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マシリト川敦、初タイ一人旅の行き先はまさかのムクダハン【流浪シリーズ】

2025年11月22日 配信

マシリトのベースとして25年間ステージに立ち続ける、川敦さん。その存在は、アンダーグラウンド界隈において“知る人ぞ知る”特別な光を放ち続けています。最近は、音楽だけでなく社会活動も積極的に行っています。そのうちの一つ、こども達に会いたくても、会えない人や、その家族を支えるための自助グループ「再開の環」は、川敦さんが主催をしています。



そんな川さんに話を聞いたのは、ライブハウスやアイドル現場を渡り歩き、タイランドハイパーリンクスでも数々のアーティストを取材してきた“流浪のバンドマン” ケンジこと西田健児氏。今回はバンドマン仲間での呼び名であるキス健としてインタビューを行っています。

新宿の飲食店でタイ料理を前に、ふたりは笑い声を交えながら、9年前のタイ一人旅、そしてムクダハンへ向かった“あの長い長い初日”についてゆっくり語り始めました。


川敦(かわあつし)。マシリトのBass。時にはトラックメイカー。社会活動家。
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9年前のタイ一人旅の話を聞きつけた

キス健:川さん、この度は、タイランドハイパーリンクスのインタビューに応じてくれてありがとうございます。

川:あ、いえいえ。キス健さん、こちらこそありがとうございます(笑)

キス健:今回なんですが、バンドマンの知り合いづてに、川さんが以前唐突にタイへと一人旅をしたことがあるという噂を聞きまして、なんか面白そうな匂いがしたので、インタビューをお願いしました。

川:もう結構前の話ですよ……9年前かな? その時の話なので面白いかどうかはわかんないんですけど……。

キス健:いや、面白くなくても大丈夫です。というか、突然行った海外旅行、タイへの一人旅が順風満帆なわけがないと睨んでますので、多分面白いです(笑)

川:それはそうですね(笑)

キス健:というわけで、まずは川さんの人となりをタイランドハイパーリンクスの読者のみなさんに知って欲しいので、自己紹介からお願いします。

川:自己紹介からですか(笑)えー。川です。「マシリト」という3ピースロックバンドでベースを弾いてます。色々あって途中ベースを弾いてない時期もあったんですけど……ベースを弾いて25年になります。

キス健:おー! マシリトって、知る人ぞ知る伝説的なバンドですよね!

川:伝説的……らしいですよね。アンダーグラウンド界隈では伝説的だったみたいです。ありがたいことです。

キス健:あの「マ、マ……マシリト」?! って驚く人もいますよね。

川:はっはっはっ(笑)いやいやさっきは乗っかりましたけどそこまでじゃないですよ。新宿界隈のライブハウスが好きな人達の間では、ちょっと知られてたくらいです。

キス健:次のマシリトのライブは、決まってるんでしたっけ?

川:決まってます。11月26日に新宿アンチノック。11月28日に千葉の稲毛K’sDREAMでライブがあります。

キス健:そうだ。川さんが最近力を入れてる活動はありますか?

川:力を入れてる活動ですか? 音楽じゃなくてもいいんですか?

キス健:音楽じゃなくても、なんでも大丈夫です。

川:う〜ん。今めちゃくちゃ色んな活動してるんですよね…。どれがいいかな…。やり過ぎててどれを紹介するのが一番いいのかがわかんないんですけど…。

キス健:はい。

川:ちょうど昨日の活動なんですけど…。

キス健:はい。

川:自分もそうだったということを踏まえての活動なんですけど…。

キス健:はい。

川:子供に会いたくても会えない、そういう状況の人が世の中にはたくさんいるんじゃないかなと思って、討論的なやりとりは無しで「お互いのつらい気持ちを話すだけ、聞いてもらうだけの場」を提供する活動をしてます。昨日が第5回目でした。

キス健:えー。すごい意義のある社会活動してますね…。なんていうイベント名……活動名? なんですか?

川:「再開の環」っていう自助グループです。

キス健:さいかいのわ……。

川:それでその集まりで「僕、明日インタビュー受けるんですよ」って報告をしたら、ぜひ広めて欲しいってお願いされた話しがあるんですけど……。

キス健:お、なんですかね?

川:キス健さん、クリス・ハートって知ってます?

