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ドキュメンタリー映画「森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民」2022年3月19日(土)より公開

2022年1月13日 配信

ドキュメンタリー映画「森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民」2020年3月19日(土)より公開

タイ北部やラオス西部の山岳地で暮らし、狩猟採集生活をおくる400人程度しかいない少数民族「ムラブリ族」。そんな彼らの謎に包まれた姿を撮影したドキュメンタリー映画「森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民(Mlabri in the Woods)」が、2022年3月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか日本全国で順次公開されます。なお撮影の半分ほどはタイのナーン県で行われました。


タイやラオスの密林でバナナ葉の家をつくり、ゾミアでノマド生活を送るムラブリ族
謎に包まれた少数民族の撮影に世界初成功した、映像人類学のドキュメンタリー

バナナの葉と竹で寝屋をつくって野営し、平地民から姿を見られずに森のなかを遊動するムラブリ族の生活。タイ人は彼らを「黄色い葉の精霊」と呼んだ。

本作は、6 ヶ国語を自由に話し、文字のないムラブリ語の語彙を収集する、言語学者・伊藤雄馬とともに足かけ2年、ムラブリ族を追ったドキュメンタリー。伊藤はラオスで狩猟採集を続けるグループへの接触を試み、カメラは世界で初めて、ムラブリ族の謎めいた生活を撮影することに成功。ムラブリ族は言語学的に 3 種に分けられることが判明し、お互い伝聞でしか聞いたことのないタイの別のムラブリ族同士が初めて会う機会を創出する。また、今は村に住んでいるタイのムラブリ族の 1 人に、以前の森の生活を再現してもらうなど、消滅の危機にある貴重な姿をカメラに収めた。

インドシナ半島の密林におけるサステナブルで、政府からも自由なアナーキーな生き方を見つめることで、文明社会で暮らす私たちにも、「真に重要なことは何か」が見えてくる。

【ムラブリ族とは?】
タイ北部やラオス西部のゾミア(山岳地帯)で暮らし、400 人程度しかいない少数民族。最近まで男女とも裸に近い姿で、小動物や植物をとって食べる狩猟採集生活を送ってきた。まわりの民族にほとんど姿を見せず、森のなかを移動して暮らすノマド(遊動民)。1930 年代に民族学者のベルナツィークが接触して著書『黄色い葉の精霊』で紹介し、欧米で知られる
ことになった。

【監督・撮影・編集】金子遊(Yu Kaneko)
映像作家、批評家。多摩美術大学准教授。劇場公開映画に『ベオグラード 1999』(2009)『ムネオイズム』(2012)『インペリアル』(2014)。近作『映画になった男』(2018)は東京ドキュメタリー映画祭、田辺・弁慶映画祭などで上映。プロデュース作『ガーデンアパート』(2018)はロッテルダム国際映画祭、大阪アジアン映画祭で上映された。『森のムラブリ』(2019)が長編ドキュメンタリー映画の5作目。
著書『映像の境域』でサントリー学芸賞<芸術・文学部門>受賞。他の著書に『辺境のフォークロア』『異境の文学』『ドキュメンタリー映画術』『混血列島論』『悦楽のクリティシズム』など。 共編著に『アピチャッポン・ウィーラセタクン』『ジャン・ルーシュ 映像人類学の越境者』、共訳書にティム・インゴルド著『メイキング』、アルフォンソ・リンギス著『暴力と輝き』など。ドキュメンタリーマガジン neoneo 編集委員、東京ドキュメンタリー映画祭プログラム・ディレクター、芸術人類学研究所所員。

<コメント>
タイ、ラオス、ミャンマーにかけてのゾミアと呼ばれる山地に住むムラブリ族は、半裸で森を移動する遊動民で、長らく狩猟採集生活をしてきました。この映画はまず、タイ側で焼畑農業をおこなうモン族にジャングルを焼き払われた挙げ句、ムラブリ族が日雇い労働者として彼らの農業を手助けしている実体を描きます。そこには、現代の人類学やエコ・クリティシズムに共通する視点があります。無文字社会に生きてきたムラブリですが、即興的な歌唱法やフォークロアをもっています。
ムラブリ語を流暢に話し、インドシナ半島の各地に散らばったムラブリの言葉を比較研究する日本の言語学者・伊藤雄馬氏と出会ったことから、このドキュメンタリー企画はスタートしました。映画の後半では、伊藤氏とわたしのカメラはラオスの森の奥深くに踏みこみ、研究されることも撮影されることもなかった現代のムラブリの遊動民生活を記録しています。そこから見えてくるのは、人類にとって火を使うこと、食べること、住むこと、夫婦になること、子どもを持つこと、家庭をつくることは何かという、わたしたちの文明を逆照射し、内省を迫られる根源的な課題でした。

