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第225回 タイで突然ゾーンディフェンスの恐怖

2015年2月19日 配信

2015年2月19日掲載

「夢追い人」のタイサッカー珍道中

 守備側の選手がマークすべき選手に対して、味方同士でマークの受け渡しを行う「ゾーンディフェンス」。相手ボール保持者に対して複数人で積極的にプレッシャーをかけ、囲い込んでボールを奪う「プレスディフェンス」。この2つの言葉を掛け合わせた造語が「ゾーンプレス」と呼ばれる…。

 Rajpracha Thailand FCでの選手時代、程よく日本人がいないスクンヴィット21通り(アソーク通り)に居を構えていた。タイ移住1年目、Bangkokをもっと×2知りたいという事で、一駅や二駅前に電車を降り街散策の意味を込め歩くようにしていた。そこで色々な人達と出会った。
「私達、ミンブリに住んでいるんだけど、もう帰るお金が無いからお金頂戴」と英語で話し掛けて来たタイ人親子。「日本のお金を見せてくれ」と如何にも的なアラブ人。「今日帰らなきゃならないのにPassportを落とし、更に友達と連絡が取れない」と家のPCを貸してくれと強引に事を運ぼうとした韓国人。後者2人は後に”こんな詐欺にご注意”と話題になっていた。
究極の出会いはBTSナナ駅から屋台通りを散策しながら帰ろうと歩いて帰宅していた時だった。突然俺の行き先に赤いワンレンボディコンを着た金髪の黒人女性(!?)が立ち塞がった。胸が以上にデカく、身長もヒールを履いている関係で俺より高い…てかガタイである。そんな彼女が俺を見下ろし”ニタッ”と笑った。「怖っ」と思い方向転換をしたその瞬間、紫のボディコンを着たDiana King風の女性(!?)が行く手を遮った。「えっ!?えっ!?」と思い更に方向転換をした先には白のボディコンを着たお団子頭の女性(!?)がガムを噛みながら笑っていた。まさに完璧な「ゾーンプレス」である。
おカマちゃんにはモテる顔だとは少しだけれど自覚はしていたが、本気で「マジか…襲われる」と身の危険を感じた。涙目になりながらリーダーのようないで立ちの赤いビヨンセを気取った女性(!?)を見ると…彼女(!?)から驚きの一言が発せられたのである。「(私達を)買えよ」、片言の日本語であった。
未だにどのようにして「ゾーンプレス」を掻い潜ったのか、思い出せないでいる。気付いた頃にはNANAから1㎞以上駆抜けていた。当然彼女(!?)達を巻いて、もう追っては来ないことは理解していたのだけれど…足が止まらなかった。「家に着くまで…家族の顔を見るまで…」、何処までも俺は走り続けていた。
(写真はASIA TEAQUEで”おカマショー”を観に行った時のモノ、本文とは関係ありませんので悪しからず…)


伊藤琢矢(いとたく)

アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand

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