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タイの紋章が、神鳥「ガルーダ(ครุฑ/クルット)」であることをご存じの方は少なくないでしょう。
このガルーダは、タイにおいて王権と国家を象徴する特別な存在であり、さまざまな公式文書や建物、パスポートなどに登場します。
タイのニュースメディア「Sanook」が2025年8月5日に紹介したところによると、実はこのタイの国章には2つの異なるスタイルがあるとのこと。しかも、それぞれのスタイルには使用目的に応じた厳格なルールが設けられているのです。
タイの国章は、インド神話に登場する神鳥「ガルーダ」がモチーフです。
ヴィシュヌ神の乗り物として知られるこの神鳥は、タイにおいては国王の権威を表す存在とされており、王はヴィシュヌ神の化身とする「สมมุติเทพ(サンムットテープ)」という思想にもとづいて、ガルーダが国章として使われています。
この紋章はアユタヤ王朝時代から存在し、ラーマ5世(チュラロンコン大王)の治世に再び使われ始め、ラーマ6世の時代(1910年)には、旧来の国章に代わって正式に採用されました。
Sanookによると、タイの公的機関が使用するガルーダには、2つのタイプが存在し、それぞれ使用できる範囲が明確に定められているそうです。
【1】クラトゥ・タオターン(ครุฑเท้าตั้ง)/クラトゥ・ドゥン(ครุฑดุน)
姿勢:両足(爪)を立てた姿勢|
使用対象:王室専用
使用例:王宮警護局(กรมราชองครักษ์)、外務省などの外交関連機関、王室官報『ราชกิจจานุเบกษา』の表紙、タイのパスポートの表紙
【2】クルットタオイヤットトロン(ครุฑเท้าเหยียดตรง)

姿勢:両足をまっすぐ伸ばした姿勢
使用対象:一般の政府機関用
使用例:通常の公文書(外部向け)→ 高さ3cmで印刷、内部文書(省内・庁内)→ 高さ1.5cmで印刷
このように、タイでは国章のスタイルによってその権威の重みが視覚的にも示されていることがわかります。Sanookも「単なる装飾ではなく、国王の権威や国家の統治機構そのものを象徴する神聖なシンボルだ」と伝えています。
街中や公式文書で目にするガルーダ。その姿に込められた意味を知れば、きっとタイという国の奥深さがさらに見えてくることでしょう。
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