務省領事局「สรุปมาตรการยกเว้นการตรวจลงตราและการให้สิทธิการตรวจลงตราต่าง ๆ ของไทย ปี 2569」 Thai PBS「สีหศักดิ์ เตรียมเสนอทบทวนฟรีวีซานักท่องเที่ยว เหลือ 30 วัน สกัดใช้ผิดวัตถุประสงค์」