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タイのEV市場、構造的な課題が浮き彫りに~消費者保護の整備を提言

2025年10月7日 配信

タイ消費者協議会は2025年10月5日、国内の電気自動車(EV)市場における消費者保護の実態調査結果を公表しました。調査では、安全対策の不備や保証制度の曖昧さ、価格変動による経済的不安など、EV購入者が直面する複数のリスクが明らかになり、制度面での抜本的な改善が必要だと指摘しています。



今回の調査は、EVユーザー400人以上を対象に実施され、さらに7か国の関連制度の比較や、行政機関との討議も行われました。その結果、タイのEV市場には、安全対策や統一基準の不足、保証条件やアフターサービスの不透明さ、そして価格変動による経済的不安という三つの大きな課題が存在することが明らかになりました。特にバッテリーシステムや火災対策、家庭用充電器の設置、安全基準、緊急時の対応策などで明確な全国基準が存在せず、消費者がリスクにさらされているとしています。また、保証条件が不明確で部品供給やクレーム処理が遅れるケース、改造車(コンバージョンEV)の登録手続きの複雑さなども問題として挙げられました。さらに、新型車の発売後に短期間で大幅な値下げが行われる事例があり、初期購入者の不満や中古車価格の下落、家計負担の増加につながっているといいます。こうした不安定さは消費者の信頼を損なうだけでなく、EV市場全体の健全な成長を妨げる要因になると警鐘を鳴らしています。

タイ消費者協議会と研究チームは、これらの課題に対処するため、複数の政府機関が連携する包括的な政策パッケージを提案しました。欠陥車や頻繁な修理が必要な車に対してメーカーや販売店の責任を明確にする「レモン法(Lemon Law)」の導入、正当な価格で部品や修理サービスにアクセスできる「修理する権利(Right to Repair)」の保障、家庭用充電器の設置基準と登録制度の整備、充電料金の価格構造の管理と透明化、改造車の登録制度や安全基準の明確化、税制・技術移転を活用した国産部品(Local Content)の拡充、保険制度や建築基準の整備による安全対策の強化などが盛り込まれています。また、価格競争の激化が消費者と市場双方に悪影響を与えることから、広告や保証、価格設定の透明性を高める仕組みも求めています。

タイ消費者協議会は、タイが国際的な自動車組立拠点からEV生産拠点へ移行する重要な転換期にあると指摘し、製造、改造、販売、保険、建築、エネルギーなど複数分野にまたがる制度を総合的に整備しなければ、消費者トラブルの再発と市場の信頼低下が避けられないとしています。研究チームのマノン・スッカラマイ准教授は、「リコール(製品回収)はメーカーの責任を果たす行為であり、恐れるべきものではない。問題が起こってから訴訟で解決するのではなく、制度と基準を事前に整えることが重要だ」と強調しました。これらの施策を本格的に推進することで、消費者の信頼を高め、市場の公正性と安全性を確保し、タイがEV産業の地域ハブとなるための土台を築くことができると結論づけています。

タイ消費者協議会 公式発表(2025年10月5日)

 

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