灰色の疾走とオレンジの証拠、CIBが闇を止めた

タイ警察中央捜査局（CIB）は、闇を裂いて走る一台の改造ピックアップを、南部パンガー県の国道上で捕捉した。CIB傘下の高速警察が通常パトロール中、違法改造が疑われる車両に停止を命じたところ、ドライバーはこれを無視し加速。異様な速度と挙動に、隊員は直ちに追跡を開始した。車は逃走中に黒いビニール袋を2つ、車窓から投棄。その行動が、すべてを物語っていた。

数キロの末に制止された車内から現れたのは、無言の若い男。隊員はすぐさま現場に戻り、薄暗い草むらに沈む2袋の捜索に着手。袋の中には、WYの刻印が施されたオレンジ色の錠剤が10袋ずつ、蝋引き紙に包まれた束が100。合計20万錠。印刷された「UFO 999」の文字が、どこか空々しく光を反射していた。

それは偶然だったのか、あるいは必然だったのか。CIBの視線がたまたま捉えた車の違和感が、20万錠の薬物の行方を絶った。容疑者は現行犯逮捕され、車両と携帯電話を含む全ての証拠品とともに、警察署へ送致された。CIBはこの押収を足がかりに、背後組織への捜査に着手している。

夜の道を裂くタイヤの音は、やがて静寂へと還っていった。そこに何があったのかを知る者はいない。
タイ中央捜査局（CIB） プロフェッショナルで中立、国民と共に。