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東急、タイのサハグループと「シラチャにおける将来開発の共同検討に関する協定書」を締結

2026年6月26日 配信

東急株式会社は2026年6月26日、タイの大手企業グループ「サハグループ」と共同で、タイ東部チョンブリ県シラチャ郡における将来開発の検討を進める協定書を締結したと発表しました。

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協定を締結したのは、東急、両社の合弁会社であるサハ東急コーポレーション、サハグループの中核企業サハ・パタナ・インターホールディング(SPI)の3社です。

対象となるのは、サハグループがシラチャに所有する約112ヘクタールの土地です。企業の誘致やオフィス開発、教育環境を含む住宅・生活インフラの整備などを組み合わせ、働く場所と暮らす場所が一体となった長期的なまちづくりの可能性を検討します。

働く場所と快適な生活環境を一体で開発へ

今回の共同検討では、現時点の開発コンセプトとして、「Modern Working Place」と「Plenary Living Area」が掲げられています。

「Modern Working Place」では、先端企業をはじめとする新たな産業との連携や、企業が活動するためのオフィス環境の開発などを想定しています。

一方の「Plenary Living Area」では、住宅だけでなく、教育環境や生活サービスなども含め、住民が快適に暮らせる環境の整備を検討します。

単独の住宅施設やオフィスビルを建設するのではなく、「住む」「働く」「投資を呼び込む」といった複数の機能を一体化させることで、シラチャの将来的な産業成長と人口増加を支える街を目指します。

協定の有効期間は3年間です。今後3社は、対象地の市場分析や土地利用の検討、施設の用途、開発規模、事業性などについて共同で調査を進めます。

現段階では具体的な着工時期や施設の詳細、開発費用などは明らかにされておらず、今回の協定は本格的な事業化に向けた検討の枠組みを定めたものとなります。

 

開発対象はサハグループ所有の約112ヘクタール

開発検討の対象地は、シラチャにあるサハグループ所有地約112ヘクタールです。

112ヘクタールは約112万平方メートルに相当する広大な土地で、住宅、オフィス、商業施設、教育施設、公共空間などを組み合わせた大規模な複合開発も検討できる規模です。

対象地の周辺では、高速道路のサービスエリアや新たな出入口の開発が進められており、今後、道路交通の利便性がさらに高まると見込まれています。

東急は、交通インフラの改善によって人や企業の移動が活発になり、対象地域の開発可能性が一層高まるとみています。

日系企業が集積するシラチャ

シラチャは、バンコク中心部から南東へ約100キロの場所に位置しています。

周辺には自動車、機械、電機、部品など製造業を中心とした工業団地が多く、長年にわたり多数の日系企業が進出してきました。そのため、駐在員やその家族を中心に、バンコクに次いで多くの日本人が暮らす地域としても知られています。

日本人向けの住宅、飲食店、スーパーマーケット、学校、医療機関、ゴルフ関連施設なども充実し、タイ国内でも日本人が比較的生活しやすい都市の一つとなっています。

一方、近年は日本人駐在員だけでなく、タイ人の専門職や管理職、他国の外国人、周辺工業団地で働く人々など、居住者の国籍や生活スタイルも多様化しています。

今回の開発検討では、従来の日本人駐在員向け住宅という枠を超え、タイ人を含む幅広い住民や企業を対象とする街づくりが視野に入れられています。

EECの主要拠点として成長

シラチャは、タイ政府が重点的に産業誘致とインフラ整備を進めている東部経済回廊(EEC)の区域内に位置しています。

EECは、チョンブリ県、ラヨーン県、チャチュンサオ県を中心に、次世代自動車、航空、ロボット、デジタル、医療、物流などの成長産業を誘致する国家的な開発政策です。

シラチャ周辺には工業団地や港湾が集まり、レムチャバン港へのアクセスにも優れています。バンコクとタイ東部を結ぶ物流・産業拠点として重要性が高く、外国企業による投資や周辺地域の人口も増加傾向にあります。