キス健:クリス・ハート? 歌声が美しくてめちゃうまい外国人ボーカルで、日本でデビューしてますよね。もちろん知ってます。

川:そうです。そのクリス・ハートの元奥さんが昨日「再開の環」にいらしたんですよ。クリス・ハートと離婚する時に「離婚はするけど一緒に育てるっていう約束」をしたのに親権を取られてしまって、子供に合わせてもらえない状況になってすごくつらい、という話をされてました。

キス健:えー、そうなんですね。

川:奥さん自身もつらい状況をネットで発信してて、それで「このことを広めて欲しいです」と。

キス健:なるほど。

川:そうしたらまさに今日この奥さんのことが、日刊スポーツのニュースになってました。

キス健:えー! ネットで発信してるって、すごい根性ある奥さんですね…。って、…あ、そうか。一般の方じゃない?

川:シンガーソングライターの福永瞳さんです。

キス健:ふくながひとみ? 多分ですけど、福が長いの瞳さんですかね。これまた素敵な名前ですねー。

川:ながい、は永遠の永のほうですね。それが昨日の今日で、今一番タイムリーな話題です。

キス健:んー、でも、「再開の環」的な自助グループって探せばそれなりに世の中にあると思うんですけど、自分で場を開こう、立ち上げてみようと思ったのはなんでなんですか?

川:それが…。いくつかはそういう場に行ってみたんですけど、なんていうんですかね……過激というか……しんどくなっちゃって。こういう我が子に会えない納得いかない心境をただ話したい聞いてもらいたいだけなのに、実際に行ってみたら、こういう活動を続けていくためにはここの政党を応援して法律を変えよう! 社会を変えていこう! みたいな集まりが多くて……。

キス健:あー、政治活動に展開しようとする人が居るみたいな。それはしんどくなりますよね…。

川:それにそういう所って結局、話の内容うんぬんよりも声が大きい人が勝っちゃうんですよね。

キス健:あーはいはい(笑)

川:これはー! こうした方がいいよ!! こうするべきだ!!! みたいな(笑)

キス健:はいはい(笑)手に取るようにダルくなりました…。

川:(笑)

キス健:(笑)

川:これはちょっと違うなと感じる場しかなくて…。それにこの流れだと話せないことが多いなと感じてたら同じように思ってる人が結構いらっしゃって。それなら自分でそういう場を立ち上げてみようかな、と。

キス健:あー、なるほど。

川:でもこういう活動ってその人の合う合わないがあるので、僕は他のこういった集まりを全然否定しないですしそれぞれ素晴らしい活動だと考えてます。

キス健:おおー。川さん男前! あ、そうだ。「再開の環」のリンクをはってもいいですか?

川:もちろんもちろん。大丈夫です。

キス健:それじゃァ、ここにすぐ「再開の環」(https://x.com/saikainowa)のリンクを貼っておきますね!

川:お願いします。ありがとうございます。後はなんだろう…。週末の東横と大久保公園のパトロール活動かなぁ。

キス健:あ。それXで見ました! 夜にパトロールしてますよね。

川:そうです。立ちんぼとかのパトロールを瓜田純士さんと一緒にやってまして……。

キス健:川さん、もう瓜田さんとのパトロールに何回も参加してますよね。川さんがセルフィーでパトロール終わりを撮ってる画像を何度か見ました。どのくらいやってるんですか?

川:もう一年以上は瓜田さんとパトロールしてます。そうそう、瓜田さんも音楽をやってて、ベースを弾くんですよ。

キス健:おおお!

川:それ切っ掛けで知り合って、それ以来の仲、っていう感じで…。あと俺は趣味で格闘技をやってまして、で瓜田さんは試合とか大会とかにバンバン出てるんで、そんな共通項で話が合ったりもして。

キス健:あーなるほど。

川:っていうのが最近力を入れている活動でした。

キス健:めちゃくちゃ良い自己紹介でした。今回、絶対に良い記事になる予感しかないです(笑)よろしくお願いします!

***

キス健:それじゃ、川さんのタイ一人旅の話を聞いていきたいところ……なんですが、タイ料理を嗜みながら話を聞きたいので、まずは料理をオーダーしましょうか。川さん、なんでも食べてくださいね。

川:ありがとうございます。なにを食べようかな。

キス健:僕はタイビールを…。えーと何があるかな……あ、シンハビールがありました。シンハビールを一つ、送信っと。…えっと、川さんは今はビール飲まないですよね。

川:そうですね。ノンアルコールビールをいただきます。でもキス健さん大丈夫ですか?

