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第231回 GKもフィールドも器用にこなした背番号5番へのメッセージ

2015年04月02日

2015年4月2日掲載

「こんな悔しい思いはしたくない」「誰々に申し訳ないと思った」…彼はまめにサッカーノートを提出する方では無かったが、自分に責任を感じた時に感情を書き殴って提出することが多かった。俺はこのような気持ちの入ったサッカーノートが大好きであった。
彼はまだ夜練習が定着していなかった頃も率先して参加してくれたし、大人とのガチンコ練習を開始した時も休まず参加。とにかく上手くなりたい一心でプレーし続けていたね。この初期の頃、自分の車で彼の送迎をしていたのでしょっちゅう二人になる時間が作れていた。ここでの会話は学校でのことや塾でのこと、サッカー以外の事が多かったかな。会話から観察力があり、芯が通った子なのかなと感じた。
「伊藤コーチ、(誕生日に)何が欲しいですか」との質問に、冗談で「ビール」と答えたところ、後日の練習前に「お父さんのモノを(内緒で)クスねて来ました」と程よく冷えたビールを持って来てくれた時は、びっくりしたものだ。
俺は選手達に時には厳しく要求したり、強い口調で叱咤する事が多々ある。彼にとっては良い指導者では無かったかもしれない。彼に対しても「もっとボールに喰らい付けよ、悔しくねぇのかよ」とか「もっと気持ち入れてプレーしねぇと…戦わねぇと」発破をかける事をしてきたからね。
彼は最終的に勝負処で得点に絡めるようになっていたし、局面で身体を張れるようになった。柔らかいミドルキックも新たな武器にしつつあったしね。
日本に帰ってからは”IKEKO”の「サッカーを楽しむ」スタイルでプレーするのも有りだと思う。今更だけど少し詰込み過ぎてしまったかなと俺は感じている。今度再会するときはまた色々な話をしよう…その時はまた(お父さんから)ビールをクスねて来てなっ。


伊藤琢矢(いとたく)

アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand
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