今回の構想では、既存の製造業だけでなく、先端技術を持つ企業や新たな産業との連携も検討します。企業の進出に合わせてオフィスや住宅、教育、生活サービスを整備し、人材が長期間暮らしながら働ける地域を形成する考えです。

SPIが開発検討を主導

共同検討を主導するのは、サハグループの中核企業であるサハ・パタナ・インターホールディングです。

SPIは、投資事業のほか、サハグループ工業団地の開発や運営などを手がけてきました。シラチャでは、日本をコンセプトとした商業施設「J-PARK」の運営にも関わっています。

これまで地域内で進めてきた工業団地や商業施設の開発によって蓄積した土地開発の知見に加え、行政機関や地域社会との関係を生かし、今回の市場調査や用途検討を進めます。

SPIの取締役社長、Vorayos Thongtan氏は、シラチャをEECの主要な経済拠点と位置付け、3社の協業によって、住む場所、働く場所、投資を呼び込む環境を一体化させたいとの考えを示しました。

また、3社の強みを組み合わせることで、新たなビジネスの仕組みと質の高い生活環境を生み出し、シラチャを世界の投資家や優秀な人材から選ばれる街へ発展させるとしています。

東急のまちづくりノウハウを活用

東急は、日本国内で長年にわたり、鉄道を中心に住宅、商業施設、オフィス、ホテル、文化施設などを一体的に整備する沿線開発を進めてきました。

東京の渋谷や二子玉川、たまプラーザなどで培ったまちづくりの知見を活用し、今回のシラチャでの共同検討に参画します。

海外でも、ベトナムやオーストラリアなどで都市開発事業を展開しており、日本国内の手法をそのまま持ち込むのではなく、現地の文化、生活習慣、社会環境に合わせた開発を進めているとしています。

東急執行役員国際事業部長の緒方義規氏は、対象地の近隣で高速道路のサービスエリアや新たな出入口の整備が進んでいることを挙げ、地域の開発可能性は高いと説明しました。

3社がそれぞれの強みを発揮し、シラチャで質の高い生活環境を実現するとともに、街のさらなる成長に向けたまちづくりを加速させるとしています。

サハ東急は将来の施設運営を視野

サハ東急コーポレーションは、東急とサハグループが2014年に設立した合弁会社です。

シラチャで日本人駐在員向けの賃貸住宅やサービスアパートメントを開発・運営し、現地で暮らす日本人やその家族の住環境を支えてきました。

今回の共同検討では、10年以上にわたるシラチャでの住宅運営経験を活用し、施設の企画や事業開発、プロジェクト管理などに携わります。

また、将来的に開発される住宅や各種施設の運営を担うことも念頭に置いています。

サハ東急の西本雅彦取締役社長は、シラチャの発展と将来性を長年にわたって見てきたと説明。今回の協業は、地域社会の価値向上や経済成長、持続可能な生活の質の向上につながる新たな開発機会を生み出す契機になると述べました。

日本人家族向け「ハーモニック レジデンス シラチャ」

サハ東急がシラチャで運営している主要物件の一つが、「ハーモニック レジデンス シラチャ」です。

タイに駐在する日本人の子育て世帯を主な対象としたサービスアパートメントで、2016年4月に開業しました。

総戸数は212戸で、軽量鉄骨造の地上2階建て。住戸はメゾネットタイプとなっており、家族での長期滞在に対応します。

月額賃料は5万5,000バーツからで、2026年5月20日時点の換算では約27万円からとされています。

施設内には24時間対応のセキュリティ、日本語対応のフロントデスク、カフェ、図書室、音楽室、体育館、テニスコートなどを備えています。

単に住居を提供するだけでなく、日本人家族が地域内で安心して暮らし、交流できる生活環境を整えていることが特徴です。

単身者・夫婦向け「グリーンライフ シラチャ」

「グリーンライフ シラチャ」は、日本人の単身駐在員や夫婦世帯を主な対象とするサービスアパートメントです。

総室数は75室で、鉄筋コンクリート造の地上6階建て。2020年1月にリニューアルオープンしました。

月額賃料は2万7,000バーツからで、2026年5月20日時点の換算では約13万円からとなっています。

24時間セキュリティや日本語対応のフロントデスクに加え、コワーキングスペースやゴルフルームなどを備えています。

仕事と生活の両方を重視する駐在員の需要に対応した施設で、今回の開発構想が掲げる「働く場所と暮らす場所の融合」にもつながる運営実績となっています。

 

