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観光立国タイが、いま大きな転換点を迎えようとしています。バンコク中心部やカオサン通り、チェンマイ旧市街、さらにはパタヤやプーケットなどの観光地では、大麻を販売する店舗が次々と開店。緑色のネオンが路上に光る光景は、すっかり“タイの新名物”となりました。
近年では、外国人観光客が路上で大麻を吸引したり、店頭で堂々と購入したりする姿も見られます。しかし、こうした行為は本来、認められているものではなく、タイ当局も問題視しています。この「黙認状態」が続いてきたタイの現状が、ついに大きく変わろうとしています。
2025年5月21日、ソムサック・テープスティン保健相は記者会見で、今後タイ国内で大麻を使用するには医師の診断書を義務付ける方針を明らかにしました。対象は外国人観光客を含むすべての使用者で、40日以内に省令として発表される見込みです。
同席したタイ伝統医療局の幹部も、「てんかん、慢性の痛み、不眠などの症状がある場合に限り、医師の診断に基づく使用が認められる」と説明。1か月以上の継続使用は医療目的とは見なされず、処罰の対象となる可能性もあるとしています。
各報道によると、タイ政府が規制強化に踏み切る背景には、大麻の密輸問題があるとのこと。近年、ドンムアン空港やスワンナプーム空港を通じて大量の大麻が国外に持ち出され、英国、インド、パキスタン、香港などから外交的な懸念の声が上がっているといいます。
タイの大麻の非犯罪化政策は、「医療目的」の建前とは裏腹に、実質的な娯楽解禁のような形で全国に拡大。明確な規制が整わない中、大麻ショップが乱立し、観光客を中心に自由な使用が続いてきました。中には日本人が経営する大麻ショップもあるのだとか。
しかし今回、タイ政府は医療目的への原点回帰を宣言。ソムサック保健相は、「誰もが気軽に吸える状況は終わる。医療目的であれば診断書が必要。今後は明確なルールのもとで運用する」と強調しました。
なお、本格的な大麻規制法の成立には少なくとも2年かかると見られており、それを待たずに保健省の省令で段階的な規制を先行させる方針です。
省令の発効後は、大麻が医療用ハーブとして明確に位置づけられ、販売・使用・持ち出しすべてにおいて厳しい管理体制が敷かれることになります。
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