【出演・現地コーディネーター・字幕翻訳】伊藤雄馬(Yuma Ito)
1986 年生まれ。島根県出身。言語学者。京都大学大学院文学研究科研究指導認定退学後、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所にて日本学術振興会特別研究員(PD)。2018年より、富山国際大学専任講師。学部生時代から、タイ・ラオスを中心に現地に入り込み、言語文化を調査研究している。ムラブリ語が母語の次に得意である。論文に「ムラブリ語の文法スケッチ」(『地球研言語記述論集』)、”A Note on Terminology for Bamboo and its Use in the Mlabri, a Hunter-gatherer Group in Thailand”(『富山国際大学紀要 現代社会学部』)など。

<コメント>
「『黄色い葉の精霊』を研究してるって、それ、本当にいるのかい?」
現代でも伝説的な存在である黄色い葉の精霊、ムラブリ。
その名前の由来である森での遊動生活については、100 余年の間、民族誌のみの語るところだったが、今後はこの映画が語り部の役を担うだろう。
確認されている全ての方言を網羅する本映像は、「ムラブリ語の響きが美しいから」という非学術的な動機で研究を始めた私をして、学術的価値の高さを指摘せざるを得ない。
集団間の邂逅も本映像の主格に相当する。
生まれて初めて出会う彼ら彼女らが、お互いの言葉の近さや遠さに驚きながら、接点を探る相互行為は、しかし辿々しいものでは決してなかった。
どんな集団でも、分断があり、統合がある。この邂逅は、過去にもあっただろうし、未来にもあるだろうことに気づいた。
その点において、分断と統合の交差するあの場面は、ムラブリという民族の普遍を見出す格好の資料であろう。

タイ北部ナーン県のフワイヤク村は、400 人のムラブリ族が暮らす最大のコミュニティ。
男たちはモン族の畑に日雇い労働にでて、女たちは子育てや編み細工の内職をする。無文字社会に生きるムラブリ族には、森のなかで出くわす妖怪や幽霊などのフォークロアも豊富だ。
しかし、言語学者の伊藤雄馬が話を聞いて歩くと、ムラブリ族はラオスに住む別のグループを「人食いだ」と怖れている様子。
伊藤とカメラは国境を超えて、ラオスの密林で昔ながらのノマド生活を送るムラブリを探す。ある村で、ムラブリ族が山奥の野営地から下りてきて、村人と物々交換している現場に出くわす。それは少女ナンノイと少年ルンだった。地元民の助けを得て、密林の奥へとわけ入る。はたして今も狩猟採集を続けるムラブリ族に会えるのか? 21 世紀の森の民が抱える問題とはいったい何なのか?

 

森のムラブリ

2019 年/85 分/ムラブリ語、タイ語、北タイ語、ラオス語、日本語/カラー/デジタル

[監督]
金子遊
[出演]
伊藤雄馬 パー ロン カムノイ リー ルン ナンノイ ミー ブン ドーイプライワン村の人びと フアイヤク村の人びと
[撮影・編集]
金子遊
[現地コーディネーター・字幕翻訳]
伊藤雄馬
[パブリシスト]
登山里紗
[デザイン]
三好遙
[製作]
幻視社
[配給]
オムロ 幻視社
[協力]
多摩美術大学芸術人類学研究所、京都大学東南アジア地域研究研究所
[ウェブ]
https://muraburi.tumblr.com/
https://twitter.com/muraburi 
https://www.facebook.com/muraburi

©幻視社

ラオスの森の民が
わたしたちに教えてくれること

人食い伝説によって、たがいに憎しみあうムラブリ族に
日本の言語学者が対話の力で融和をもたらす
映像人類学の可能性を切りひらく、かつてない冒険!

3月19 日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

 

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