2028年に「デュシットスイーツJパークシラチャ」開業予定

サハ東急は現在、新たなサービスアパートメント「Dusit Suites J-PARK SRIRACHA(デュシットスイーツJパークシラチャ)」の開発も進めています。

日本人だけでなく、タイ人やその他の国籍の利用者も対象とする施設で、全室がホテルライセンス付きとなる計画です。

建物は鉄筋コンクリート造の地上12階建てで、総室数は193室。館内には大浴場、スパ、プール、会議室、レストラン、ジムなどを設ける予定です。

開業は2028年を予定しています。

既存の日本人駐在員向け住宅から、より多国籍で幅広い利用者を対象とした施設へと事業を広げており、今回の約112ヘクタールの開発検討でも、多様な国籍や世帯構成への対応が重要なテーマになるとみられます。

東急とサハグループはバンコクでも協業

東急とサハグループの協力関係は、シラチャだけにとどまりません。

両社は2014年にシラチャで共同事業を開始して以降、バンコクでも不動産開発、施設運営、管理事業などを共同で進めています。

東急は今回の協定を通じて、サハグループとの関係をさらに強化し、シラチャとバンコクの両地域でまちづくりを推進する方針です。

東急が持つ大規模な都市開発や施設運営のノウハウと、サハグループが持つ土地資産、タイ国内での事業基盤、行政や地域との関係を組み合わせることで、長期的な地域価値の向上を目指します。

サハグループは約300社を展開

サハグループは1942年に設立されたタイの大手企業グループです。

投資や工業団地の開発・運営を行うサハ・パタナ・インターホールディング、消費財を中心に取り扱うサハ・パタナピブン、化粧品や海外ファッションブランドを展開するI.C.C.インターナショナルなどを中心に、約300社のグループ企業が事業を展開しています。

衣料品、化粧品、食品、日用品、流通、不動産、物流、工業団地など幅広い分野に関わり、タイ国内の生活や産業を支える大手企業グループの一つです。

シラチャでも工業団地や商業施設、住宅などの開発を進めており、今回の協定は既存事業をさらに発展させる長期的なプロジェクトとして位置付けられます。

サハ東急の資本金は13億2,000万バーツ

サハ東急コーポレーションは2014年10月1日に設立され、不動産開発と不動産賃貸を主な事業としています。

資本金は13億2,000万バーツで、2026年5月20日時点のレートで約65億円に相当します。

出資比率は、東急とチョウカンチャン東急建設を含む東急グループが50%、サハグループが50%です。

本社はチョンブリ県シラチャ郡スラサックに置かれています。

将来の人口増加や産業構造の変化に対応

今回の協定は、具体的な施設の建設を直ちに決定するものではありません。しかし、約112ヘクタールという広大な土地を対象に、住宅、オフィス、産業、教育、生活環境を総合的に検討する点で、シラチャの将来像に大きく関わる可能性があります。

シラチャはこれまで、日本企業の製造拠点と日本人駐在員の居住地として発展してきました。

今後はEECの成長に伴い、デジタル産業や先端技術関連企業、タイ人の専門人材、周辺国を含む外国人労働者など、地域を構成する企業や住民がさらに多様化すると予想されます。

3社は市場調査や土地利用の検討を通じて、こうした産業構造や人口構成の変化に対応できる開発構想をまとめる方針です。

働く場所と暮らす場所を近接させ、教育、商業、健康、交流などの機能を組み合わせられるかが、今後の検討の焦点となります。

東急とサハグループは、今回の共同検討を通じて、シラチャを企業や投資家、人材から選ばれる地域へと成長させ、持続可能なタイの発展に貢献するとしています。