キス健:僕はお酒を飲みますけど「なんだお前は俺に一人酒をさせるつもりか、ちょっとくらい付き合えよ。お前も飲め」みたいなタイプじゃないので、全然ノンアルコールを飲んでもらって大丈夫ですよ。

川:ありがとうございます。ではノンアルコールを…。でも…シンハか。懐かしいな。タイ一人旅の時にはシンハも飲みました。でもシンハよりもチャーンビールをたくさん飲みました。

キス健:チャーンも苦味が少なくて、口当たり軽くて美味しいビールですよね。

川:そう。すっきりしてますよね。チャーンは…それこそ水のように飲んでました(笑)

キス健:水のように(笑)僕もタイビールは水のように飲んでるかも(笑)タイのビールって、アルコール度数が低いのもあって全然酔わないし飲みやすいから、それがまた美味しくてゴクゴク飲んじゃうんですよね。

川:そうそう。またあのタイの蒸し暑い気候に冷えてるビールが合ってるんですよね。美味しすぎる。

キス健:あー、なんかまたタイに行ってビールを飲みたくなってきました(笑)

川:それじゃ俺はガパオライスを頼みます。キス健さんは?

キス健:僕はそうですね…、グリーンカレーにします。

川:このメニューのグリーンカレー……多分カレーだけっぽいですけど、ライスは大丈夫ですか?

キス健:あ、ライスは大丈夫です。あんまりお腹いっぱいにして幸せに包まれちゃうと、眠くなっちゃうので(笑) インタビューは腹二分目くらいにしてないと、頭が回らなくなっちゃうんですよね(笑)

川:なるほど。そうなんですね(笑)

キス健:それではメニューもオーダーしたということで、一人旅の話をお願いし…。あ、飲み物きました。川さん、ビール飲まないですけど、川さんがビール持ってる写メだけ撮って良いですか? ちゃんと「川さんはビールを飲みません」っていう注意書きを入れておきますので(笑)

川:注意書きですか。ありがとうございます(笑)

キス健:それじゃ、写真撮りますね。3、2、1、ハイ。

※川さんはビールを飲みません

キス健:もう1枚、3、2、1、ハイ。

※素晴らしい笑顔。男前。川さんはビールを飲みません。

川:さすがキス健さん。撮影が慣れてますね(笑)

キス健:そうすねー。たぶん一万枚は他人を撮影してると思います(笑)それじゃ、乾杯しましょう! お疲れ様でした! じゃなくて、インタビューよろしくお願いします!

川:こちらこそよろしくお願いします(笑)

キス健:乾杯!

川:乾杯!

キス健:くぅーーーー。うわーーーー。ウマッ! ヤバッッ!! あれシンハってこんなに美味かったっけ? 今日も適度に疲れてるから沁みてるんかな? それにしてもなんだ、ウマすぎるぞ!!!

川:キス健さん、ほんとビールを美味しそうに飲みますよね(笑)

キス健:そうなんです。ビールを美味しそうに飲むくらいしか取り柄がなくて…(笑)

川:いやいやいや、そんなことないですよ。キス健さん色々と取り柄があるじゃないですか。

キス健:あら川さん、もう…、今日は帰さないぞっ💗。

川:はっはっは(笑)

  ***

キス健:さて。9年前のタイの一人旅のお話をお願いします(笑)。どういう流れがあってタイに一人旅をすることになったんですか? 場所はどこに行ったんですか?

川:タイの…、ムクダハンっていう場所なんですが、

キス健:ん? むくだはお?

川:ムクダハン、です。日本語だとムクダハンか、ムクダーハーンとかって呼ばれてる地域なんですけど

キス健:ヤバい。ムクダハンのこと全然知りません…。

 

川:そこに知り合いがいて、ムクダハンの知り合いに会いに行ったっていうタイ一人旅です。

キス健:はい。

川:知り合いが、タイの州学校で日本語教師することになって、その派遣先?

キス健:派遣…。国際派遣の会社? 

川:…えーと。元々はなんか国際交流の場があって、その国際交流の場は英語が話せた上で選抜された人間しか顔を出せないみたいな場で。そこに今回の知り合いが顔を出してて。そこで「君、海外に興味があるなら海外で日本語講師の仕事があるよ、行く?」ってお誘いを受けて承諾したら、その派遣先がムクダハオの学校だった。

キス健:そんな場(https://asiawa.jpf.go.jp/partners/)があるんですね。

川:っていうのをその知り合いがSNSで発信してたんですよね。

キス健:あ、なるほど。

川:で、そのSNSをたまたま見つけて、すごい面白いことしてるなー、と思っちゃって。「オレそこに行っていい?」ってメールしたら、「マジで? 来るんスか?」みたいな。「行くよ」「マジっすか。じゃぁムクダハンで待ってるよ」みたいな流れになって。

キス健:へー。

川:で、行ってきました。

キス健:…えーっと、川さんって海外旅行はお手のものタイプの人でしたっけ? 

