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タイ知的財産局、生成AIでの音楽制作に著作権上の注意喚起 無断のAIカバーやリミックスは侵害の可能性

2026年8月15日 配信

タイ商務省知的財産局(DIP)は2026年8月13日、生成AI(Generative AI)を使った音楽制作について著作権法上の考え方を説明し、著作権で保護されている既存の楽曲を権利者の許可なくAIで複製、翻案、公開する行為は、法律上の例外に該当しない場合、著作権侵害となる可能性があるとして注意を呼びかけました。

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AIカバーやAIリミックスが広がる中で見解

知的財産局によると、近年は生成AIを使った音楽制作やオンライン公開が広く行われるようになり、AIによる歌手の声の変換(AI Voice Conversion)、AIを使ったリミックス(AI Remix)、既存楽曲を参考データとして利用した新曲制作なども増えています。

こうした利用をめぐり、著作権のある楽曲をAIで扱う場合にどこまで認められるのか疑問が生じていることから、今回、一般市民、クリエイター、事業者、AI開発者などに向けて法的な考え方を説明しました。

タイにはまだ「AI専用」の著作権規定なし

今回、新たにAIに関する法律が施行されたわけではありません。

知的財産局のオラモン・サップタウィータム局長は、タイの1994年著作権法とその改正法には、現在のところAIについて個別に定めた規定はなく、この問題について基準となる裁判所の判例もまだ存在していないと説明しています。

そのため知的財産局は、現在の著作権法の基本原則に基づいて、AIを利用した音楽制作についての考え方を示しました。

元の曲が分かるほど残っていれば「複製・翻案」の可能性

知的財産局によると、著作権保護期間中の楽曲をAIに利用して歌手の声を変えたり、リミックスしたり、新たな楽曲を生成したりする場合でも、元の作品の重要な要素が残っていれば注意が必要です。

例えば、歌詞、メロディー、音楽、作品の重要な内容などが残され、元の作品とのつながりを認識できる場合には、著作権法上の「複製」や「翻案」に関係する可能性があります。

また、AIシステムが処理を行う過程でも、音楽ファイルをコピーしたり処理したりする場合があるとしています。

こうした利用を著作権者の許可なく行い、法律上の例外にも該当しない場合、著作権侵害となる可能性があります。

ただし、実際に侵害になるかどうかについては、AIの使い方や生成された作品の内容などを含め、個別の事実関係に基づいて判断されます。

研究や教育目的なら例外になる場合も

タイの著作権法には一定の例外規定があります。

知的財産局は例として、営利を目的としない研究や教育のための複製・翻案などを挙げています。

ただし、研究や教育目的であれば無条件に利用できるという意味ではなく、通常の著作物の利用を妨げず、著作権者の正当な利益を不当に害さないなど、法律上の条件を満たす必要があります。

著作権が切れた楽曲はAI利用可能

著作権の保護期間が終了し、パブリックドメイン(Public Domain)となった楽曲については、原則としてAIによる新しい作品制作の資料やモデルとして利用できるとしています。

ただし、楽曲そのものがパブリックドメインになっていても、それですべての権利が消滅しているとは限りません。

録音物に関する権利、実演家の権利、編曲された作品の権利など、元の作品とは別の権利が現在も保護されている可能性があります。

例えば、古い曲そのものの著作権が切れていても、近年録音された音源や新たな編曲をそのままAIに利用する場合には、別途権利の確認が必要になる可能性があります。

1つ許可を取れば何にでも使えるわけではない

知的財産局は、作品を利用する際の「許可の範囲」についても注意を促しました。

AIで他人の作品を利用する行為が、著作権者に認められている権利に関係する場合には、原則として権利者の許可を得る必要があり、契約内容によっては使用料や著作権料の支払いが必要になることもあります。

また、ある方法で作品を利用する許可を得たからといって、その作品を別の方法にも自由に利用できるとは限りません。

1曲の音楽には、作詞家、作曲家、編曲家、音源製作者、実演家など、複数の権利者が関係している場合があります。

そのため、AIを使った音楽制作では、何をどのような方法で利用するのかを確認し、それぞれ必要な権利処理を行うことが重要になります。

AIによる無断加工の紛争を調停した事例も

知的財産局は、AIを利用した著作物をめぐる知的財産権の紛争について、専門家が仲介する調停サービスも提供しています。

同局によると、これまでにも、著作権者の許可なくコンテンツをAIで加工し、オンラインプラットフォームで公開したケースについて調停を行った事例があります。

このケースでは、知的財産局が双方を招いて事実関係と法律上の問題を確認し、話し合いを進めた結果、裁判に進むことなく合意に至ったということです。

知的財産局は、AIそのものの利用を否定しているわけではなく、利用する作品の著作権や関連する権利を事前に確認し、必要な場合には権利者から許可を得るなど、創作者の権利を尊重しながら責任を持ってAIを利用するよう呼びかけています。

AIと著作物の利用や著作権について疑問がある場合、タイ知的財産局のホットライン「1368」で相談を受け付けています。

※出典
タイ商務省知的財産局(DIP)「กรมทรัพย์สินทางปัญญา แจงข้อกฎหมายใช้ Generative AI สร้างสรรค์ผลงานเพลง ย้ำใช้ผลงานมีลิขสิทธิ์โดยไม่ได้รับอนุญาต อาจเข้าข่ายละเมิดฯ แนะตรวจสอบสิทธิ–ขออนุญาตก่อนใช้ ส่งเสริมใช้ AI อย่างมีความรับผิดชอบ」