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タイ東部トラート県では、戒厳令の再発令を受けて外国人観光に影響が広がっています。英国外務省が「不要不急の渡航を控える地域」に指定したことで、旅行保険の適用が受けられず、観光客のキャンセルが相次いでいます。2025年10月13日の各報道が伝えています。
■タイ政府、チャンタブリー県とトラート県の一部で戒厳令を発令
問題の発端は、チャーン島を毎年訪れている英国人旅行者ジャン・ロビンソンさんからの一通の手紙でした。ロビンソンさんは「英国外務省がトラート県を渡航注意地域に指定したため、保険会社がチャーン島の保険を引き受けてくれない」と訴え、「現地が通常通りで安全だと証明してもらえれば、保険会社が再検討する」と説明しています。
ロビンソンさんはすでにホテルを予約済みでキャンセルもできず、「他の場所には行きたくない。毎年ここに来ている」とも記しています。この手紙はタイ国政府観光庁(TAT)ロンドン事務所からトラート事務所に転送され、現地当局が対応を協議しました。
TATトラート事務所のコラコット・オーパス所長代行は「トラートは戦闘地域ではなく、チャーン島、クート島、マーク島などの観光地は安全で、観光客も多い」と説明。その一方で「欧州では“戒厳令”という言葉そのものが危険を意味し、保険会社が補償を拒否する原因になっている」と指摘しました。
トラート県では、国境警備を目的に2012年から戒厳令が形式的に残っていましたが、実際に観光へ影響が出たのは今年7月25日に新たな戒厳令が発令されて以降です。タイ政府はカンボジアとの国境情勢を理由に、チャンタブリー県とトラート県の一部(カオサミン郡)を新たに戒厳令地域に追加指定しました。この措置を受けて英国外務省が渡航警告を更新し、保険会社各社がトラート県全体を「補償対象外」と判断したとみられます。
観光業界によると、この影響で外国人旅行者のキャンセルが相次ぎ、すでに約7億バーツ(約21億円)の損失が発生。トラート観光業協会のタウィーサック副会長は「コチャーンやコクートは安全で、観光は通常通り。国境以外の地域では戒厳令を解除してほしい」と話しています。
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