川:いや、全然そんなことないですよ。中国と台湾には一度行ったことがありますくらいの海外旅行の経験です。

キス健:え。じゃ、タイの旅行はこれが初めてだったんですか?

川:そうです。初めてのタイ旅行です。

キス健:タイ旅行初めての場所がムクダハン…。

川:こんなこと言うのもなんですけど、せっかくの機会だし、知り合いがいなきゃ絶対に行かないような所に行ってみたいなって思ってしまって。

キス健:それにしても渋すぎですよ(笑)いや、まァその「なんか機会がなきゃ行かないような所に行ってみたい」的な気持ちは大多数の人が持ってるとは思うんですど、普通、一発目はもうちょっとメジャーな都市を選択しませんかね(笑)

川:自分でもそう思います(笑)

キス健:タイの一人旅の一回目がいきなりムクダハン…。チャレンジャーすぎませんか(笑)

川:自分でもそう思います(笑)

キス健:ムクダハンに行くには、どこが最寄り空港になるんですかね?

川:えーーーっとですね…。ナコンパノム空港ですね。

キス健:ナコンパノム…空港。バンコク周辺しか知らないので、全く聞き覚えがないですね…。

川:空港の画像があるんですけど……これだ。空港のエントランス周辺です。

キス健:おおー、なんというか、牧歌的ですね。

川:そうなんですよ。かなりのどかな感じです。

キス健:ナコンパノム空港って、日本からの直行便ではないですよね。どこ乗り換えですか?

川:ええと。一度バンコクに到着して、そこからタイの国内便に乗り換えてナコンパノムに向かいました。でもその乗り換えに時間が全然なくて…。しかも飛行機の乗り換えなんて日本でもやったことがないのに、タイで乗り換えなんてどうやるんだ…? みたいな感じで危なかったんですよ。

キス健:あー、そうでしょうねー。いきなりハードルの高いことにチャレンジしましたね(笑)

川:ナコンパノム空港への乗り換えがわからなかったので乗り換えのやり方をCAさんに聞いてみたりしたんですけど、ナコンパノムなんて知らねえよみたいな感じで、CAさんにスッゲー嫌な顔されて…。とりあえず飛行機から降りれば分かるんじゃないですかね、って適当にあしらわれちゃって…。なんかすんません、みたいな気持ちで降りました。

キス健:あー、海外旅行してると、やたらと不機嫌なCAさん時々いますよね(笑) 飛行機はLCCだったんですか?

川:LCCでした。

キス健:9年前のLCCですよね…。そりゃ仕方ないですね(笑)

川:それで、確か…。バンコクで国内線に乗り換えるときに検問所で止められたんですよね。

キス健:え? 止められた? なんでですか?

川:検閲官にすっごい怖い顔で「お前はどこに向かうんだ?」「ナコンパノム空港? そこになんの用があるんだ?」「男一人なのか?」「お前は一体ムクダハンに何しに行くんだ?」めちゃくちゃ詰問されて……。

キス健:めちゃくちゃ怪しまれてるじゃないですか(笑)

川:そもそも乗り換え時間が全然ないのに、このままじゃマズイ状況になりそうだったので必死に「ムクダハンに知り合いがいるんだ」「俺は安全だ」って伝えてたら、なんとか許されました(笑)

キス健:あれ、川さん英語を話せたんですか。

川:いや全然ですよ。カタコトの中学生英語です。

キス健:イイですね。イイ一人旅してますねー(笑)

川:まぁでも確かに日本人の成人男性が一人でムクダハンなんていう、タイのとんでもない田舎に行こうとしてるなんて、いかがわしいこと目的な感じがしそうじゃないですか。

キス健:確かにそうですね(笑)

川:後から知ったんですけど、ムクダハンって、隣がラオスとの国境沿いの町だったんですよね。国境沿いってなにかと犯罪をしやすい場所だし。だからそういう意味でもチェックが厳しかったんじゃないかな、と。

キス健:あー、なるほど。で、やっとムクダハンに到着できた、と。

川:いや、ナコンパノム空港があるところはまだムクダハンじゃないんです。ムクダハンには、ナコンパノム空港からさらに2時間くらい車で移動するんです。

キス健:わー長旅ですねー。それじゃ、ムクダハンに向かうための腹ごしらえもしなきゃですよね。でも話を聞いてる限り、今のところまだタイバーツに換金してないと思うんですけど、お金の方は大丈夫だったんですか?

