カンボジア軍が抗議、タイ人サイクリスト約150人が係争中の寺院エリアに無断侵入

カンボジア王立軍は2025年6月22日朝、タイ人サイクリスト約150人が係争中のタ・モアン・トム寺院（Ta Moan Thom）複合遺跡に無断で侵入したとして、深い懸念を表明しました。

カンボジア側の発表によると、午前7時30分ごろ、タイ軍兵士3人が先導する形で約150人のタイ人サイクリストが寺院敷地内に入ったとのことです。事前にカンボジア側への連絡はなく、これは両国間の合意に反する行為だとしています。

同寺院に関する合意では、開放時間を午前9時から午後3時までと定めており、特別な事情がある場合には、両国間で事前に通知と合意を交わすことが必要とされています。

この事態を受けて、カンボジア軍は冷静かつ責任ある対応を行い、タイ側に合意の順守を促したと説明しています。現場では衝突などは起きず、タイ人サイクリストは速やかに退去しました。

カンボジア軍は声明の中で、「相互の信頼と尊重を維持し、誤解や不幸な事態を防ぐためにも、合意内容を透明かつ誠実に順守することが不可欠である」とタイ側に呼びかけました。

また、同軍はタ・モアン・トム寺院の現状管理にあたり、「平和的、責任ある、かつ専門的に対応する」とし、「国境地域における平和と安全、協力的な雰囲気を守り、両国民に利益をもたらすため、今後も両国間の協定に基づいて措置を講じていく」との姿勢を強調しています。