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タイの「レンタル妻(Rental Wife)」と呼ばれる男女関係について、海外メディアであらためて注目されています。ただし、タイで最近になって新たなサービスが始まったり、急増したりしたことを示す公的な統計や発表があるわけではありません。話の出所をたどると、2024年にベトナム紙が中国メディアをもとに紹介した内容など、以前から海外で繰り返し語られてきた「タイのレンタル妻」という話が再び取り上げられている形です。
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ベトナム紙「Tiền Phong(ティエンフォン)」は2024年11月17日、「Thuê vợ, vợ thuê ở Thái Lan(タイで妻を借りる、レンタル妻)」と題した記事を掲載しました。
記事では、主に欧米からタイを訪れる外国人男性とタイ人女性との間で、女性が一定期間パートナーとなり、観光案内なども行う関係を「レンタル妻」として紹介しています。
具体的な料金についても、7日未満の場合は1日約1万3,000バーツ、7日以上では1日約9,000バーツ、1か月では約5万バーツなどと伝えています。
ただし、これらはTiền Phongが記事中で紹介している数字であり、タイ政府の統計や業界団体などが示した「相場」ではありません。具体的なタイ側の事業者や調査資料も記事中には示されていないため、実際に現在のタイで一般的な料金なのかは確認できません。
また、この記事の署名には「Thu Thủy (theo Sina, Sohu)」とあり、中国の新浪(Sina)と捜狐(Sohu)をもとにした記事であることが明記されています。
つまり、ベトナムで紹介された「タイのレンタル妻」の情報をさらにたどると、その情報源の少なくとも一部は中国メディアに行き着きます。
さらに、この話は2024年に突然登場したものでもありません。
ベトナムの大手ニュースサイト「VnExpress」は2012年10月9日、「Mốt ‘vợ thuê’ ở Thái Lan(タイで流行する『レンタル妻』)」と題する記事を掲載しています。
この記事では、日本のニュースサイト「RocketNews24」を情報源として、タイを訪れる外国人旅行者がタイ人女性と一時的にパートナー関係を結び、女性が観光案内や料理などを行うケースがあると紹介していました。
つまり、「タイのレンタル妻」という話は少なくとも10年以上前から海外メディアで取り上げられ、その後も形を変えながら繰り返し紹介されてきたことになります。
一方、「レンタル妻」という言葉や関係そのものに、タイでの歴史的背景がないわけではありません。
タイ語には「เมียเช่า(メーア・チャオ)」という言葉があり、一時的に妻のような関係になる女性を指す言葉として使われてきました。
学術誌「Social Sciences」に2022年に掲載されたタイのセックス・エンターテインメント産業に関する研究では、ベトナム戦争期、タイ国内の米軍基地周辺で米兵とタイ人女性との間に一時的なパートナー関係が生まれ、「mia chao(เมียเช่า)」と呼ばれるようになったことが説明されています。
研究では、こうした関係は必ずしも単純な金銭と性行為だけの取引ではなく、一定期間をほぼ独占的に一緒に過ごし、より深い感情的なつながりを伴う場合もあったとしています。
タイ東北部ウドンタニの地域メディア「The Isaan Record」も、米軍がウドンタニに駐留していた時代の「เมียเช่า」について紹介しています。同記事では、タイ語辞典における「เมียเช่า」について、一時的に妻となることで報酬を得る女性を指す言葉として説明しています。
このため、「メーア・チャオ」という言葉や歴史的な男女関係まで含めて、すべてが海外メディアによって作られた話というわけではありません。
ただし、ベトナム戦争期の「メーア・チャオ」と、現在海外メディアが「Rental Wife」として紹介しているものを、そのまま同じものとして扱うことには注意が必要です。
現在のタイで「レンタル妻」が正式な職業や制度として存在し、統一されたサービス内容や料金体系を持っていることを示す公的資料は確認できません。
外国人とタイ人女性との関係には、通常の交際から金銭的援助を伴う交際、有償のコンパニオン的な関係など、さまざまな形があります。それらを一括して「タイにはレンタル妻というサービスがある」と説明すると、実態以上に制度化されたサービスであるかのような印象を与える可能性があります。
「メーア・チャオ」にはベトナム戦争期からの歴史的背景がある一方、現在海外で語られる「タイのレンタル妻」には、過去の記事が別の国のメディアへ渡り、再び記事化されてきた側面もあります。
今回の話題は、「タイでレンタル妻が新たに流行している」というニュースというより、以前から海外で語られてきた「タイのレンタル妻」という話が、現在も国境を越えて繰り返し紹介されている現象として見るのが適切でしょう。
※出典
Tiền Phong-Thuê vợ, vợ thuê ở Thái Lan
VnExpress-Mốt ‘vợ thuê’ ở Thái Lan
Social Sciences-Thailand’s Sex Entertainment: Alienated Labor and the Construction of Intimacy
The Isaan Record-เมียฝรั่งในอีสาน – เล่าเรื่องเมียเช่าใกล้ฐานทัพมะกัน จ.อุดรธานี
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