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トヨタ、タイへの投資継続を強調 自動車政策の明確化求める

2026年8月18日 配信

トヨタ・モーター・タイランドのスパコーン・ラッタナワラハ副社長は2026年8月13日、同社が現在もタイへの投資を続けていると明らかにしました。インドネシア政府がトヨタに対し、タイから主要な生産活動を移す場合には優遇措置を提供する考えを示す中、スパコーン副社長はタイの強固なサプライチェーンを評価する一方、周辺国との競争を見据え、国内生産を支える明確で継続的な自動車政策が必要との考えを示しました。タイラット・オンラインが同氏への直接取材として伝えました。

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インドネシアがトヨタに生産拠点の誘致を提案

今回の発言の背景には、東南アジアの自動車生産拠点をめぐる競争があります。

インドネシア国営通信ANTARAによると、プルバヤ・ユディ・サデワ財務相は8月4日、トヨタが主要な自動車生産をインドネシアへ移す場合、政府として優遇措置を提供する用意があるとの考えを示しました。

インドネシア側が示した支援策には、条件を満たしたBEV(バッテリー式電気自動車)を対象に、高級品販売税を最大100%免除する措置や、付加価値税の一部を政府が負担する措置などが含まれます。ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は、この支援の対象外とされています。

インドネシアは巨大な国内自動車市場を持つだけでなく、近年はEVやバッテリー産業への投資誘致を進めています。今回、トヨタを名指しして生産投資を呼び込む姿勢を示したことで、長年ASEAN有数の自動車生産拠点として発展してきたタイとの競争が改めて注目されています。

トヨタ「現在もタイへの投資を続けている」

こうした動きを受け、タイラット・オンラインがスパコーン副社長に今後のタイでの投資について直接質問しました。

スパコーン副社長は、トヨタは現在もタイへの投資を続けていると説明。その理由として、タイには長い年月をかけて形成された強固な自動車産業のサプライチェーンがあることを挙げました。

タイには完成車メーカーだけでなく、多数の部品メーカーや関連産業、人材、生産・物流基盤が集積しています。この産業基盤は短期間で他国へ移せるものではなく、タイが自動車生産拠点として持つ大きな強みとなっています。

一方でスパコーン副社長は、インドネシアをはじめとする周辺国が投資誘致に向けて政策を迅速に変化させていることにも言及しました。トヨタ自身もタイだけでなく、中国、インド、インドネシア、フィリピンなど複数の国で投資を行っています。

なお、今回の発言は「タイから生産拠点を移転しない」と正式に表明したものではありません。正確には、現時点でもタイへの投資を継続しているとの説明です。

EV販売の拡大だけでは産業育成にならない

スパコーン副社長は、EV市場の成長についても問題提起しています。

新しい技術を手頃な価格で消費者が利用できること自体にはメリットがある一方、海外から完成車を輸入したり、主要部品を海外から持ち込んだりするだけでは、タイ国内の自動車産業やサプライチェーンの成長につながらない可能性があるとの考えです。

つまり、タイ国内でEVの販売台数が増えることと、タイがEVの生産・技術拠点として成長することは同じではないという指摘です。

タイが今後も自動車産業の拠点であり続けるには、国内で生産し、部品を調達し、人材や技術を育成する投資を増やす必要があるとしています。

輸入車とタイ国内生産車の競争条件に問題提起

スパコーン副社長は税制についても、タイ国内で生産される車と輸入車との競争条件に差が生じていると指摘しました。

特に一部の輸入EVが税制上の優遇を受ける一方、タイ国内で生産するメーカーには各種の税負担や生産コストが発生します。

そのため、税制を見直す場合はEVだけを対象にするのではなく、タイ国外から輸入される自動車全体について検討するべきだとの考えを示しています。トヨタ自身が輸入する車両も影響を受ける可能性がありますが、それでも国内生産者との公平な競争環境をつくることが重要だとしています。

タイ政府も国内生産を重視する税制へ

タイ政府側でも、自動車産業を支える新たな税制の検討が進んでいます。

ロイター通信によると、エークニティ・ニティタナプラパート財務相は8月7日、タイ国内に生産施設を設ける自動車メーカーについて、物品税率を引き下げる方針を明らかにしました。国内で生産された部品や原材料の利用を促進し、タイ国内の生産基盤とサプライチェーンを強化することが狙いです。

タイは東南アジア最大級の自動車生産拠点ですが、近年は国内販売の低迷に加え、EVへの移行や中国系メーカーの参入など、自動車産業を取り巻く環境が大きく変化しています。タイ政府はEV普及策と並行して、国内生産や地場部品産業をどのように維持・強化するかという課題にも直面しています。

ASEANの自動車生産拠点をめぐる競争

今回の一連の動きは、単純に「トヨタがタイから撤退するかどうか」という話ではありません。

インドネシアが積極的な投資誘致策を打ち出す一方、トヨタ側はタイが持つサプライチェーンの強さを評価しながら、競争力を維持するための政策対応を求めています。そしてタイ政府も、国内生産を重視する税制への転換を検討しています。

長年、自動車生産を主要産業の一つとしてきたタイが、EV時代にもASEANの重要な生産拠点であり続けられるのか。周辺国との投資誘致競争とともに、タイの自動車政策が注目されます。

※出典
Thairath Online「ศุภกร แม่ทัพโตโยต้า แนะรัฐเร่งปกป้องฐานผลิตยานยนต์ไทย สกัดทุนฉวยช่องโหว่กฎหมาย–ภาษี」
ANTARA News「Govt offers incentives for Toyota to relocate production to Indonesia」
Reuters「Thailand to cut excise tax for car production, minister says」