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タイ東北部ウボンラチャタニ県のムアンデート地区に設けられた一時避難所では、タイ・カンボジア国境付近で緊張が高まる中、住民の受け入れが進んでいます。2025年9月27日以降、隣接するドームプラディット地区から少なくとも92人が避難してきており、その中には寝たきりの患者や障がい者、高齢者7人、子ども25人も含まれています。村の指導者たちは引き続き広報を行い、住民に安全な場所への移動を呼びかけており、今後さらに避難者が増える見込みです。
避難が始まった背景には、国境付近で発生した銃撃事案があります。タイ陸軍によると、9月27日正午から午後0時30分頃にかけて、ウボンラチャタニ県チョン・アン・マー付近で、カンボジア側から小火器および擲弾発射器による射撃がタイ領内に向けて行われました。この事案は第2軍管区から陸軍本部に報告されています。
陸軍報道官のウィンタイ・スワリー少将は、スラナリー方面軍がすでに警戒態勢に入り、必要に応じて既定の手順に従い対応できる体制を整えていると説明。軍当局は現在も国境地帯の情勢を監視し、状況評価を続けています。軍関係者によると、この地域はカンボジア暫定監視団の担当者が頻繁に訪れる場所であり、今回の射撃は挑発行為である可能性もあるとしています。なお、タイ側での負傷者は報告されていません。
こうした情勢を受け、避難してきた多くの住民は過去の避難経験を活かし、事前に生活必需品をまとめて準備していたため、比較的スムーズに避難生活へ移行できています。食料や衣類、医薬品などを持参し、長期化にも備える姿が見られます。
現地では、ムアンデート地区行政機構が保健ボランティア、村の副長、看護師らを派遣し、避難者の受け入れを支援。到着者の登録、宿泊場所の割り当て、食事の提供などを行っています。食事には、過去の緊急事態に備えて保管されていた400キロ以上の米を活用し、炊き出しが行われています。
一方、ドームプラディット地区の他の住民も少人数ながら自主的に避難を始めており、当局は国境地帯の状況を注視しながら、追加の避難者を受け入れる体制を整えています。
ウボンラチャタニ県では、避難対応を統括する指令センターを設置し、国境情勢の変化に応じて支援を迅速に届けられるよう、関係機関の連携を強化しています。
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