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タイ警察中央捜査局(CIB)は、ただ静かに泳ぐ者たちの背中を見守っていた。サムットサコーン県の片隅、町のプール。蒸し暑い空気の中、水面だけが穏やかに揺れていた。そこに3人の警察官が立っていた──誰も逮捕するわけでもなく、誰かを捜査するわけでもなく、ただ、笛を吹き、手を差し出していた。
「泳ぐとは、進むことに似ている」そう語ったかどうかは不明だが、警察官たちはひたすら手を引き、支え、励ましていた。対象は、知的障がいを持つ子どもたち。いや、“対象”という言葉すら、この場ではあまりに冷たい。
この日、CIB配下の水上警察部門は、あるプログラムを開始した。「水に浮かぶこと」から始まる支援。再犯防止でもなければ、違法組織の摘発でもない。ここには事件がない。だが、そのこと自体が、何よりも重要な意味を持つに違いない。
彼らは泳ぎを教えた。ゆっくりと、確かに、一歩ずつ。その手には、いつもの拳銃も手錠もなかった。ただ、笛と、浮き輪と、微笑みがあった。
それは更生のためか、それとも何かの“予防措置”だったのか──いや、そんな問いなど意味はなさない。CIBはただ、未来のどこかを見ていた。
タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。
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