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タイ国民健康保障局(NHSO)は2025年9月8日、トランスジェンダーの人々を対象とした「性別適合ホルモンサービス(บริการฮอร์โมนยืนยันเพศสภาพ)」を新たに公的医療制度に組み込むと発表しました。対象は男性から女性、女性から男性への移行のいずれにも対応します。
副事務局長によると、この制度は2025年7月にNHSO理事会で承認され、総額約1億4000万バーツの予算が計上されました。血液検査やコレステロール検査、定期健診(3か月、6か月、1年、2年ごと)の費用も含まれ、利用者数が想定を上回った場合は翌年度に予算を増額するとしています。
療法には経口薬と注射の両方があり、個々の状況に応じて選択されます。男性から女性への移行では、若年層は男性ホルモン抑制薬で十分な場合があり、年齢が高い人や既にホルモンを使用している人は錠剤中心。一方、女性から男性への移行では注射が一般的で、声の低下、体毛の増加、筋肉量の増加が期待されます。
治療を受けるには、医師・看護師・心理士・ソーシャルワーカーからなる専門チームによる包括的なカウンセリングを受けることが必須。性別違和の有無を確認するとともに、ホルモン治療に伴うリスク──薬アレルギー、心疾患、脳卒中、乳がんリスクの上昇、身体的変化の部分的な可逆性──を十分に理解する必要があります。また、治療前には健康状態や心理面の精査も行われます。
今回の制度は、トランスジェンダー団体が前政権の首相に要望したことをきっかけに現政権に引き継がれ、NHSO、医療界、コミュニティが協力して実現しました。現在、医薬品の調達が進められており、バンコクでは既存クリニックが供給開始までサービスを継続。地方では大学病院を中心にモデル事業が始まり、遠隔医療も活用される予定です。
副事務局長は「この制度はトランスジェンダーの人々にとって大きな希望となる」と述べ、今後NHSOの公式サイトで対象病院やクリニックのリストを公開するとしています。
■สปสช.แจงรายละเอียดสิทธิประโยชน์บริการฮอร์โมนสำหรับคนข้ามเพศ
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