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モーター大手のニデックが、カンボジア北西部ポイペトにある生産工場を2026年10月22日に閉鎖する予定であることが明らかになりました。タイとカンボジアの国境紛争に伴う国境閉鎖で陸上輸送が困難となり、物流正常化の見通しが立たないことから、生産継続が困難と判断したと報道されています。生産についてはタイの既存拠点へ移管される見通しです。
閉鎖されるのは、バンテアイミアンチェイ州ポイペトにある「ニデックダイキャスティング(カンボジア)」です。同工場では、ハードディスクドライブなどに使われる小型モーター向けを含む精密モーター用部品を製造してきました。
ポイペト工場はタイ国境に近い立地を生かし、製造した部品をトラックでタイ側のニデック拠点へ輸送する生産体制を構築していました。
タイとカンボジアの国境では、長年にわたって一部地域の領有権をめぐる対立が続いています。2025年5月28日には国境地帯で両国軍による銃撃戦が発生し、カンボジア兵1人が死亡。これをきっかけに緊張が急速に高まり、タイ側は6月から国境検問所の通行時間短縮や車両・人の移動制限を段階的に実施しました。
さらに6月23日には、タイ軍がカンボジアとの陸路国境検問所を原則として閉鎖。7月には両国軍による大規模な戦闘に発展し、多数の死傷者と避難者が出ました。その後、停戦に向けた協議が行われましたが、国境をめぐる緊張や通行制限は長期化しています。
こうした状況によって、タイとカンボジアを陸路で結ぶ物流網にも大きな影響が出ました。ポイペト工場で製造した部品をタイへ運んでいたニデックも影響を受け、従来のサプライチェーンを維持することが難しくなったとみられます。
ニデックはポイペトでの生産継続は困難と判断し、カンボジアでの生産を終了することになりました。同社は代替生産の準備を進めており、工場閉鎖による業績への大きな影響はないとしています。
ニデック公式サイトによると、タイ国内には「ニデックダイキャスティング(タイランド)」のボーウィン工場とピントン工場をはじめ、精密モーター用部品を製造する複数の生産拠点があります。ポイペトで担っていた生産については、タイ国内の既存拠点へ移管されると報じられています。
ポイペトは、タイ側の工業地帯や港湾とのアクセスを生かし、タイの生産拠点とカンボジアの工場を組み合わせる「タイ・プラスワン」の生産拠点として発展してきました。
しかし、国境封鎖が長期化する中、日系企業からも物流の正常化を求める声が上がっています。2025年9月に開かれた日本カンボジア官民合同会議では、駐カンボジア日本大使がタイとの陸上国境の早期再開を要望し、封鎖が続けばカンボジアが「タイ・プラスワン」の投資先としての魅力を失う可能性があると指摘していました。
今回のニデックのポイペト工場閉鎖は、タイ・カンボジア国境紛争の影響が国境地域の住民や貿易だけでなく、両国をまたいでサプライチェーンを構築してきた日本企業の生産体制にも及んでいることを示す事例となります。
※出典 読売新聞「ニデック、カンボジアから撤退へ…タイとの国境紛争収束見込めず生産継続困難に」 ニデック株式会社「生産拠点」 JETRO「タイ、カンボジアとの国境検問所を一部制限、軍事緊張に伴う措置」 JETRO「タイ王国軍がカンボジア間の国境を全面閉鎖、貿易制限措置の応報も」 JETRO「日系企業のビジネス環境改善に向けた官民会議開催、陸路国境再開など要望」
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