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微笑みの国・タイ。温暖な気候や親日的な風土、生活コストのバランスから、リタイア後のロングステイ先として長年人気の国です。タイでの充実した生活を謳歌する日本人のシニア層も多くいらっしゃいます。
しかし、どれだけタイでの生活が気に入っていても、避けて通れないのが「加齢」と「病気」です。
現地で介護が必要になったり、大きな病気を患ったりした際、言葉や医療費の不安から、やはり最後は日本で治療や介護を受けたいと希望され、急遽日本への帰国(介護帰国)を決断されるケースが後を絶ちません。

実は、長年海外で暮らしてきた方がいざ日本へ帰国しようとした際、想像以上の壁に直面することをご存知でしょうか。今回は、高齢者支援の専門家の視点から、タイ在住者が直面しやすい「介護帰国の3つの壁」についてお伝えします。
① 制度・手続きの壁(住民票と健康保険)
長期間タイに在住している方の多くは、日本の住民票を抜いているかと思います。そのため、日本に帰国してすぐには日本の国民健康保険や介護保険を利用することができません。
帰国後、まずは住む場所(住所)を確定させ、役所で転入届を出し、各種保険制度に加入するという煩雑な手続きを、体調が優れない中で自ら行う必要があります。
② 住まいの壁
「とりあえず帰国して、安いアパートでも借りればいい」と考えるのはかなり危険です。現在の日本では、高齢者(特に単身)の賃貸契約は非常にハードルが高くなっています。
さらに「海外からの帰国直後で国内での収入証明がない」「日本国内に緊急連絡先がない」となると、入居を断られるケースがほとんどです。
③ 身元保証人の壁
これが最大の壁と言っても過言ではありません。日本の病院への入院や、介護施設への入居、賃貸アパートの契約など、生活の基盤を整えるあらゆる場面で身元保証人が求められます。親族が日本にいても、「長年疎遠で頼みづらい」「親族も高齢で保証人の条件を満たさない」という場合、受け入れ先が見つからず、帰国したくてもできないという事態に陥ってしまいます。
タイでの生活は素晴らしいものですが、もしもの時のセーフティネットが日本側にあるかどうかが、安心して老後を楽しむための鍵となります。
次回は、帰国時の最大のハードルとなる「住まい探し」と「身元保証人」のリアルな現状について、解
説いたします。
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【執筆者プロフィール】
久保 渉(くぼ わたる)
アライアンサーズ株式会社 代表取締役。
東京都杉並区を中心に、高齢者の住まい(老人ホーム・賃貸等)探し、自社訪問看護ステーションによ
る医療ケア、身元保証や行政手続きの同行サポートなど、シニアの生活をワンストップで支援する事業
を展開。近年は海外にロングステイ中の日本人シニア層からの「介護帰国・医療帰国」に関する相談対
応・受け入れ支援にも注力している。
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