川:そうなんですよ。日本で現金をバーツに両替してなかったので使えるお金が全然なかったんですけど、まぁナコンパノム空港のどこかしらで換金はできるでしょ、って軽く考えてたんですよね。そうしたら空港にある唯一の換金所のATMが故障中で、全くバーツが手に入らない状況になってしまって…。

キス健:おお、ピンチですねー(笑)

※故障中のATM

川:それで、ナコンパノム空港からムクダハンに行く専用のバス、予約工程表にはバスって書いてあったんですけど実際にはハイエースが来て、それに乗って終点まで行ったらムクダハンなんですけど、バーツを持ってないから、どうしようどうしようお金が払えないみたいな。

キス健:おおおー。更なるピンチですね!(笑)

川:でも発車予定までまだ時間があったので、空港以外の近場でなんとか換金する手段はないかって考えてたら、そのハイエースの運転手が「ムクダハンに行くのはお前だろ、出発時間だから早く乗れ」みたいにちょっと圧力的に言ってきて。

キス健:お。ちょっと英語が話せる運転手でしたか。

川:いや、英語じゃなくてタイ語で多分そう言ってる感じですね。ジェスチャーとかでなんとなくわかるじゃないですか。

キス健:あー、はいはい。

川:それで、こっちもカタコト英語とジェスチャーで「いやまだ出発時間じゃないでしょ、それにお金がないから待ってくれ」って言っても「いやもう出るから乗れ」「お金持ってない」「いいから乗れ」みたいな感じのやりとりになって…。

キス健:あー、ありそうありそう。わかりますわかります(笑)

川:でハイエースに乗ったら乗ったでその運転手、えっと、日本みたいなしっかりした道路じゃなくて、舗装されてない道路ってわかりますかね?

キス健:…コンクリート舗装されてなくてずいぶんと手入れが入ってなさそうな砂利道みたいな感じですかね?

川:そうそう! そんな感じのもっとひどいガッタガタの道路を120キロで爆走するんですよ(笑) バッッコンバッコンしながら走るんですよ(笑)

キス健:🤣🤣🤣アッハハハハ ヒー

川:(笑)

キス健:死神が手招きしてるのが見えます(笑)

川:あれは怖かった…。

キス健:車内での絵が目に浮かびます。お腹痛い(笑)

川:マジで恐怖を覚えました(笑)

※バッコンバッコン中の一枚。マジかよ…、って表情がすべてを物語っていますね。

キス健:それで、バーツを持ってないままで大丈夫だったんですか? もしかしてお金ないからって変なところに連れていかれちゃったり?(笑)

川:そこは大丈夫でした(笑)それで、ハイエース号が予定した時間にバスターミナルに到着してそこで俺以外の乗客が全員降りたから、ここが終点か、って降りたんですよね。で、バスターミナルのATMは故障してなかったのでバーツが引き出せて、それでお金はなんとか支払えました。

キス健:おおー。ようやっとの、ひとまずの安堵ですね。

川:それで知り合いに「ムクダハンに着いたよ。終点のバスターミナルに着きました」って連絡したら「バスターミナル? そこ終点じゃないよ。その次が終点」って返信がきて。

キス健:まだピンチが続くんですか(笑)

川:ムクダハンの知り合いの町に予約してあるホテルに行くには、終点で降りなきゃいけなかったんです。けどバスターミナルで降りちゃったので…。しかもバスターミナルから終点まで、まぁまぁ距離があるみたいなんですよね。でも、ハイエース号はもういないし、どうしようみたいな。

キス健:今のところ、何一つうまく行ってないじゃないですか。最高の旅ですね(笑)

川:ほんとですよね(笑)そうしたら知り合いが「今から迎えに行くからそこのバスターミナルで待ってて」って。こっちに来てくれることになったんですよね。それで時間つぶしに、バスターミナル近くの商店街をちょっと散策しながらビールを買って、飲みながら待ってました。

