THAILAND HYPERLINKS ไทยแลนด์ ไฮเปอร์ลิงค์ タイ旅行やタイ生活とタイエンタテイメントのポータルサイト

タイ公務員の定年延長を検討、首相が60歳から65歳への引き上げに言及

2025年10月7日 配信

タイのアヌティン・チャーンウィーラクーン首相は、公務員の定年を現在の60歳から65歳に延長する案について言及しました。定年延長は過去にも議論されてきたテーマですが、首相自らが提案したことで、関係機関が真剣に検討する可能性が高まっています。2025年10月6日のバンコクポストが伝えています。



タイでは2024年、高齢化社会(人口の20%以上が60歳以上)に正式に突入しました。人口構成の変化は、経済や社会保障、公的医療制度に大きな影響を与えています。一方で、医療技術の進歩により平均寿命は延び、高齢者の就労期間も長くなっています。

定年延長の支持派は、社会保障基金(SSF)の安定化を主な利点として挙げています。SSFは資産総額が2兆6000億バーツを超えるタイ最大の年金基金ですが、保険料を支払う現役世代の減少と、年金受給者の増加により、制度の持続性が懸念されています。

一方で、公務員制度の構造改革が先決だとする慎重論もあります。タイの官僚組織は欧州諸国と比べて非効率で、人員配置の偏りや昇進制度の不備が指摘されています。国防省には多くの高官ポストが存在する一方で、実際の職務が限られている例もあります。若手人材の登用を妨げる可能性もあるため、組織のスリム化を進めたうえで定年延長を検討すべきだとの見方です。

また、年金財政への影響についても議論があります。1997年のアジア通貨危機後に政府年金基金(GPF)が設立され、退職者は自らの積立金と運用益から年金を受け取る仕組みに移行しました。このため、定年延長が財政面で大きな効果をもたらすとは限りません。

専門職については、裁判官や大学教授など一部で既に65~70歳まで勤務できる特例が存在します。民間企業も能力に応じて定年後も雇用を継続できる場合があり、労働力不足が深刻なのは低技能分野が中心であることから、一律の定年延長が有効とは限りません。

政府は今後、制度上の利点と課題を慎重に比較しながら方針を検討するとみられます。

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク