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チュラロンコン大学(バンコク)は、生涯学習と没入型学習を推進するための仮想世界「ChulaVerse(チュラバース)」を正式に開発したと発表しました。プラットフォームは、アバターでキャンパスを自由に回遊できる「CV World」と、360度動画やシミュレーション、VRツアーなどの教材を提供する「CV Learn」の2つで構成されています。
ChulaVerseは、新型コロナの影響に続き、2025年3月の地震により対面イベントやオープンキャンパスの開催が相次いで中止になったことを受け、学生や入学希望者が安全に学びを継続できる環境づくりを目指して企画されました。仮想空間を活用することで、危機的状況下でも学習と交流の機会を確保します。
プロジェクトは2023年にスタートし、Immersive Technology Lab(IMT Lab)のGridsada Phanomchoeng准教授と研究チームが主導。医学、法学、工学、経営学など多分野の専門家19名が開発に携わり、広く教育分野に応用できる実践的な学習技術の開発を目指しています。
● CV World:仮想キャンパスの体験空間
・アバター作成、大学施設の3Dモデルの探索
・バーチャル講義、セミナー、展示会などに参加可能
・マイク、カメラ、チャット、ファイル共有機能を搭載
● CV Learn:生涯学習向け仮想教室
・既存の学習システム「MyCourseVille」「MDCU MedUMore」と連携
・修了証の発行、VR教材の提供
・VRヘッドセットまたは一般ブラウザからアクセス可
■ 医学・ロボティクスの授業で試験導入
ChulaVerseはすでにロボティクスや医学などの授業で使用が始まっており、Zoomなどの従来ツールよりも、アバターによる没入感と双方向性の高い学習が可能です。医学部では、CPRや外科手技の仮想リハーサルにも活用されており、海外や遠隔地の学生にとって貴重な補助教材となっています。
現在、13種類の没入型医療モジュールを提供し、初年度で約1,000人のユーザーを獲得。大学はBNIRTD(Boromarajonani National Institute of Drug Abuse Treatment and Rehabilitation)など外部機関と連携し、医療分野を中心にさらなるコンテンツ拡充を進めています。今後、より多くの学部が独自モジュールを追加し、国際的な教育ハブとしての展開を目指します。
公式サイト(www.chulaverse.com)では、バンコクのキャンパスを超えた新しい学習環境として、革新性とアクセシビリティを両立した教育体験を提供しています。
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