※バスターミナル近くの商店街

キス健:おー。やっと、ちょっと安心できる状況になりましたね…。

川:後からよく考えてみたら、お金の支払いする時にタイ人の運転手が「ここは終点じゃないぞ」「お前本当に大丈夫か?」「車はもう無いぞ」みたいなことを言ってくれてたっぽいんですよね。でもタイ語だから何を言ってるのか全然わからなくてし、俺は俺で、お金を支払ってるだけなのに色々言ってくるなー、くらいにしか思ってなくて。

キス健:あー、わかりますわかります。言葉がわからないと一生懸命伝えようとしてくれてる善意の行動が変な行動に見えちゃって、スルーしちゃいますよね。

川:そうなんです。

キス健:お疲れ様でした(笑)ちなみにその一口目のビール、めちゃくちゃ美味かったんじゃないですか?(笑)

川:めちゃくちゃ美味かったですね(笑)

キス健:そういう時のビールは体の芯まで沁みていきますよね。

川:沁みましたね…。

キス健:それで、バスターミナルでどのくらい待ってたんですか?

川:でも、ビールの2本目を飲み終わったところで迎えが到着したので30分くらいですかね…。思ったより早く来てくれたって感じだったんですけど…。

キス健:ですけど?

川:なんと知り合いが自転車で迎えに来てくれました(笑)

キス健:まさかのムクダハンにて人力!(笑)

川:自転車に二人乗りしてタイの夜風に当たりながら予約してあったホテルまで送っていただきました。

キス健:ようやく……、ようやく本当の安心が訪れましたね…。話をきいてるだけなのにハラハラしました。

川:まだムクダハンの予約したホテルに到着しただけなんですけどね(笑)

キス健:確かにそうですね(笑)ちなみに、日本からムクダハンまで、どのくらいの時間がかかりましたか?

川:日本を朝9時頃に出発したと思います。バンコクのドンムアン空港までが6時間30分で、ドンムンアン空港からナコンパノム空港までが1時間30分。

キス健:タイへの直行便だったんですね。たぶん乗り換えで最低でも30分くらいは時間が取られてると思いますので、ナコンパノムまでで8時間30分。で、そこからのムクダハンへの爆走死神ハイエース号が早く見積もって1時間30分だったとしても、合計10時間ですけど、まァあと一時間くらいはなんだかんだと時間がかかってると思いますので、ざっくりと11時間ですかね。

川:そうですね。そのくらいだと思います。

キス健:長旅でしたねー。それにしてもトラブルが続きすぎた初日でした。お疲れ様でした(笑)

川:懐かしいなー。あ、そうそう。俺が会いに行ったタイの知り合いの画像もありますよ。

キス健:顔出しOKな人なんですか。

川:インタビューの話をしたら「顔出ししていいよ」って言ってたので大丈夫です。えっと…。

※まさかの女性!

キス健:え? 女性? 

川:あれ? 言ってませんでしたっけ? 女性の方です。

キス健:なんか、話の流れから、知り合いは男だと勝手に思い込んでました…。あ、そっか。相手が女性だから友達とか固有名詞とかじゃなくて、ずっと「知り合い」っていう呼び方してたんですね。いや、でもそうなると…、関係性が見えないですね…。「友人」と呼べるほどではなく「知り合い」止まり。でもタイまで会いに行っても問題ない関係性…。う~ん、関係は薄いけど仲がいいみたいな? うん? どういう知り合いなんですか?

川:彼女、マシリトのファンの方なんですよ。彼女が高校生の時からの知り合いです。

キス健:謎が解けた! そりゃ「知り合い」ですね! 大納得!! 川さん、まさかの、「タイにまで自分からファンに会いに来てくれるバンドマン」だったんですか(笑)

川:結果、そうなんですよね(笑)あ、でもこのタイ旅行の時はすでに俺は結婚してましたので、もちろん彼女とは何もない健全な旅ですよ。

キス健:なんか、ほっこりする良い関係性ですね。

川:っていう、タイ一人旅の初日でした。2日目はですね…

(後編につづく)

・川敦(かわあつし)※DMはXアカウントにお願いします
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https://x.com/kawaatsushi
https://x.com/machilitt

「再開の環」
https://x.com/saikainowa

 

西田健児(ケンジ)
リリイベPAしたり、歌を歌ったり、SEでシャウトしたり、アコースティックギター弾いたり、イベントの段取りしたり、海外遠征イベントに出没したり。タイランドハイパーリンクスでのインタビュアーとしても活動中。
X : KENJ1111

 

 

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