閉ざされた扉の向こうで、CIBが違法賭博の巣窟を一網打尽

タイ警察中央捜査局（CIB）は、都市の片隅にひそむ異様な静けさを察知していた。そこは、カードが舞い、欲望が交錯し、真夜中の運命がひっそり揺らめく場所。数十名の賭博者たちが集う密室に、CIBがついに踏み込んだ。

現場はバンコク・バンボン区の住宅街にある一軒家。情報を掴んでいた経済犯罪対策部の捜査官らは、私服警官2名を先行させて監視。やがて訪れた好機、「開け放たれる前に閉じ込めよ」とばかりに扉へ突進、警戒係が扉を閉める間も与えなかったという。

そう心の中で叫んだかどうかは不明だが「これはいける」と感じた私服警官は即座に合図を送り、後続の部隊が建物に突入。2階では、カードゲーム「カオケー」に興じる28人の姿があった。

そのうちの1人が主催者だったのか、あるいは全員がただの運命の渡り人だったのか──いや、そんな問いなど意味はなさない。CIBはただ静かに、確実に、その場を“終わらせた”のである。

押収されたのは現金、トランプ、賭博用具。現場にいた全員が関与を認め、主催とみられる人物も「自ら仕切っていた」と証言したという。

都市の闇に点在する“静かな戦場”。そこで交わされるのは数枚のカードと、いくばくかの現金。しかし、その裏で蠢く構造は、社会秩序を揺るがすには十分すぎる。

CIBは再び、ひとつの“騒がしき静寂”を終わらせた。
だがそれは、まだ見ぬ別の扉がまた開こうとしていることを意味しているのかもしれない。

タイ中央捜査局（CIB）
プロフェッショナルで中立、国民と共に。