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タイを含むアジア太平洋地域の経済は、貿易環境の変化やAI投資の加速といった不確実性が続く中でも、2026年にかけて比較的安定した成長を維持する見通しです。Mastercard Economics Institute(Mastercard経済研究所、MEI)が1月23日に発表した「Economic Outlook 2026」で、タイを含むASEAN諸国では、消費と旅行需要が引き続き地域経済を支える重要な要素になると分析しました。
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同レポートによると、2026年の世界全体の実質GDP成長率は3.1%と予測され、2025年の推計値3.2%からわずかに低下する見込みです。一方、アジア太平洋地域では、インフレの緩和や金融政策の下支え、実質所得の改善により、家計環境が安定し、消費の底堅さが維持されるとしています。
特にタイを含むASEAN主要国では、生活必需品に対しては価格に敏感な姿勢が続くものの、旅行やレジャー、ライブイベントなど「体験」への支出を重視する消費行動が定着しつつあり、観光分野は引き続き経済成長の重要な原動力になるとみられています。インバウンド観光の正常化や域内旅行の回復も、サービス産業の安定性を支える要因とされています。
貿易面では、関税政策の変化やサプライチェーン再編の影響により、先行きの不確実性が残るとしながらも、地域全体としては消費を軸にした内需が成長を下支えすると分析しています。中国本土から低価格商品を多く輸入する市場では、輸入物価の上昇が抑えられる一方、日本や南アジアの一部輸出国では、海外需要の鈍化や米国の関税措置の影響が意識されるとしています。
また、AIの導入拡大と政策支援は、タイを含むアジア太平洋地域にとって中長期的な成長要因になるとしています。MEIの分析では、日本、韓国、インド、香港などでAI活用が進んでおり、データセンターや半導体、スマートシティへの投資が地域全体の生産性向上につながるとされています。タイについても、デジタル化を進める中小企業の動きが、変化する貿易環境への対応力を高める要素として位置づけられています。
国・地域別の見通しでは、ASEAN主要5カ国の中で、タイはインドネシアやフィリピンと比べると成長ペースは緩やかになるものの、消費と観光需要の回復が下支えし、安定した推移が見込まれています。オーストラリアやニュージーランドでは、生活コストの緩和や金利低下が家計支出を支える可能性があるとされています。
日本については、実質所得の増加と消費マインドの改善を背景に、2026年の成長率は1.0%と予測されています。AIや半導体、エネルギー安全保障への投資が続く中、緩和的な金融政策や的を絞った財政措置が、輸出への下押し圧力を一定程度緩和すると見込まれています。
Mastercardアジア太平洋地域のチーフエコノミスト、デビッド・マン氏は、アジア太平洋地域の経済見通しについて、全体としては明るさを保っているとしつつも、貿易の分断や外的ショック、技術進展の格差といった複合的なリスクへの対応が、今後の成長を左右すると指摘しています。
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