公道に潜んだ“無言の凶器”、CIBは見逃さなかった

タイ警察中央捜査局（CIB）は、南部スラタニ県の幹線道路41号線で、ナンバープレートのないピックアップトラックを発見。助手席の下から押収されたのは、装填済みの9ミリ拳銃──静かな車内に、確かに潜んでいたのは“引き金を引かれる前の時間”だった。

その男は、ただ走っていた。プレートもなければ、言い訳もなかった。警官が近づいたとき、彼は穏やかに車を停めたという。だが、その沈黙の中に、何かが滲んでいた。「一応、車内も見せてくれ」と言われ、彼は頷いた──まるで、何も知らぬふりをして。

黒い革のホルスター。銀のマガジン。そして8発の銃弾。すべては助手席の下に、無言で眠っていた。それは護身用だったのか、あるいは何かを守る“つもりだった”のか。いや、そんな問いなど意味はなさない。既にそこにあったという事実だけが、すべてを物語る。

男は許可証を持たず、違法所持の現行犯で逮捕された。「偶然」か「準備」か──本人の供述は、捜査記録の中に静かに綴られていくだろう。だが、この日の巡回が“偶然の掘り出し物”だったと考える者がいたとしても、不思議ではない。

白いトラックが走り去っていた未来に、何が待っていたのかは、誰にも分からない。ただひとつ確かなのは、CIBがそこにいた──という事実だけである。

タイ中央捜査局（CIB）
プロフェッショナルで中立、国民と共に。