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タイ国立開発行政研究院(NIDA; National Institute of Development Administration)の調査センター(NIDA Poll)は2025年6月15日、「タイは平和を愛す、されど戦も恐れず」に関する世論調査の結果を発表しました。調査は6月9日から11日にかけて、全国の18歳以上の1,310人を対象に実施されました。
今回の調査は、カンボジアとの国境をめぐる対立などを背景に、国民が国家機関にどれだけ信頼を置いているか、また「愛国心」や「ナショナリズム」についてどう考えているかを明らかにするものでした。
国家の利益を守る力について最も信頼を集めたのは「軍」で、「非常に信頼している」との回答が62.52%に達し、「やや信頼している」も23.74%でした。一方で、「政府」は「全く信頼していない」が37.48%、「あまり信頼していない」が31.68%に上り、厳しい評価となりました。「外務省」も同様に否定的な意見が多く、「あまり信頼していない」「全く信頼していない」の合計が66.18%に達しました。
問題解決に対する満足度においても同様の傾向が見られました。「軍」に対しては「非常に満足している」が61.76%、「やや満足している」が23.97%で、大多数が肯定的でした。対して「政府」には「満足していない」「あまり満足していない」が68.93%、「外務省」には64.73%と、いずれも不満が上回っています。
また、タイ国民に馴染み深い国歌の一節「ไทยนี้รักสงบ แต่ถึงรบไม่ขลาด(タイは平和を愛す、されど戦も恐れず)」への支持については、69.39%が「非常に支持する」と回答。「やや支持する」も19.24%あり、全体の約9割がこの言葉に強く共感していることが分かりました。
最後に、国民のナショナリズム(愛国心)に関する質問では、「非常に強い」と答えた人が48.24%、「状況に応じて変わる」が31.60%、「ややある」が14.20%でした。一方で「まったくない」と答えた人はわずか2.29%にとどまり、国民の多くが何らかの形でナショナリズムを意識している実態が明らかとなりました。
この調査は、多段階無作為抽出法(Multi-stage Sampling)を用い、電話インタビューにより実施。許容誤差は±5%以内、信頼水準は97.0%です。
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