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2025年7月16日に発生した痛ましい事件は、タイ国民の記憶に深く刻まれています。タイとカンボジアの国境に接するウボンラチャターニー県チョンボク地域で、偵察中の兵士3名が対人地雷の爆発に遭遇し、負傷しました。この事件を受け、タイ政府、特に外務省は、国家主権を侵害し国際法に反する行為に対し、これまでで最も強い非難声明を発表しました。タイ政府は、今回の地雷敷設が、タイが批准し、常に遵守してきた「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約(オタワ条約)」の義務に明らかに違反する行為であると強く主張しています。2025年7月21日にタイ政府メディアNBT Connextが伝えています。
オタワ条約は、正式名称を「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」といい、戦争中および紛争終結後を問わず、世界中から対人地雷を根絶することを目的とした国際条約です。この条約は1997年12月3日にカナダのオタワで署名のために開放され、1999年3月1日に発効しました。
現在、タイを含む164カ国がオタワ条約の締約国となっています。マーシャル諸島は署名済みであるものの、まだ批准しておらず、完全な締約国とは見なされていません。
この条約は、人々の命と夢を奪う「静かなる殺人兵器」が地上から完全に消え去ることを望む人類の共通の意思を反映しています。しかし、米国、中国、ロシア、インド、パキスタンといったいくつかの主要な大国は、国内の安全保障と国防戦略を理由に、この条約に加盟していません。
オタワ条約には、直接的な経済制裁や武力行使を伴う罰則規定はありません。しかし、国際社会からの圧力が重要な抑止力となります。
国際社会からの強い非難: 各国政府、国際機関、そしてInternational Campaign to Ban Landmines (ICBL) のような市民社会団体からの厳しい非難に晒されます。
国際的な信用失墜: 国際舞台での評判と信頼性を失い、その国の外交関係や国際的なイメージに悪影響を及ぼします。
協力の欠如: 特に地雷除去活動や犠牲者支援の分野で、国際協力が得られにくくなります。
オタワ条約の核心は、単なる条約の文言にとどまりません。それは、対人地雷という民間人の身体と心に傷跡を残す恐ろしい兵器の使用を各国が協力して終わらせるための、強固な道徳的かつ政治的規範を構築することにあります。
「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約(1997年)」として正式に知られるオタワ条約は、世界が安全な土地となることを願う重要な希望の一つであり、すべての人々の足跡が死ではなく生命に満ちたものであることを目指しています。
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