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タイ商務省と農業・協同組合省は、北部地域を中心に収穫が本格化しているラムヤイ(竜眼)について、価格の安定と流通の促進を目的とした包括的な支援策を実施しています。2025年は天候に恵まれた影響で、生産量が例年を上回る見通しとなっており、政府は需給バランスの維持に向けて、各方面で対策を講じています。2025年7月23日のタイ政府メディアNNTが伝えています。
商務省報道官を務める貿易政策戦略局長は、政府の取り組みについて説明し、商務大臣が農産物価格の安定を最重要課題に位置づけ、特に北部地域のラムヤイの動向を副大臣に指示して注視させていることを明らかにしました。
今年のラムヤイの収穫量は、チェンマイやラムプーンを含む北部8県で合計106万トンに達すると見込まれています。これは前年よりも11万7,000トン以上多く、天候条件の良さが主な要因です。商務省ではすでに95万トンの果実を対象とする包括的な管理計画を策定しており、とくに北部産のラムヤイに重点を置いた体制が整えられています。
これに加えて、政府は新たな積極策を次々に展開しています。生鮮ラムヤイの輸出促進や、「Thai Fruits Festival 2025」を通じた国内消費の拡大を図るとともに、大手小売業者による農家からの直接購入を後押ししています。あわせて、事前予約販売の支援や、民間企業によるCSR(企業の社会的責任)活動の奨励、郵送販売向けの包装資材の提供、乾燥ラムヤイ業者との契約締結といった取り組みも進められています。
販売チャネルの多様化にも注力しており、ガソリンスタンドでの取り扱い、自動販売機「タオビン」によるラムヤイスムージーの販売、タイ・エアアジアの機内メニューへの導入など、新たな接点の創出を図っています。
また、商務省内には「ウォールーム(緊急対策本部)」が設けられ、状況の継続的な監視とともに、必要に応じて乾燥処理施設への補助金提供などの緊急対応策が発動できる体制が整えられています。輸出市場の拡大についても、インドやアラブ首長国連邦(UAE)などへの進出を強化し、オンライン販売による需要喚起にも力を入れています。
さらに、農業・協同組合大臣は、果樹園の品質向上を目的とした総額10億バーツ規模の支援プロジェクトを発表しました。この計画では、剪定作業や生産資材の購入に対する財政支援が行われ、ピーク時の労働力不足に対応するため、治安機関と連携した人員確保の調整も進められます。
タイ政府は、増産による市場の混乱を防ぐため、関係機関が連携して現場レベルの支援と市場対応を迅速に進めており、ラムヤイ農家の安定的な収入確保と果実の円滑な流通を目指しています。
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